虐げられた人生に別れを告げた私は悪女の道を歩む
3-3 ショータイムの始まり
ジュリアン侯爵が連れて来てくれたシーフード料理店は港の近くにあった。
オープンテラスがある店は木の板の床で、いかにもな雰囲気を醸し出している。食事に来ている人々も多種多様で身分の高そうな貴族や、平民も訪れている。
「この店は味の割には値段もリーズナブルで貴族だけでなく平民の人々にも人気があるんですよ」
「そうなんですね……。素敵です」
身分を問わず、愛されるレストラン。何て素敵なんだろう。店内に入ると、素早くウェイターが近づいて来た。
「これはこれはジュリアン侯爵様。本日も足を運んでいただき、光栄でございます」
「今日はこの令嬢と一緒にシーフード料理を頂きに来たよ。本日のおすすめメニューを出してくれるね?」
「はい、勿論でございます。それでお席はどういたしましょう?いつものお席でよろしいでしょうか?」
「ああ、頼む。それで……」
ジュリアン侯爵はウェイターに何事か耳元で囁くと、ウェイターは満足げに頷く。
「はい、承知致しました。仰せの通りに致します」
一体ジュリアン侯爵はあのウェイターに何を囁いたのだろうか? じっと見つめると、私の視線に気づいたのかジュリアン侯爵はこちらを見て笑みを浮かべた。
「さて、ライザ。では参りましょう」
ジュリアン侯爵に促され、私は侯爵の後に続いた。
ウェイターに案内された部屋は真っ白い壁に白い大理石の床の美しい部屋だった。
3つのテーブル席があり、私たちは窓際の席を案内された。
「それじゃ頼むよ」
ジュリアン侯爵が声を掛けるとウェイターは頷き、大きな観葉植物を3個運んできた。そして隣の席が見えなくなるように並べていく。
「あの……これは一体……?」
尋ねるとジュリアン侯爵はまるでいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「これはね、下準備さ」
「下準備?」
「はい。この後、ここで面白いショーを見る為のね」
並べられた観葉植物のお陰で隣の席は隠され、かろうじて葉の隙間からその様子がうかがえる。
「いかがでしょうか? ジュリアン侯爵様」
「ああ、上出来だよ。それでは早速料理を運んでくれるかな?」
「はい、承知致しました」
ウェイターは頭を下げると、部屋を後にした。
「ライザ、今日は全てシェフのおすすめ料理を注文したんだよ。何が出てくるのか楽しみにしてるといい」
「はい!」
****
運ばれてきた料理はどれも素晴らしい絶品料理ばかりだった。シーフードサラダにシーフードグラタン、カキのクラムチャウダーにロブスター…あまりにも美味しくて思わず笑みを浮かべた時、個室のドアが開かれた。
「ライザ、これから特別なショーが始まるから静かに料理を楽しむんだよ?」
心なしか、ジュリアン侯爵の表情に緊張が走っている。これが今からショーを楽しむ人の顔つきなのだろうか?
そうこうしているうちに、ウェイターに案内されたのか。数名の客が私たちの隣の席に座った。観葉植物の陰からは席に座った人達の様子がうかがえた。
隣の席の男が次から次へとウェイターに料理を注文している。それはものすごい量だった。聞いているこっちがお腹いっぱいになりそうである。
やがて全ての料理のオーダーを聞いたウェイターが去ると、ある人物が口を開いた。
「全く……人がお金を出すからと言って、いくら何でも注文し過ぎでは無いか? 少しは遠慮したまえ。おまけにいつまで私に付きまとう気なのだ? もういい加減私を開放してくれ……頼む……!」
その声を聞いて私は血の気が引いた。
声の主は父だったのだ――
オープンテラスがある店は木の板の床で、いかにもな雰囲気を醸し出している。食事に来ている人々も多種多様で身分の高そうな貴族や、平民も訪れている。
「この店は味の割には値段もリーズナブルで貴族だけでなく平民の人々にも人気があるんですよ」
「そうなんですね……。素敵です」
身分を問わず、愛されるレストラン。何て素敵なんだろう。店内に入ると、素早くウェイターが近づいて来た。
「これはこれはジュリアン侯爵様。本日も足を運んでいただき、光栄でございます」
「今日はこの令嬢と一緒にシーフード料理を頂きに来たよ。本日のおすすめメニューを出してくれるね?」
「はい、勿論でございます。それでお席はどういたしましょう?いつものお席でよろしいでしょうか?」
「ああ、頼む。それで……」
ジュリアン侯爵はウェイターに何事か耳元で囁くと、ウェイターは満足げに頷く。
「はい、承知致しました。仰せの通りに致します」
一体ジュリアン侯爵はあのウェイターに何を囁いたのだろうか? じっと見つめると、私の視線に気づいたのかジュリアン侯爵はこちらを見て笑みを浮かべた。
「さて、ライザ。では参りましょう」
ジュリアン侯爵に促され、私は侯爵の後に続いた。
ウェイターに案内された部屋は真っ白い壁に白い大理石の床の美しい部屋だった。
3つのテーブル席があり、私たちは窓際の席を案内された。
「それじゃ頼むよ」
ジュリアン侯爵が声を掛けるとウェイターは頷き、大きな観葉植物を3個運んできた。そして隣の席が見えなくなるように並べていく。
「あの……これは一体……?」
尋ねるとジュリアン侯爵はまるでいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「これはね、下準備さ」
「下準備?」
「はい。この後、ここで面白いショーを見る為のね」
並べられた観葉植物のお陰で隣の席は隠され、かろうじて葉の隙間からその様子がうかがえる。
「いかがでしょうか? ジュリアン侯爵様」
「ああ、上出来だよ。それでは早速料理を運んでくれるかな?」
「はい、承知致しました」
ウェイターは頭を下げると、部屋を後にした。
「ライザ、今日は全てシェフのおすすめ料理を注文したんだよ。何が出てくるのか楽しみにしてるといい」
「はい!」
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運ばれてきた料理はどれも素晴らしい絶品料理ばかりだった。シーフードサラダにシーフードグラタン、カキのクラムチャウダーにロブスター…あまりにも美味しくて思わず笑みを浮かべた時、個室のドアが開かれた。
「ライザ、これから特別なショーが始まるから静かに料理を楽しむんだよ?」
心なしか、ジュリアン侯爵の表情に緊張が走っている。これが今からショーを楽しむ人の顔つきなのだろうか?
そうこうしているうちに、ウェイターに案内されたのか。数名の客が私たちの隣の席に座った。観葉植物の陰からは席に座った人達の様子がうかがえた。
隣の席の男が次から次へとウェイターに料理を注文している。それはものすごい量だった。聞いているこっちがお腹いっぱいになりそうである。
やがて全ての料理のオーダーを聞いたウェイターが去ると、ある人物が口を開いた。
「全く……人がお金を出すからと言って、いくら何でも注文し過ぎでは無いか? 少しは遠慮したまえ。おまけにいつまで私に付きまとう気なのだ? もういい加減私を開放してくれ……頼む……!」
その声を聞いて私は血の気が引いた。
声の主は父だったのだ――