その手で強く、抱きしめて
3
「五條 綺咲です、よろしくお願い致します」
あれから暫くして、私は眞弘さんの会社で働く事になった。
今日は初日という事で、眞弘さんに連れられて各部署へ挨拶周りをしていた。
そして、私の配属先でもある総務部にやって来ると、
「この子が話していた女の子っすね? 可愛いなぁ〜! あ、オレ新堂 律都。よろしくぅ〜!」
「この馬鹿は放っておいていいから。私は八千代 雅、よろしくね」
私と比較的年齢の近そうな新堂さんと八千代さんが真っ先に挨拶を返してくれた。
「律都、雅、話した通り、コイツの指導はお前たち二人に頼みたい。綺咲、分からねぇ事は何でも聞いて、早く仕事を覚えてくれ」
眞弘さんから私の事を任された二人は笑顔で「分かりました!」と答え、そんな二人に何でも聞くようにと言われた私は「はい」と頷いて社長室へ戻る彼を見送った。
「それじゃあ早速仕事――と、その前に、他のメンバーを紹介するね。窓際に座ってるのが名壷 弥生さん。その隣に座ってるのが道橋 駿介さん、それから――」
八千代さんの隣の席に着いた私は、仕事を始める前に他の総務部の面々の紹介を受けた。
総務部は今席を外している総務部長を含め、六人の人がいて、皆それぞれ眞弘さんからスカウトをされてこの会社に来たという。
「それから、基本この部署は部長以外の人の事は皆名前呼びなの。部長の事は『部長』って呼ぶから名前呼びじゃないだけだけどね。だから、綺咲ちゃんも名前呼びでね。その方が距離感縮まる気がするでしょ?」
「確かに、それはそうですけど、何だか、不思議な感じがします」
「まあ、他じゃそんな事無理だもんね。これは社長である眞弘さんが決めた方針なの。だから、眞弘さんも社員全員を名前で呼ぶんだよ」
「そうなんですね」
「あ、それと私たち年齢も近そうだし、敬語はいらないから! 気軽に話し掛けてね、綺咲ちゃん」
「あ、オレもオレも! 敬語は無しね〜!」
「アンタには聞いてないから!」
雅さんや律都さんのお陰で緊張はすっかり解され、勤務初日から楽しい気持ちで過ごす事が出来た。
あれから暫くして、私は眞弘さんの会社で働く事になった。
今日は初日という事で、眞弘さんに連れられて各部署へ挨拶周りをしていた。
そして、私の配属先でもある総務部にやって来ると、
「この子が話していた女の子っすね? 可愛いなぁ〜! あ、オレ新堂 律都。よろしくぅ〜!」
「この馬鹿は放っておいていいから。私は八千代 雅、よろしくね」
私と比較的年齢の近そうな新堂さんと八千代さんが真っ先に挨拶を返してくれた。
「律都、雅、話した通り、コイツの指導はお前たち二人に頼みたい。綺咲、分からねぇ事は何でも聞いて、早く仕事を覚えてくれ」
眞弘さんから私の事を任された二人は笑顔で「分かりました!」と答え、そんな二人に何でも聞くようにと言われた私は「はい」と頷いて社長室へ戻る彼を見送った。
「それじゃあ早速仕事――と、その前に、他のメンバーを紹介するね。窓際に座ってるのが名壷 弥生さん。その隣に座ってるのが道橋 駿介さん、それから――」
八千代さんの隣の席に着いた私は、仕事を始める前に他の総務部の面々の紹介を受けた。
総務部は今席を外している総務部長を含め、六人の人がいて、皆それぞれ眞弘さんからスカウトをされてこの会社に来たという。
「それから、基本この部署は部長以外の人の事は皆名前呼びなの。部長の事は『部長』って呼ぶから名前呼びじゃないだけだけどね。だから、綺咲ちゃんも名前呼びでね。その方が距離感縮まる気がするでしょ?」
「確かに、それはそうですけど、何だか、不思議な感じがします」
「まあ、他じゃそんな事無理だもんね。これは社長である眞弘さんが決めた方針なの。だから、眞弘さんも社員全員を名前で呼ぶんだよ」
「そうなんですね」
「あ、それと私たち年齢も近そうだし、敬語はいらないから! 気軽に話し掛けてね、綺咲ちゃん」
「あ、オレもオレも! 敬語は無しね〜!」
「アンタには聞いてないから!」
雅さんや律都さんのお陰で緊張はすっかり解され、勤務初日から楽しい気持ちで過ごす事が出来た。