パティシエになりたいので、結婚はいたしません!
「テメェら……!!」

サミュエル様が怒りに震えながらドアの方を見る。そこにはルーク様とアイザック様、そしてエドワード様がいた。婚約者候補が全員揃ってしまった。

「抜け駆けはさせないよ、サミュエル!」

エドワード様がそう言い、こちらに近付いてくる。このままではまずいと私はバルコニーから飛び降りた。サミュエル様たち婚約者候補に与えられた客室があるのは二階。でもその下には樹木があるからそれがクッションになってくれる。

「あっ、逃げられた!」

アイザック様がそう言いながら私を見る。婚約者候補全員の顔を私は見た。全員やっぱり美形だ。こんなイケメンにキス争奪戦をされているなんて、元の世界だったら女性たちにリンチにあっていたかもしれない。でもーーー。

「私はパティシエになりたいので、結婚はいたしません!」

そう言い、背中を向けて走り出す。この争奪戦はまだまだ続きそうだ。









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