親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~
ルーチェがその小瓶を見せながら言うと、ギルバートさんは「……魔法薬?」と小瓶を見つめながら呟いた。ルーチェは、無言で頷く。
「一時的に、魔力を増幅させる効果がある魔法薬です。しばらくは、この魔法薬を使って魔法を扱えるようになりつつ、ラウルの持つ魔力量を上げていきます。最終目標は、魔法薬がなくても色んな魔法を使えるようになる。これです……でも、その前を魔法を見てもらった方がいいかな……」
そう言ってから、ルーチェは僕を見た。
……待って。僕が字を読めるようになってからでも、遅くないんじゃ……。
そう言おうとした僕だけど、声にしようとした寸前でその言葉を飲み込む。
ルーチェが僕のために色々と考えてくれていることを、僕は知っている。そんなルーチェの考えを、僕に否定する勇気なんてものはなかった。
「……分かった」
僕が頷くと、ルーチェは「保健室で拾った杖を持って、外に来て」と言って、部屋を出ていく。
僕は、リビングの隅の方に立て掛けておいた杖を手に取ると、ルーチェに言われた通りに外に出た。
ここに来て、ギルバートさんの家で暮らし始めてから初めて外に出る気がする。
外に出てみると、森の開けた場所の真ん中付近に、僕に背を向けるようにルーチェは立っていた。
「一時的に、魔力を増幅させる効果がある魔法薬です。しばらくは、この魔法薬を使って魔法を扱えるようになりつつ、ラウルの持つ魔力量を上げていきます。最終目標は、魔法薬がなくても色んな魔法を使えるようになる。これです……でも、その前を魔法を見てもらった方がいいかな……」
そう言ってから、ルーチェは僕を見た。
……待って。僕が字を読めるようになってからでも、遅くないんじゃ……。
そう言おうとした僕だけど、声にしようとした寸前でその言葉を飲み込む。
ルーチェが僕のために色々と考えてくれていることを、僕は知っている。そんなルーチェの考えを、僕に否定する勇気なんてものはなかった。
「……分かった」
僕が頷くと、ルーチェは「保健室で拾った杖を持って、外に来て」と言って、部屋を出ていく。
僕は、リビングの隅の方に立て掛けておいた杖を手に取ると、ルーチェに言われた通りに外に出た。
ここに来て、ギルバートさんの家で暮らし始めてから初めて外に出る気がする。
外に出てみると、森の開けた場所の真ん中付近に、僕に背を向けるようにルーチェは立っていた。