親愛なる魔王の君へ＃2～召喚されたので、魔王の側近になります！～
「ルーチェも食べるか？」

ギルバートさんが問いかけると、ルーチェは「今は、いらないです。僕、食べ終わるまで待ってますね」と答えると、近くに置かれた本の山から本を引っ張り出して、椅子に座る。

ギルバートさんは、ルーチェにここにある本は好きに読んでもらっていいって言ったんだ。

多分、お菓子を食べるよりも本を読みたいんだと思う。

ルーチェは、食事の優先度が低いんだって。そのせいで、よく家族に注意されているんだとか。

ルーチェが昨日、勉強の休憩中にそう言っていた。

ワクワクとした表情で本を開くルーチェを少し見た後、僕はお菓子に目を移す。

「……」

……どうしよう。何だか、気まずいな……。

「ルーチェがいいって言ってるんだから、そんなに気まずそうにしなくてもいいんじゃねぇの？」

僕が気まずさを感じていると、僕と向かい合うように椅子に座ったギルバートさんが話しかけてきた。

「……そうなんだけどさ……」

「なら、もう始めるか？」

ギルバートさんの言葉に、僕は頷く。ギルバートさんは何かを言いたそうな顔をしたあと、ため息をついた。

……もっと休憩すればいいのに、って言いたいのかな？

そして、ギルバートさんは机に置かれていたものを片付け始める。
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