相会い傘歌
やばい。

目が合ってしまった。


「あっ、いや……」

「そこ邪魔なんだけど」

「……!」


ぶっきらぼうに言われて、出入り口の前に突っ立ていたことを思いだした。


「すいません…っ」

「……」

慌てて身を引くと、彼は無言のままさっきまで私が立っていた場所を通りすぎた。

心なしか不機嫌そうに見える。

ちょっと怖いかも……。


不意に訪れた気まずい空気の中、手持ち無沙汰になんとなく彼の様子を見守る形になった。

あれ?

そういえばこの人、傘を持っていない…。
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