パティシエになりたいので、結婚はいたしません!
「すごくおいしいです!」

その顔が見たかったんだ。パティシエとして働いていた時のことを思い出し、私の胸は熱くなっていく。

「甘い食べ物のことをスイーツって言うんです。色んなスイーツ、作ってみてもいいですか?」

この世界に甘いスイーツがないなら私が広めてみせる。パティシエになって世界中の人を幸せにする。そう心に決めた。



アンに転生して八年。私は十八歳になった。この八年の間に色んなスイーツを作って、国内外に広めて行き、スイーツがないこの世界にスイーツを誕生させることができた。パティシエという職業もできて、私もバリバリ活躍ーーーと言いたいところだけど。

「アン、お前は貴族の一人娘だ。そろそろ将来のことをしっかり考えないといけない時期だろう」

厨房にてシュークリームをせっせと作る私のところにお父様が来て言う。私は「またその話ですか」とげんなりとした。

貴族のご令嬢は十代後半になると将来の結婚相手を決めなくてはならない。ただこの世界の婚約者となる方法がぶっ飛んでいるけど……。
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