その手で強く、抱きしめて
それから暫くは穏やかな日常が流れていく。
あの日以降直倫のSNSを確認する事も無くなった私は彼がどうしているのか気にはなったものの、覗いてみたところで嘘が書かれているのを見て嫌な気持ちになるだけだと気にするのを止める。
(……まだ、待ち伏せしてるのかな? 流石に諦めた……かな?)
それでも、まだ私に執着しているのかどうなのか、やっぱり気になってしまう。
そんなある日の休日、眞弘さんは気分転換にと私をドライブに誘ってくれた。
「すみません、折角のお休みなのに気を遣っていただいて……」
「気にするな、普段は龍登が運転手をやっているが、俺も車の運転は好きな方でな。休日はよく遠くまで車を走らせているんだ」
「そうなんですね」
「どこか行きたい所はあるか?」
「いえ、特には……。その、もし良ければ普段眞弘さんが行っている場所に行ってみたいです」
「そうか、分かった。それじゃあ出発するぞ」
「はい、よろしくお願いします」
こうして私は眞弘さんとドライブに出発した。
行き先は教えられないまま車は何処かへ向かって進んで行く。
今日は天気も快晴でお出かけ日和。
眞弘さんの家に来てからはほぼ家の中で過ごしている事もあって、こうして昼間に出掛けられるのは凄く嬉しい。
勿論、どこで直倫に出会すか分からない不安もあるけれど、眞弘さんが一緒なら心強いし、守ってくれるという安心感が私の心にある恐怖心を軽くしてくれた。
車は一般道から高速へ、方面的に県外に出るのだという事が分かる。
休日だけど道路状況も悪くは無くて、車はスムーズに進んで行く。
「綺咲」
「はい?」
「退屈か?」
「いえ、そんな事無いです」
「そうか? なら良いが。悪いな、俺はあまり話すタイプではないから、楽しませるという事が苦手でな。ドライブに誘ったは良いが楽しめているのかが気になっていた」
「それを言うなら私の方こそ、話題を振れなくてすみません……。私、今まで車に乗る機会なんてそうそう無かったから、こうして乗りながら景色を眺めるのって凄く新鮮で楽しいです!」
「そうか、それは良かった。まあ、都会じゃ車なんて必要ねぇからな。免許は持ってるのか?」
「はい。けど、身分証代わりに使ってるだけです」
「なら今度は綺咲が運転してみるか?」
「ええ!? い、いや、私は……それに、こんな高級そうな車を運転してぶつけでもしたら……」
「そんなに気負う事は無い。まあ、少しでも興味があれば運転の練習に付き合ってやるからいつでも言ってくれ」
「は、はい。その時は、よろしくお願いします」
初めこそあまり会話が無かった私たちだけど、時間が経つにつれて会話も増えていき、気付けば目的地に到着していた。
あの日以降直倫のSNSを確認する事も無くなった私は彼がどうしているのか気にはなったものの、覗いてみたところで嘘が書かれているのを見て嫌な気持ちになるだけだと気にするのを止める。
(……まだ、待ち伏せしてるのかな? 流石に諦めた……かな?)
それでも、まだ私に執着しているのかどうなのか、やっぱり気になってしまう。
そんなある日の休日、眞弘さんは気分転換にと私をドライブに誘ってくれた。
「すみません、折角のお休みなのに気を遣っていただいて……」
「気にするな、普段は龍登が運転手をやっているが、俺も車の運転は好きな方でな。休日はよく遠くまで車を走らせているんだ」
「そうなんですね」
「どこか行きたい所はあるか?」
「いえ、特には……。その、もし良ければ普段眞弘さんが行っている場所に行ってみたいです」
「そうか、分かった。それじゃあ出発するぞ」
「はい、よろしくお願いします」
こうして私は眞弘さんとドライブに出発した。
行き先は教えられないまま車は何処かへ向かって進んで行く。
今日は天気も快晴でお出かけ日和。
眞弘さんの家に来てからはほぼ家の中で過ごしている事もあって、こうして昼間に出掛けられるのは凄く嬉しい。
勿論、どこで直倫に出会すか分からない不安もあるけれど、眞弘さんが一緒なら心強いし、守ってくれるという安心感が私の心にある恐怖心を軽くしてくれた。
車は一般道から高速へ、方面的に県外に出るのだという事が分かる。
休日だけど道路状況も悪くは無くて、車はスムーズに進んで行く。
「綺咲」
「はい?」
「退屈か?」
「いえ、そんな事無いです」
「そうか? なら良いが。悪いな、俺はあまり話すタイプではないから、楽しませるという事が苦手でな。ドライブに誘ったは良いが楽しめているのかが気になっていた」
「それを言うなら私の方こそ、話題を振れなくてすみません……。私、今まで車に乗る機会なんてそうそう無かったから、こうして乗りながら景色を眺めるのって凄く新鮮で楽しいです!」
「そうか、それは良かった。まあ、都会じゃ車なんて必要ねぇからな。免許は持ってるのか?」
「はい。けど、身分証代わりに使ってるだけです」
「なら今度は綺咲が運転してみるか?」
「ええ!? い、いや、私は……それに、こんな高級そうな車を運転してぶつけでもしたら……」
「そんなに気負う事は無い。まあ、少しでも興味があれば運転の練習に付き合ってやるからいつでも言ってくれ」
「は、はい。その時は、よろしくお願いします」
初めこそあまり会話が無かった私たちだけど、時間が経つにつれて会話も増えていき、気付けば目的地に到着していた。