虐げられた人生に別れを告げた私は悪女の道を歩む
3-11 クズな両親
「ではジュリアン侯爵様、一体ライザにどのようなご用件でいらしたのでしょうか?」
父は気持ち悪いくらい下手に出ながらジュリアン侯爵に尋ねてきた。
「ええ。本日こちらへ伺ったのは他でもありません。ライザに私の婚約者になってもらいたいと思い、ご挨拶に参りました」
「「「えっ!?」」」
私、父、母が同時に声を上げる。
「どうでしょう?ライザ。私の婚約者になって頂けますか?」
「ジュリアン様…」
こんなに美しい侯爵様が私みたいな女性を婚約者になってもらいたいなんて……。いや、でもこれはひょっとすると私をエンブロイ侯爵から助ける為に演技してくれているのかもしれない。いや、絶対そうに決まっている。ならば、私もジュリアン侯爵の話に乗らなければ。
「ええ、ジュリアン様。私で良ければどうぞ妻にしていただけますか?」
「ならぬっ!!」
思った通り、父が突然激高した。
「あなた。何故反対するのですか? あのライザにですよ? こんな素晴らしい縁談が舞い込んでくるなんて喜ばしいことではありませんか」
私が金貨3000枚でエンブロイ侯爵に身売りされる事実を知らない母は父に訴える。最も母は愛人の秘密を私に握られているので、早くこの屋敷から追い出したいと言う気持ちもあるのかもしれないが。
「ならぬっ! ライザは来月縁談が決まっているのだっ!」
ついに父は口を割った!
「ええっ!? お父様、それは本当の話ですか? そんな話、私は初耳です」
本当は盗み聞きして知っているけれどもとぼけることにした。
「おや? モンタナ伯爵。来月に縁談が決まっているというのに肝心のライザがその話を知らないようですが、一体これはどういうことなのでしょうか?」
ジュリアン侯爵はなかなか演技派だ。とても素人には思えない。
「実は……今日、そう……今日話そうと思っていたのだっ! ライザ。相手の方は侯爵様だ。何、少し年齢が離れてはいるが……だからこそ年若いお前をきっと可愛がってくれるだろう」
「どういうことですか、あなた。何故妻である私に何も話して下さらないのですか? 侯爵だけでは分かりません。お名前を仰って下さい!」
すると父は重々しい口を開いた。
「な、名前は……エンブロイ侯爵だ……」
するとそれを聞いた母は顔面蒼白になった。こんな母でも娘の事を少しは心配してくれているのだろうか?
「何ですって!? さてはライザを売ったのですね? 一体いくらで売ったのですか!? それほど我が家はお金に困っていたのですか!?」
母はヒステリックにわめきだした。
え? ちょっと待って。何だか母が怒っている理由……少しおかしいのでは? どうも私がエンブロイ侯爵に売られてしまった事実よりも、この屋敷が実はお金に困っているという事実の方が重要だと言ってるみたいだけど……?
ジュリアン侯爵を見ると、両親をまるで汚らしいものでも見るような軽蔑した目で見つめているのが分かった。
それは確かに引かれて当然だろう。
こんな醜態を目の前で繰り広げているのだから。
「さあ! あなたっ! 一体いくらでライザを売ったのですか!?」
「金貨…3000枚…だ…」
「何ですって? たったの金貨3000枚ですか? 安いっ! 安すぎますっ! 一体私の娘を何だと思っているのですか? 金貨5000枚に釣り上げてくださいっ!」
「馬鹿を言うなっ! あの娘にそのような価値があるはずなかろうっ!」
出たっ! ついに両親のクズ発言が出てしまった。
私は自分の運命を呪った。
何故このような家に生まれてきてしまったのだと――
父は気持ち悪いくらい下手に出ながらジュリアン侯爵に尋ねてきた。
「ええ。本日こちらへ伺ったのは他でもありません。ライザに私の婚約者になってもらいたいと思い、ご挨拶に参りました」
「「「えっ!?」」」
私、父、母が同時に声を上げる。
「どうでしょう?ライザ。私の婚約者になって頂けますか?」
「ジュリアン様…」
こんなに美しい侯爵様が私みたいな女性を婚約者になってもらいたいなんて……。いや、でもこれはひょっとすると私をエンブロイ侯爵から助ける為に演技してくれているのかもしれない。いや、絶対そうに決まっている。ならば、私もジュリアン侯爵の話に乗らなければ。
「ええ、ジュリアン様。私で良ければどうぞ妻にしていただけますか?」
「ならぬっ!!」
思った通り、父が突然激高した。
「あなた。何故反対するのですか? あのライザにですよ? こんな素晴らしい縁談が舞い込んでくるなんて喜ばしいことではありませんか」
私が金貨3000枚でエンブロイ侯爵に身売りされる事実を知らない母は父に訴える。最も母は愛人の秘密を私に握られているので、早くこの屋敷から追い出したいと言う気持ちもあるのかもしれないが。
「ならぬっ! ライザは来月縁談が決まっているのだっ!」
ついに父は口を割った!
「ええっ!? お父様、それは本当の話ですか? そんな話、私は初耳です」
本当は盗み聞きして知っているけれどもとぼけることにした。
「おや? モンタナ伯爵。来月に縁談が決まっているというのに肝心のライザがその話を知らないようですが、一体これはどういうことなのでしょうか?」
ジュリアン侯爵はなかなか演技派だ。とても素人には思えない。
「実は……今日、そう……今日話そうと思っていたのだっ! ライザ。相手の方は侯爵様だ。何、少し年齢が離れてはいるが……だからこそ年若いお前をきっと可愛がってくれるだろう」
「どういうことですか、あなた。何故妻である私に何も話して下さらないのですか? 侯爵だけでは分かりません。お名前を仰って下さい!」
すると父は重々しい口を開いた。
「な、名前は……エンブロイ侯爵だ……」
するとそれを聞いた母は顔面蒼白になった。こんな母でも娘の事を少しは心配してくれているのだろうか?
「何ですって!? さてはライザを売ったのですね? 一体いくらで売ったのですか!? それほど我が家はお金に困っていたのですか!?」
母はヒステリックにわめきだした。
え? ちょっと待って。何だか母が怒っている理由……少しおかしいのでは? どうも私がエンブロイ侯爵に売られてしまった事実よりも、この屋敷が実はお金に困っているという事実の方が重要だと言ってるみたいだけど……?
ジュリアン侯爵を見ると、両親をまるで汚らしいものでも見るような軽蔑した目で見つめているのが分かった。
それは確かに引かれて当然だろう。
こんな醜態を目の前で繰り広げているのだから。
「さあ! あなたっ! 一体いくらでライザを売ったのですか!?」
「金貨…3000枚…だ…」
「何ですって? たったの金貨3000枚ですか? 安いっ! 安すぎますっ! 一体私の娘を何だと思っているのですか? 金貨5000枚に釣り上げてくださいっ!」
「馬鹿を言うなっ! あの娘にそのような価値があるはずなかろうっ!」
出たっ! ついに両親のクズ発言が出てしまった。
私は自分の運命を呪った。
何故このような家に生まれてきてしまったのだと――