虐げられた人生に別れを告げた私は悪女の道を歩む
3-15 悪女とジュリアン侯爵の計画
私とジュリアン侯爵が耳打ちしている姿を父と母はまるで死刑宣告でも待っているかのような恐怖に震えた目で見つめている。私はそんな両親を見ていい気味だと思った。今まで散々私を苦しめてきたのだ。これからはその立場が逆になる。そう考えただけで心が浮き立ち、つい笑みが浮かんでしまった。
するとそれを目にした母が今度は急に泣きついてきた。
「お、お願いよライザッ! 私はお腹を痛めて貴女を生んだ実の母よ? その母に対して酷い仕打ちを考えてはいないでしょうね? 私は信じていますよ。貴女は心の優しい娘だと……!」
すると父が怒鳴りつけた。
「うるさいっ! このあばずれ女めっ! お前のような色欲にまみれた母親をあの生真面目なライザが許すとでも思っているのか? お前こそ、ライザに何もしてやってはいないだろう? 私と同罪だっ! 自分だけ免れようとは思うなっ!」
「何ですって……? 大体何故貴女は借金を作ったのです!? 正直に話して頂戴っ!」
いつまでも激しい言い争いを続ける彼らをもう黙って見ているのは我慢の限界だった。するとジュリアン侯爵が再び耳打ちしてきた。
「ライザ、あの二人の事はもう捨ておきましょう。とりあえずは私の屋敷に向いましょう。馬車の中で今後の計画の話を進めることに致しましょうか? ここではうるさくて話も出来ませんからね」
「はい、分かりました。ジュリアン侯爵様」
そして私はジュリアン侯爵にエスコートされ、18年間虐げられ続けてきた家をついに出ることになったのだ。父と母は私たちが客室を出ていくことすら気づかず言い争いをしていた。
ジュリアン侯爵の立派な馬車に2人で向かい合わせに座るとすぐに馬車は走り出した。私はどんどん小さくなっていく屋敷を眺めながら心の中で語り掛けた。
さよなら、お父様。お母様。私は家を出ます。これから先あなた方には様々な試練が待っていますが、どれだけ耐えられるでしょうか?せいぜい頑張って耐え抜いて下さいね……。
私が笑みを浮かべて馬車に揺られている姿をジュリアン侯爵は優しげな瞳で尋ねてきた。
「随分と楽しそうですね。ライザ」
「はい、勿論です。ようやくあの屋敷を出ることが出来たのですから。それにこれか待ち受けるあの人たちの運命を考えると面白くなりそうで今からとても楽しみです」
私の言葉にジュリアン侯爵は満足そうに頷いた。
「ええ、そうですね。あの人たちは罪人ですからね。罪人は罪人らしく、それなりの報いを受けなければなりませんから」
「でも知りませんでした。まさかジュリアン様がこの町の判事をしていなんて」
「驚かれましたか? でもライザ。貴女には本当に感謝します。色々と町の人々の訴えが最近多すぎて困っていたのです。でも貴女のおかげで、モンタナ家が関わっていた案件が浮き彫りになったのですから、これで訴えを起こしていた人々も彼らに裁きを与えることが出来るので、きっと納得してくれるでしょう。その為にも一刻も早く貴女をあの屋敷から救い出したかった。ですがようやく舞台は整いました。これからモンタナ家の転落人生が始まります。ライザ……今まで本当につらい日々をすごしていたでしょうが、もうその生活ともお別れです。これからは幸せになる時間ですよ」
「ジュリアン様、本当にありがとうございます」
思わず目頭が熱くなった。
「ではライザ。貴女の要望通り、一月後にモンタナ家からの除籍手続きをしましょうね。エンブロイ侯爵には私の方から金貨5000枚を明日支払ってきますのでご安心下さい」
「何から何までありがとうございます」
後一か月後に訪れる彼らの末路。フフフ……今からとても楽しみだ。
「ジュリアン様。今夜は乾杯したい気分です」
「いいですねえ。一緒に前祝の祝杯でもあげましょうか?」
そして私たちは馬車の中で微笑みあうのだった――
するとそれを目にした母が今度は急に泣きついてきた。
「お、お願いよライザッ! 私はお腹を痛めて貴女を生んだ実の母よ? その母に対して酷い仕打ちを考えてはいないでしょうね? 私は信じていますよ。貴女は心の優しい娘だと……!」
すると父が怒鳴りつけた。
「うるさいっ! このあばずれ女めっ! お前のような色欲にまみれた母親をあの生真面目なライザが許すとでも思っているのか? お前こそ、ライザに何もしてやってはいないだろう? 私と同罪だっ! 自分だけ免れようとは思うなっ!」
「何ですって……? 大体何故貴女は借金を作ったのです!? 正直に話して頂戴っ!」
いつまでも激しい言い争いを続ける彼らをもう黙って見ているのは我慢の限界だった。するとジュリアン侯爵が再び耳打ちしてきた。
「ライザ、あの二人の事はもう捨ておきましょう。とりあえずは私の屋敷に向いましょう。馬車の中で今後の計画の話を進めることに致しましょうか? ここではうるさくて話も出来ませんからね」
「はい、分かりました。ジュリアン侯爵様」
そして私はジュリアン侯爵にエスコートされ、18年間虐げられ続けてきた家をついに出ることになったのだ。父と母は私たちが客室を出ていくことすら気づかず言い争いをしていた。
ジュリアン侯爵の立派な馬車に2人で向かい合わせに座るとすぐに馬車は走り出した。私はどんどん小さくなっていく屋敷を眺めながら心の中で語り掛けた。
さよなら、お父様。お母様。私は家を出ます。これから先あなた方には様々な試練が待っていますが、どれだけ耐えられるでしょうか?せいぜい頑張って耐え抜いて下さいね……。
私が笑みを浮かべて馬車に揺られている姿をジュリアン侯爵は優しげな瞳で尋ねてきた。
「随分と楽しそうですね。ライザ」
「はい、勿論です。ようやくあの屋敷を出ることが出来たのですから。それにこれか待ち受けるあの人たちの運命を考えると面白くなりそうで今からとても楽しみです」
私の言葉にジュリアン侯爵は満足そうに頷いた。
「ええ、そうですね。あの人たちは罪人ですからね。罪人は罪人らしく、それなりの報いを受けなければなりませんから」
「でも知りませんでした。まさかジュリアン様がこの町の判事をしていなんて」
「驚かれましたか? でもライザ。貴女には本当に感謝します。色々と町の人々の訴えが最近多すぎて困っていたのです。でも貴女のおかげで、モンタナ家が関わっていた案件が浮き彫りになったのですから、これで訴えを起こしていた人々も彼らに裁きを与えることが出来るので、きっと納得してくれるでしょう。その為にも一刻も早く貴女をあの屋敷から救い出したかった。ですがようやく舞台は整いました。これからモンタナ家の転落人生が始まります。ライザ……今まで本当につらい日々をすごしていたでしょうが、もうその生活ともお別れです。これからは幸せになる時間ですよ」
「ジュリアン様、本当にありがとうございます」
思わず目頭が熱くなった。
「ではライザ。貴女の要望通り、一月後にモンタナ家からの除籍手続きをしましょうね。エンブロイ侯爵には私の方から金貨5000枚を明日支払ってきますのでご安心下さい」
「何から何までありがとうございます」
後一か月後に訪れる彼らの末路。フフフ……今からとても楽しみだ。
「ジュリアン様。今夜は乾杯したい気分です」
「いいですねえ。一緒に前祝の祝杯でもあげましょうか?」
そして私たちは馬車の中で微笑みあうのだった――