相会い傘歌
灰色の空から雨が降り注いでいる。

5月中旬。

放課後。

テスト期間中ということもあって部活動もなく、特に用事のない生徒はさっさと下校したらしい。

校内にいる人影はまばらで、ただ雨の音だけがシトシトと聴こえるだけだった。


特に用のある生徒こと私は、先生から頼まれた図書委員の仕事を済ませ、帰宅の途に就こうとしている。

いつもとは違って重たく沈んだように落ち着いた学校の様子が、すこし新鮮だった。


私は雨が好きだ。

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