虐げられた人生に別れを告げた私は悪女の道を歩む
4-11 女性客のいないパーティー会場
ジュリアン侯爵にエスコートされ、私はモンタナ家へと足を踏み入れた。
普段はがらんとしていた大広間には既に大勢の来賓客んで溢れていたのだが、私とジュリアン侯爵は明らかに浮いた存在であった。
それもそのはず、来賓客で女性なのは私だけだったのだから。大広間に集まった人たちは男性ばかりで、女性客は私のみ。働いているメイド達はいるものの、明らかに異質な存在として周囲の視線を一心に浴びていた。
「大丈夫かい? ライザ」
ジュリアン侯爵はそっと私に耳打ちしてくる。
「え、ええ。大丈夫です。ジュリアン様にお話を伺った時からこうなるであろうことは覚悟しておりましたから」
私は笑みを浮かべ、ジュリアン侯爵を見つめた。
「そうかい? ならいいけど。いいかい、ライザ。ここで退席しては最高のショーを見る事が出来ない。我慢して耐えるんだよ? 大丈夫。私が付いているから」
ジュリアン侯爵の私を握りしめる手に力がこもる。
ジュリアン様……。
私は彼の瞳をじっと見つめた、その時。
「こんばんは。ジュリアン侯爵」
背後から声を掛けて来る人物がいた。私はその人物に背を向けていた為、振り向いて挨拶をしようとして……息を飲んだ。そこに立っていたのはエンブロイ侯爵だったからである。
「こんばんは、エンブロイ侯爵」
ジュリアン侯爵は笑みを浮かべ、挨拶をする。私はドレスの裾をつまみ、頭を下げた。
「今宵は随分と美しい女性をお連れですな? どちら様でしょうか? それにお忘れでしょうか? 今回のこのパーティーには女性を同伴させてはいけないと招待状に書かれてありましたよね?」
え? 女性を同伴させてはいけない? そんな話は初耳だ。一体どういうことなのだろう?
私は思わずジュリアン侯爵を見上げた。するとジュリアン侯爵は私の肩を抱き寄せた。
「ええ。勿論知っておりますよ。ですがエンブロイ侯爵。この女性をご覧になってお気づきになりませんか?」
「はて……? これほどまでに美しい女性をこの私が忘れるはずが……」
エンブロイ侯爵はジロジロと私を見る。その視線がまるで嘗め回すようにいやらしい視線で思わず全身に鳥肌が立つ。
そして……。
「あっ! も、もしやその女性は!?」
するとジュリアン侯爵は笑みを浮かべた。
「やっとお気づきになられたようですね? そうです。こちらの女性はモンタナ伯爵の御息女、ライザ様ですよ。今夜は特別なパーティ。当然身内であらせられるライザ様は女性ながら、参加する資格はある……そうは思いませんか? 私は別にこのパーティー参加の規律違反はしておりませんよ?」
私は先ほどから訳が分からずに戸惑っていた。女性同伴は禁じられている?
パーティー参加の規律? それはあらかじめ招待状に書かれていたというのだろうか?
「ジュ、ジュリアン様……」
私はジュリアン侯爵の袖を強く握りしめた。
「大丈夫です、何故モンタナ伯が女性同伴を禁じたのか、やがて理由が判明しますが、ライザが不安に思うような事はありませんから安心してください」
そして笑みを浮かべて私を見つめた――
普段はがらんとしていた大広間には既に大勢の来賓客んで溢れていたのだが、私とジュリアン侯爵は明らかに浮いた存在であった。
それもそのはず、来賓客で女性なのは私だけだったのだから。大広間に集まった人たちは男性ばかりで、女性客は私のみ。働いているメイド達はいるものの、明らかに異質な存在として周囲の視線を一心に浴びていた。
「大丈夫かい? ライザ」
ジュリアン侯爵はそっと私に耳打ちしてくる。
「え、ええ。大丈夫です。ジュリアン様にお話を伺った時からこうなるであろうことは覚悟しておりましたから」
私は笑みを浮かべ、ジュリアン侯爵を見つめた。
「そうかい? ならいいけど。いいかい、ライザ。ここで退席しては最高のショーを見る事が出来ない。我慢して耐えるんだよ? 大丈夫。私が付いているから」
ジュリアン侯爵の私を握りしめる手に力がこもる。
ジュリアン様……。
私は彼の瞳をじっと見つめた、その時。
「こんばんは。ジュリアン侯爵」
背後から声を掛けて来る人物がいた。私はその人物に背を向けていた為、振り向いて挨拶をしようとして……息を飲んだ。そこに立っていたのはエンブロイ侯爵だったからである。
「こんばんは、エンブロイ侯爵」
ジュリアン侯爵は笑みを浮かべ、挨拶をする。私はドレスの裾をつまみ、頭を下げた。
「今宵は随分と美しい女性をお連れですな? どちら様でしょうか? それにお忘れでしょうか? 今回のこのパーティーには女性を同伴させてはいけないと招待状に書かれてありましたよね?」
え? 女性を同伴させてはいけない? そんな話は初耳だ。一体どういうことなのだろう?
私は思わずジュリアン侯爵を見上げた。するとジュリアン侯爵は私の肩を抱き寄せた。
「ええ。勿論知っておりますよ。ですがエンブロイ侯爵。この女性をご覧になってお気づきになりませんか?」
「はて……? これほどまでに美しい女性をこの私が忘れるはずが……」
エンブロイ侯爵はジロジロと私を見る。その視線がまるで嘗め回すようにいやらしい視線で思わず全身に鳥肌が立つ。
そして……。
「あっ! も、もしやその女性は!?」
するとジュリアン侯爵は笑みを浮かべた。
「やっとお気づきになられたようですね? そうです。こちらの女性はモンタナ伯爵の御息女、ライザ様ですよ。今夜は特別なパーティ。当然身内であらせられるライザ様は女性ながら、参加する資格はある……そうは思いませんか? 私は別にこのパーティー参加の規律違反はしておりませんよ?」
私は先ほどから訳が分からずに戸惑っていた。女性同伴は禁じられている?
パーティー参加の規律? それはあらかじめ招待状に書かれていたというのだろうか?
「ジュ、ジュリアン様……」
私はジュリアン侯爵の袖を強く握りしめた。
「大丈夫です、何故モンタナ伯が女性同伴を禁じたのか、やがて理由が判明しますが、ライザが不安に思うような事はありませんから安心してください」
そして笑みを浮かべて私を見つめた――