その手で強く、抱きしめて
「綺咲、初出勤の感想は?」
その夜、夕御飯を眞弘さんと食べていた私は職場についての感想を求められたので思ったままを口にする。
「初めは緊張しましたけど、雅ちゃんや律都さんのおかげで楽しく過ごす事が出来ました」
「そうか。やはりアイツらをお前の教育係に選んで正解だったな。これからやっていけそうか?」
「はい! 早く仕事を覚えて戦力になれるよう頑張ります」
「ああ、期待しているぞ」
こうして私は私生活も仕事も順調で日々が充実していくにつれて、直倫の事で悩み苦しんでいた頃が遠い昔のように感じていた。
仕事も前の職場より楽しくてやり甲斐もあって、すぐに馴染む事が出来た。
「綺咲ちゃんは覚えが良いね! 律都とは大違い」
「あん? お前本当、嫌味ばっかりだな。そんなんじゃ嫁の貰い手ねぇぞ」
「煩い! アンタにそんな心配してもらわなくて結構ですぅー!」
特に、雅ちゃんと律都さんは仲が良く、そんな二人と居ると私まで楽しくなる。
「そう言えばさ、綺咲ちゃんって眞弘さんの家で暮らしてるんだよね?」
「あ、うん、そうなの。ここへ来る前、色々あって……」
「詳しくは聞いてないけど、大変だったみたいだよね。眞弘さんに助けて貰えて本当に良かったよね」
「そうだよね、運が良かったんだよね。そう言えば、雅ちゃんや律都さんは眞弘さんの事、昔から知ってるの?」
「ううん、私も律都もここへ来てまだ二年くらいだし、そんなに詳しくは知らないかな。全て知ってるのは秘書の梶原さんくらいじゃない?」
「あ~でも俺、前に眞弘さんの彼女についてチラッと聞いた事あるよ」
「えー? 本当に?」
「まあ、結構前だけどさ、眞弘さんが社長に就任した頃、結婚を考えてた女の人がいたって」
「えー? 結婚? それで、その人は?」
「さあな? 結婚してないんだから、何か理由があって別れたんじゃねーの?」
「まあそうだよね。そっか、結婚を意識した人がいたんだぁ。まあ、いてもおかしくは無いよね。あんなに優しくて仕事も出来てイケメンなんだから」
「だなぁ。俺も見習わねーと」
「アンタには一生無理よ」
「何だよ、無理って」
二人はいつもの如く言い合いを始める中、私は眞弘さんの過去の彼女の話が気になり、胸にはモヤモヤが広がっていた。
その夜、夕御飯を眞弘さんと食べていた私は職場についての感想を求められたので思ったままを口にする。
「初めは緊張しましたけど、雅ちゃんや律都さんのおかげで楽しく過ごす事が出来ました」
「そうか。やはりアイツらをお前の教育係に選んで正解だったな。これからやっていけそうか?」
「はい! 早く仕事を覚えて戦力になれるよう頑張ります」
「ああ、期待しているぞ」
こうして私は私生活も仕事も順調で日々が充実していくにつれて、直倫の事で悩み苦しんでいた頃が遠い昔のように感じていた。
仕事も前の職場より楽しくてやり甲斐もあって、すぐに馴染む事が出来た。
「綺咲ちゃんは覚えが良いね! 律都とは大違い」
「あん? お前本当、嫌味ばっかりだな。そんなんじゃ嫁の貰い手ねぇぞ」
「煩い! アンタにそんな心配してもらわなくて結構ですぅー!」
特に、雅ちゃんと律都さんは仲が良く、そんな二人と居ると私まで楽しくなる。
「そう言えばさ、綺咲ちゃんって眞弘さんの家で暮らしてるんだよね?」
「あ、うん、そうなの。ここへ来る前、色々あって……」
「詳しくは聞いてないけど、大変だったみたいだよね。眞弘さんに助けて貰えて本当に良かったよね」
「そうだよね、運が良かったんだよね。そう言えば、雅ちゃんや律都さんは眞弘さんの事、昔から知ってるの?」
「ううん、私も律都もここへ来てまだ二年くらいだし、そんなに詳しくは知らないかな。全て知ってるのは秘書の梶原さんくらいじゃない?」
「あ~でも俺、前に眞弘さんの彼女についてチラッと聞いた事あるよ」
「えー? 本当に?」
「まあ、結構前だけどさ、眞弘さんが社長に就任した頃、結婚を考えてた女の人がいたって」
「えー? 結婚? それで、その人は?」
「さあな? 結婚してないんだから、何か理由があって別れたんじゃねーの?」
「まあそうだよね。そっか、結婚を意識した人がいたんだぁ。まあ、いてもおかしくは無いよね。あんなに優しくて仕事も出来てイケメンなんだから」
「だなぁ。俺も見習わねーと」
「アンタには一生無理よ」
「何だよ、無理って」
二人はいつもの如く言い合いを始める中、私は眞弘さんの過去の彼女の話が気になり、胸にはモヤモヤが広がっていた。