パティシエになりたいので、結婚はいたしません!
四人を代表してか、一人の男性がお辞儀をして挨拶をする。長い金髪を三つ編みをしている人だ。

「えっと……アン・ゴールドスタインです」

勝手に婚約者候補とやらを家に連れて来られたのは嫌だけど、取り敢えず挨拶だけはする。すると男性はニコリと微笑んだ後、私の腰を抱き寄せて顔を近付けてきた。



婚約者候補を紹介されてから数週間、彼らはこの屋敷に泊まっている。どうやら私が誰かと婚約するまでずっとこの屋敷にいるみたいだ。憂鬱……。

その気持ちを誤魔化そうと厨房に立ち、今日もスイーツを作る。今日は何を作ろうかな。シフォンケーキもいいし、チーズケーキもいいな。

そう思いながらボウルなどを出していると、「アン!」と背後から抱き締められる。金髪三つ編みの男性ーーー婚約者候補のエドワード・フィンレー様だ。

「エドワード様、今からケーキを作りたいので離していただけませんか?」

「アンの作るスイーツおいしいけど、いっつも厨房に立っていて俺たちと過ごす時間全然ないじゃん。今日くらいはお休みして俺と庭を散歩でもしようよ」
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