パティシエになりたいので、結婚はいたしません！

運良くラスト一個が残っていた。テンションが上がる。食べるのをわくわくしながらレジに持って行き、お金を支払う。

「食べるの楽しみ〜」

早く家に帰って食べよう。そう思いながら早足で駅へと向かう。電車がもうすぐ来るという放送が流れ、ホームへと立つ。その時だった。

私の体に衝撃が走る。えっ？何が起きたの？そう思った時には私の体はもう宙を舞っていた。コンビニで買ったスイーツの入ったエコバッグや、仕事用の鞄が飛んでいくのが見える。

誰かに突き飛ばされたのか。誰かがぶつかったせいで転んでしまったのか。あまりにも突然すぎて理解が追い付かない。ホームの方から悲鳴が上がるのが聞こえた。そして、眩しい光。

強い衝撃と共に私の目の前は真っ暗になった。



何やら騒がしい。でもおかしい。私は電車に撥ねられて死んでしまったはずだ。電車に轢かれて生きている人などいるはずがない。でも私の体は頭は少し痛むものの、怪我をしている様子はない。

私が目を開けると、見知らぬ男女が私を覗き込んでいた。銀髪に紫の目をした男性と栗色の髪に緑の目をした女性。明らかに日本人じゃない。