虐げられた人生に別れを告げた私は悪女の道を歩む
2-6 母と家庭教師の不義現場
バンッ!!
私はわざと大きな音を立ててクローゼットのドアを開けた。
「キャアッ!」
「うわあっ!!」
ベッドの上から母と浮気相手の歴史の家庭教師、トーマスが起き上がった。
「何ておぞましい……」
顔を歪めながら2人を見下ろした。
「ラ、ラ、ライザッ!!」
母は悲痛な声で私を見た。その表情はこわばっている。
「ミス・ライザ……な、何故ここに……?」
優男のトーマスはガタガタ震えながら私を見ている。
「ふ~ん……」
私はベッドの上で裸のまま震えている情けない母と家庭教師に、軽蔑の眼差しを向けた。
そして汚らしいものをつまむようなそぶりで家庭教師の着ていたシャツを拾い上げる。
「何故ここに……? それは私の台詞です。まさか私の家庭教師が母とそのような関係を持っているとは驚きですわ」
そしてさらに母を冷たい目で見た。
「お母様。もう今年で御幾つになられたのですか? 少しは自分の年を考えられたら如何です? そんな20歳も年の離れた……しかも娘の家庭教師が愛人だなんて世間に知られたらどうでしょうね? 今、私がここで大声を出そうものなら屋敷中の使用人たちがこの部屋に押し寄せて来る事になるでしょう」
「ラ、ライザ……な、何が目的なのっ!?」
母は情けない程に髪を振り乱しながら震えている。本当に何て醜い姿なのだろう。
「お母様、私は先ほどクローゼットの中に隠れておりましたが……何ですか? あのドレスの山は。新品なドレスばかりでしたね? 娘の私には一度もドレスを買ってくれた事もないのにそちらの愛人には物を買い与えているという噂を私が知らないとでも思っているのですか?」
「ライザッ!! わ、私が悪かったわ! だから……望みを……望みを言って頂戴っ!」
母はほぼ絶叫するように訴えてきた。
「望みですか? ならお金を下さい。今すぐここで、金貨100枚下さい」
「な、何ですって……? き、金貨100枚……無理言わないで頂戴っ! そんな大金この私が持っているはずないでしょう!?」
目に涙を浮かべながら母は私を見ている。……情に訴えるつもりなのかもしれないがもう全ては遅すぎる。
「お母様、ここまで来てまだそのような嘘を言うのですか?」
私はわざと大きなため息をついた。そしてチラリと家庭教師を見るが、彼は沈黙を決めつけているのかキルトを頭からかぶったまま身動きすらしない。
「先程、私はクローゼットの中にいたと言いましたよね」
ドレスのポケットから重たい布袋を取り出した。
「ま、まさか……その袋の中身は……?」
母は歯をガチガチ鳴らしながら私を見つめる。
「ええ。これはお母様のヘソクリですよね? お2人の淫らな声を聞きながら、私はここでこの袋の中の金貨を数えた処丁度100枚ありました。これを口止め料と今までの私に対する慰謝料として受け取らせて頂きますね」
そして部屋を出て行こう背を向けた。その時……。
「ライザッ! あ、貴女と言う人は……それでも実の娘なのっ!?」
母が涙声で叫んだ。私は溜息をついて振り向いた。
「お母様、その台詞を貴女が言うのですか?」
「……っ!」
その言葉に歯を食いしばる母。
私は次に家庭教師を指さした
「先生は、もう今日限りクビです。もし再びこの屋敷を訪れるような事があれば私は裁判所に訴えますよ? 不倫の罪は重い、という事位存じですよね?」
そして私は母のヘソクリ100枚と家庭教師のシャツを握りしめたまま部屋を出ようとした。
「ミス・ライザッ!! ま、待ってくれ! 私のシャツを返してくれっ!」
家庭教師が手を伸ばして訴えてきた。
「いいえ、こちらはあなた方が密通していた証拠物品として押収させて頂きます。では御機嫌よう」
そして今度こそ、私はこの不快極まりない部屋を後にした――
私はわざと大きな音を立ててクローゼットのドアを開けた。
「キャアッ!」
「うわあっ!!」
ベッドの上から母と浮気相手の歴史の家庭教師、トーマスが起き上がった。
「何ておぞましい……」
顔を歪めながら2人を見下ろした。
「ラ、ラ、ライザッ!!」
母は悲痛な声で私を見た。その表情はこわばっている。
「ミス・ライザ……な、何故ここに……?」
優男のトーマスはガタガタ震えながら私を見ている。
「ふ~ん……」
私はベッドの上で裸のまま震えている情けない母と家庭教師に、軽蔑の眼差しを向けた。
そして汚らしいものをつまむようなそぶりで家庭教師の着ていたシャツを拾い上げる。
「何故ここに……? それは私の台詞です。まさか私の家庭教師が母とそのような関係を持っているとは驚きですわ」
そしてさらに母を冷たい目で見た。
「お母様。もう今年で御幾つになられたのですか? 少しは自分の年を考えられたら如何です? そんな20歳も年の離れた……しかも娘の家庭教師が愛人だなんて世間に知られたらどうでしょうね? 今、私がここで大声を出そうものなら屋敷中の使用人たちがこの部屋に押し寄せて来る事になるでしょう」
「ラ、ライザ……な、何が目的なのっ!?」
母は情けない程に髪を振り乱しながら震えている。本当に何て醜い姿なのだろう。
「お母様、私は先ほどクローゼットの中に隠れておりましたが……何ですか? あのドレスの山は。新品なドレスばかりでしたね? 娘の私には一度もドレスを買ってくれた事もないのにそちらの愛人には物を買い与えているという噂を私が知らないとでも思っているのですか?」
「ライザッ!! わ、私が悪かったわ! だから……望みを……望みを言って頂戴っ!」
母はほぼ絶叫するように訴えてきた。
「望みですか? ならお金を下さい。今すぐここで、金貨100枚下さい」
「な、何ですって……? き、金貨100枚……無理言わないで頂戴っ! そんな大金この私が持っているはずないでしょう!?」
目に涙を浮かべながら母は私を見ている。……情に訴えるつもりなのかもしれないがもう全ては遅すぎる。
「お母様、ここまで来てまだそのような嘘を言うのですか?」
私はわざと大きなため息をついた。そしてチラリと家庭教師を見るが、彼は沈黙を決めつけているのかキルトを頭からかぶったまま身動きすらしない。
「先程、私はクローゼットの中にいたと言いましたよね」
ドレスのポケットから重たい布袋を取り出した。
「ま、まさか……その袋の中身は……?」
母は歯をガチガチ鳴らしながら私を見つめる。
「ええ。これはお母様のヘソクリですよね? お2人の淫らな声を聞きながら、私はここでこの袋の中の金貨を数えた処丁度100枚ありました。これを口止め料と今までの私に対する慰謝料として受け取らせて頂きますね」
そして部屋を出て行こう背を向けた。その時……。
「ライザッ! あ、貴女と言う人は……それでも実の娘なのっ!?」
母が涙声で叫んだ。私は溜息をついて振り向いた。
「お母様、その台詞を貴女が言うのですか?」
「……っ!」
その言葉に歯を食いしばる母。
私は次に家庭教師を指さした
「先生は、もう今日限りクビです。もし再びこの屋敷を訪れるような事があれば私は裁判所に訴えますよ? 不倫の罪は重い、という事位存じですよね?」
そして私は母のヘソクリ100枚と家庭教師のシャツを握りしめたまま部屋を出ようとした。
「ミス・ライザッ!! ま、待ってくれ! 私のシャツを返してくれっ!」
家庭教師が手を伸ばして訴えてきた。
「いいえ、こちらはあなた方が密通していた証拠物品として押収させて頂きます。では御機嫌よう」
そして今度こそ、私はこの不快極まりない部屋を後にした――