本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第7章 14 付き添い
「あ…貴方はお隣の引っ越し屋さん…」
まだ頭がぐらぐらする中で、空ろな瞳で私は男性の顔を見た。
「俺の名前は川口って言うんですよ。忘れちゃいましたか?いや、それよりどうしたんですか?顔色が悪いですよ?」
川口さんの顔は私の事を心配しているように見えた。
「あの…実は昨日から熱を出してしまって…今日は仕事お休みしたんです。それで今から内科のクリニックに行こうとしていたんですけど、突然眩暈がして…」
「ええ?大丈夫ですか?」
「多分、少し休めば大丈夫だと思います。すみません、ご心配おかけしてしまって…」
「何言ってるんですか?謝る必要なんか全然無いですよ。それよりどこのクリニックに行こうとしていたんですか?俺が付き添いしますよ」
「そんなご迷惑をおかけするわけにはいかないですよ。それに川口さんはお仕事どうされるんですか?」
知り合って間もない人に付き添いしてもらうなんて、とんでもない。
「俺は今日は仕事休みなんですよ。今コンビニへ行こうとしていただけなので全然迷惑なんかじゃないですよ。ほら、つかまって下さい」
川口さんはしゃがみこんでいる私の身体を起こすと、支えてくれた。
「う~ん…こんなにふらついているんじゃ到底1人でなんて行けるはず無いじゃないですか。それでクリニックはどちらへ?」
「それが…まだ決まっていなくて。川口さんも当然ご存知のように…引っ越して来たばかりでこの辺の事、まだほとんど何も分らなくて…」
ああ、恥ずかしい。場所も調べずにクリニックへ行こうとしているのだから…。
「なら俺のかかりつけ医のクリニックへ連れて行ってあげますよ。ここから一番近いし、歩いて10分もかからないんで」
「すみません、ありがとうございます…。でもあまり私の傍にいると風邪をうつしてしまいそうで…」
「大丈夫ですよ、俺もマスク持ってるんで」
そして川口さんは私の身体を支えながら、片手で器用にマスクをする。
「さ、行きましょう」
****
川口さんが連れて来てくれたクリニックは確かに歩いて10分以内に辿り着く事が出来た。真新しいクリニックは先生もスタッフも若くて、全体的に雰囲気の良いクリニックだった。
「お大事にしてください」
「ありがとうございます」
処方箋を受け取ってお会計を支払うと、待合室でずっと診察が終わるのを待っていた川口さんがやって来た。
「加藤さん、診察終わりましたね。それじゃお薬を貰って帰りましょう。薬局はお隣にありますから」
「はい…」
そして私たちは一緒に薬局へ向かい、お薬を処方してもらった。
――その帰り道
「本当にどうもありがとうございました」
並んで歩きながら私は川口さんにお礼を述べた。
「いえ、いいんですよ。良かった…少しはお役に立てて」
川口さんは笑顔を向ける。しかし、その笑顔を見ると私は心苦しい気持ちで一杯になってしまう。
「すみません…今度何かお詫びさせて下さい。川口さんの貴重な時間を奪ってしまったので…」
「だから、そんな事気にしなくていいですって」
「でも…」
「あ、なら…今度買い物付き合って貰えませんか?」
「え…?買い物…?」
「ええ。実は来月彼女と付き合って1年目の記念日で何かサプライズ的なプレゼントをしてあげたくて…」
「ああ、そう言う事ですね。いいですよ。お付き合いします」
「本当ですか?ありがとうございます」
川口さんは照れたように笑う。そしていつの間にか私たちは互いのマンションの前に着いていた。
「それじゃ、お大事にしてください」
「はい、ありがとうございます」
そして私と川口さんはその場で別れた――
まだ頭がぐらぐらする中で、空ろな瞳で私は男性の顔を見た。
「俺の名前は川口って言うんですよ。忘れちゃいましたか?いや、それよりどうしたんですか?顔色が悪いですよ?」
川口さんの顔は私の事を心配しているように見えた。
「あの…実は昨日から熱を出してしまって…今日は仕事お休みしたんです。それで今から内科のクリニックに行こうとしていたんですけど、突然眩暈がして…」
「ええ?大丈夫ですか?」
「多分、少し休めば大丈夫だと思います。すみません、ご心配おかけしてしまって…」
「何言ってるんですか?謝る必要なんか全然無いですよ。それよりどこのクリニックに行こうとしていたんですか?俺が付き添いしますよ」
「そんなご迷惑をおかけするわけにはいかないですよ。それに川口さんはお仕事どうされるんですか?」
知り合って間もない人に付き添いしてもらうなんて、とんでもない。
「俺は今日は仕事休みなんですよ。今コンビニへ行こうとしていただけなので全然迷惑なんかじゃないですよ。ほら、つかまって下さい」
川口さんはしゃがみこんでいる私の身体を起こすと、支えてくれた。
「う~ん…こんなにふらついているんじゃ到底1人でなんて行けるはず無いじゃないですか。それでクリニックはどちらへ?」
「それが…まだ決まっていなくて。川口さんも当然ご存知のように…引っ越して来たばかりでこの辺の事、まだほとんど何も分らなくて…」
ああ、恥ずかしい。場所も調べずにクリニックへ行こうとしているのだから…。
「なら俺のかかりつけ医のクリニックへ連れて行ってあげますよ。ここから一番近いし、歩いて10分もかからないんで」
「すみません、ありがとうございます…。でもあまり私の傍にいると風邪をうつしてしまいそうで…」
「大丈夫ですよ、俺もマスク持ってるんで」
そして川口さんは私の身体を支えながら、片手で器用にマスクをする。
「さ、行きましょう」
****
川口さんが連れて来てくれたクリニックは確かに歩いて10分以内に辿り着く事が出来た。真新しいクリニックは先生もスタッフも若くて、全体的に雰囲気の良いクリニックだった。
「お大事にしてください」
「ありがとうございます」
処方箋を受け取ってお会計を支払うと、待合室でずっと診察が終わるのを待っていた川口さんがやって来た。
「加藤さん、診察終わりましたね。それじゃお薬を貰って帰りましょう。薬局はお隣にありますから」
「はい…」
そして私たちは一緒に薬局へ向かい、お薬を処方してもらった。
――その帰り道
「本当にどうもありがとうございました」
並んで歩きながら私は川口さんにお礼を述べた。
「いえ、いいんですよ。良かった…少しはお役に立てて」
川口さんは笑顔を向ける。しかし、その笑顔を見ると私は心苦しい気持ちで一杯になってしまう。
「すみません…今度何かお詫びさせて下さい。川口さんの貴重な時間を奪ってしまったので…」
「だから、そんな事気にしなくていいですって」
「でも…」
「あ、なら…今度買い物付き合って貰えませんか?」
「え…?買い物…?」
「ええ。実は来月彼女と付き合って1年目の記念日で何かサプライズ的なプレゼントをしてあげたくて…」
「ああ、そう言う事ですね。いいですよ。お付き合いします」
「本当ですか?ありがとうございます」
川口さんは照れたように笑う。そしていつの間にか私たちは互いのマンションの前に着いていた。
「それじゃ、お大事にしてください」
「はい、ありがとうございます」
そして私と川口さんはその場で別れた――