結婚について、本気出してみた。
玄関を出ようとする筒香花菜。
「あ、忘れてました」
と筒香花菜を呼び止めるカンバラ息子。
「これ、タバコ代の足しにしてください」
そう言って、新500円玉を筒香花菜に渡すカンバラ息子。
「では」
「では……」
玄関のドアが閉まって、しばらく「203」と書かれたドアを見つめる筒香花菜。
手に握った新500円玉をジーンズのポケットにしまって、「204」と書かれたドアを開ける。
「ニャー」という声が聞こえて、ベランダのドアを開けると、黒猫が1匹、筒香花菜の部屋のエアコンの室外機にいた。
「なんだったんだい」
そう黒猫に話しかけた筒香花菜。黒猫は、「ニャー」と鳴いて、室外機の上であくびをした。