虐げられた人生に別れを告げた私は悪女の道を歩む
4-10 悪女と運命の誕生パーティー
コツ・コツ・コツ……。
真っ赤なハイヒールに真紅のドレスを見に纏い、髪をハーフアップにした私は女性騎士にエスコートされ、ジュリアン侯爵の待つエントランスへとやってきた。ヘアアクセサリーとイヤリングにネックレスは全ておそろいでエメラルドグリーンのダイヤで出来ている。
「お待たせいたしました。ジュリアン様」
私が声を掛けると、ジュリアン侯爵は目を細めた。
「これは驚いたな……どこの国の女神かと思った。まさか君がここまで妖艶な美女に変身するとは誰も想像にしなかっただろうね。この私以外は」
最後のセリフは私の耳元で囁くように言うジュリアン侯爵。お世辞なのかもしれないが、その言葉に私の頬は赤く染まる。
「そ、そんな……御冗談はおやめになって下さいませ」
するとジュリアン侯爵は真面目な顔になる。
「私は至って真面目に話をしているよ。きっと今夜君を見た男性陣は目を丸くして驚くだろうね。なにせ今夜のパーティーはかなり特殊な誕生パーティーになるからね。ではライザ。モンタナ家までエスコートさせて下さい」
ジュリアン侯爵は私に右手を差し出してきた。
「はい、よろしくお願い致します。ジュリアン様」
そして私はジュリアン侯爵の手に自分の手を重ねて2人でエントランスを抜けた。
私たちは大勢の使用人や騎士たちに見送られて馬車へと乗り込んだ。
「旦那様、行ってらっしゃいませ」
眼鏡をかけ、口元にひげを生やしたロマンスグレーのジュリアン侯爵の執事が声を掛けてくる。
「ああ、行ってくる。留守を頼むよ。明日の朝は目も回る程に忙しくなるからよろしく頼む」
すると執事は恭しく頭を下げた。
「はい、全て承知しております。お任せください」
「ああ、降ろしく頼む。ではな」
ジュリアン侯爵と執事の話が終わると、馬車はモンタナ家へと向けて走り出した。
馬車の中で向かい側に座るジュリアン侯爵に私は尋ねた。
「ところでジュリアン様。先程、かなり特殊な誕生パーティーになるからねとおっしゃっておりましたが、何がどう特殊なのでしょうか?」
するとジュリアン侯爵は少しだけ困ったような顔をする。
「ライザ……この話を聞いてもモンタナ家へ行くのをやめないと誓ってくれるかい?」
「え?」
何だろう? ひょっとしてカサンドラの誕生パーティーには私が参加を渋るような何かがあるのだろうか? でも私はこの目で父と母の……そしてカサンドラの転落していく様を見届けると決心したのだ。
「ええ、勿論です。私はこのカサンドラの誕生パーティーにどのような秘密が隠されていようとも参加を取り消すつもりは決してありません。なのでジュリアン様。教えて下さい。一体どのような特殊なパーティーになるのしょうか?」
「分かったよ、今の話でどれだけライザが本気なのか、よく分かったからね」
そしてジュリアン侯爵は向かい側の席から私の隣の席に移動すると、耳元でささやいてきた。
「!」
私はジュリアン侯爵の話に顔面蒼白になりかけた……が笑みを浮かべる。
「いいえ。それ位どうって事ありません。逆に全員の視線を浴びるのも一興だと思えばいいのですから」
私の言葉を聞いたジュリアン侯爵は満足そうに微笑み、馬車の窓から外を眺めた。
「ライザ、モンタナ家が見えてきたよ」
ジュリアン侯爵に言われ、私も馬車の窓から外を眺めた。
モンタナ家は無数の松明の明かりによって、幻想的に揺らめき、暗闇の中に浮かんでいるかのような佇まいを見せていた――
真っ赤なハイヒールに真紅のドレスを見に纏い、髪をハーフアップにした私は女性騎士にエスコートされ、ジュリアン侯爵の待つエントランスへとやってきた。ヘアアクセサリーとイヤリングにネックレスは全ておそろいでエメラルドグリーンのダイヤで出来ている。
「お待たせいたしました。ジュリアン様」
私が声を掛けると、ジュリアン侯爵は目を細めた。
「これは驚いたな……どこの国の女神かと思った。まさか君がここまで妖艶な美女に変身するとは誰も想像にしなかっただろうね。この私以外は」
最後のセリフは私の耳元で囁くように言うジュリアン侯爵。お世辞なのかもしれないが、その言葉に私の頬は赤く染まる。
「そ、そんな……御冗談はおやめになって下さいませ」
するとジュリアン侯爵は真面目な顔になる。
「私は至って真面目に話をしているよ。きっと今夜君を見た男性陣は目を丸くして驚くだろうね。なにせ今夜のパーティーはかなり特殊な誕生パーティーになるからね。ではライザ。モンタナ家までエスコートさせて下さい」
ジュリアン侯爵は私に右手を差し出してきた。
「はい、よろしくお願い致します。ジュリアン様」
そして私はジュリアン侯爵の手に自分の手を重ねて2人でエントランスを抜けた。
私たちは大勢の使用人や騎士たちに見送られて馬車へと乗り込んだ。
「旦那様、行ってらっしゃいませ」
眼鏡をかけ、口元にひげを生やしたロマンスグレーのジュリアン侯爵の執事が声を掛けてくる。
「ああ、行ってくる。留守を頼むよ。明日の朝は目も回る程に忙しくなるからよろしく頼む」
すると執事は恭しく頭を下げた。
「はい、全て承知しております。お任せください」
「ああ、降ろしく頼む。ではな」
ジュリアン侯爵と執事の話が終わると、馬車はモンタナ家へと向けて走り出した。
馬車の中で向かい側に座るジュリアン侯爵に私は尋ねた。
「ところでジュリアン様。先程、かなり特殊な誕生パーティーになるからねとおっしゃっておりましたが、何がどう特殊なのでしょうか?」
するとジュリアン侯爵は少しだけ困ったような顔をする。
「ライザ……この話を聞いてもモンタナ家へ行くのをやめないと誓ってくれるかい?」
「え?」
何だろう? ひょっとしてカサンドラの誕生パーティーには私が参加を渋るような何かがあるのだろうか? でも私はこの目で父と母の……そしてカサンドラの転落していく様を見届けると決心したのだ。
「ええ、勿論です。私はこのカサンドラの誕生パーティーにどのような秘密が隠されていようとも参加を取り消すつもりは決してありません。なのでジュリアン様。教えて下さい。一体どのような特殊なパーティーになるのしょうか?」
「分かったよ、今の話でどれだけライザが本気なのか、よく分かったからね」
そしてジュリアン侯爵は向かい側の席から私の隣の席に移動すると、耳元でささやいてきた。
「!」
私はジュリアン侯爵の話に顔面蒼白になりかけた……が笑みを浮かべる。
「いいえ。それ位どうって事ありません。逆に全員の視線を浴びるのも一興だと思えばいいのですから」
私の言葉を聞いたジュリアン侯爵は満足そうに微笑み、馬車の窓から外を眺めた。
「ライザ、モンタナ家が見えてきたよ」
ジュリアン侯爵に言われ、私も馬車の窓から外を眺めた。
モンタナ家は無数の松明の明かりによって、幻想的に揺らめき、暗闇の中に浮かんでいるかのような佇まいを見せていた――