パティシエになりたいので、結婚はいたしません!
「ちょっと使わせて!」

そう言い厨房へ飛び込んだお嬢様の姿に、コックさんたちは戸惑いの顔を見せた。「危ないですから」とか言われたけど無視。私はフルーツじゃなくて甘いスイーツが食べたいんだ!前世のパティシエの力をフル活用してやる!

林檎を輪切りにし、真ん中の芯の部分をくり抜く。全部くり抜いたら林檎の形を元に戻し、くり抜いた部分にバターとシナモンと砂糖を交互に詰めていく。最後に銀紙に包んで焼く。そしたらーーー。

「焼き林檎の完成です!!」

お皿に焼き林檎を盛り付けながら私が言うと、コックさんたちが驚いていた。みんな顔を見合わせてヒソヒソ言っている。

「あんな食べ物見たことないぞ」

「でもおいしそうだな」

私は焼き林檎のお皿にコックさんたちに渡す。そしてニッコリと笑った。

「食べてみてください!」

コックさんたちは「いいんですか?」と言いながらも林檎をフォークで刺し、一口食べる。その瞬間にみんなの顔に笑顔が浮かんだ。
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