親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~
その言葉に、僕の心臓が飛び跳ねる。

望月光(もちづきひかる)。僕の友だちで、1年前に事故で命を落とした。

光とは、高校生になってから出会った。高校1年生の後半、落し物をして困っていた時に一緒に探してくれて、それ以来、良く話すようになった。

光が高校生になって初めて出来た友だちで、光をきっかけに、光の友だちの東雲旭(しののめあさひ)と七瀬和夢(ななせかずむ)とも友だちになって……。

旭も和夢も、光の後を追うように亡くなった。

光たちと過ごした記憶を思い出していたら、気分が悪くなってしまって、僕は教室を出て、保健室へと向かう。

保健室に入ると、中には誰もいない。

……気分が良くなったら、戻るか……それまで、少し休ませてもらおう。

仕方なく、僕は近くにある椅子に座って、先生を待つことにした。

「……」

頭に浮かぶのは、今はいない光たちの楽しそうな笑顔。

その顔が見れないんだと思うと、胸が痛む。

「……もう一度でいいから会いたい、だなんて……」

そう呟いて、僕は片手に持った本に目を移した。

……光も読書が好きだったっけ。良くおすすめの本とかを語り合ったりしたなぁ。

昔の思い出に浸りながら、僕は本を開く。
< 2 / 28 >

この作品をシェア

pagetop