結婚について、本気出してみた。
「それで、あなたは私に何用で?」と聞こうとする筒香花菜。しかし、イケパラの時の堀北真希の話は続く。
「この話を友達によくするんですけど、みんな『えー、それって若く見られてるってことじゃん!』『羨ましいわあ』なんて言われちゃうんです。でも、私からすると、『ガキっぽくなめられて見られているだけじゃん!』『私はスムーズにお酒が買える方が羨ましいと思うけど』って思うんです。だからえっと……悪気はないんです、すみません!」
「あ、いえ、気にしてませんから」と言いながら、この人の雑談は、マラソン大会で「一緒に走ろう」と言って裏切るタイプの話し方をする人だと思った。
最初は、普通の会話をしながらも、実際は自分の話題で自分のペースに巻き込んでくる。しかも、大抵の場合、その話はつまらない。それで散々、自分が満足するまで話し、「あれ? なんで話さないの?」なんて言う。こういうタイプの人間の罪は、その自覚がないことだ。
「それでえっと……」
「あ、失礼しました」とイケパラの時の堀北真希がフルラのハンカチを取り出し、前髪の分け目から覗かせる額の汗をぬぐった。
「あなたは神を信じますか?」