親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~
ゲームや小説の世界でしか聞かないような言葉が出てきて、僕は首を傾げる。

「僕の知り合いの大魔導師は、大の読書好きなんだ」

「……読書好き……僕と同じだ……」

そう呟くと、ギルバートさんは「お前も読書が好きなのか?」と問いかけてきた。

「はい。大好きです!」

そう言って笑うと、ギルバートさんは「そうか。この本、勝手に読んでいいからな」と言う。

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

僕がギルバートさんの手を掴みながら言うと、ギルバートさんは「お、おう……」と戸惑いの表情を浮かべた。

「とにかく、今日はゆっくりしろ。僕は、さっき言ったやつに手紙を書いてくる」

僕がギルバートさんから手を離すと、ギルバートさんはそれだけ言って部屋を出ていく。

僕は、この世界に来てからずっと持っていた杖を壁に立てかけると、適当に本を手に取って開いた。

「……何?この文字……」

本に書かれていたのは、見たことのない文字だった。

本を読みたかったけど、読めないから諦めて、他のことをすることにした。



翌日。

今日、ギルバートさんが言っていた例の人が、この家に来るらしい。ギルバートさんと2人で待っていると、ベルが鳴る。

「来たか」
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