相会い傘歌
人の罪の中で最も重いものは何だろう?

私に曰く、それは"傘を盗むこと"だ。

少なくとも今この時においては。


「まじか……」


下駄箱で靴を履き替え、揚々と玄関口に向かった私を待っていたのはなんと──

空っぽの傘立てであった。

デデーン。


……。

……いや、確かに雨が好きとはいったけどさあ。

濡れるのが好きとは言ってないじゃん。


「お気に入りのやつだったのに…」


私はもう二度と戻ってこないだろう水色の傘を思い、心の中で泣いた。

同時に怒りも沸いてきた。
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