本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第8章 4 ぎこちない空気
「お…お姉ちゃん…?」
久しぶりに会ったお姉ちゃんはとても綺麗だった。髪は艶々に光っているし、メイクもばっちり決まっている。着ている紺色のニットのアンサンブルのセーターも似合っていたし、胸元にはクロスのネックレスが光輝いていた。外見からは・・とても今心を病んでいるようには見えなかった。
「鈴音ちゃん。久しぶりね。新年明けましておめでとう」
お姉ちゃんはにこりと笑みを浮かべた。
「あ…お、おめでとう…ございます…」
思わずぎこちない新年の挨拶になってしまった。
「ほら、鈴音も早く座れよ」
亮平は自分とお姉ちゃの間の席をポンポンと叩いて座るように促してくる。
「う、うん…」
私は仕方なく、言われるままに亮平の勧めた椅子に座った。座ったけれども…。酷いよ、亮平。お姉ちゃんがこの場にいる事を黙っていたなんて…知っていたら絶対に来なかったのに。お姉ちゃんと仲直りがしたいと思っていたけれども、それは今じゃない。いきなり顔を合わせて話をするんじゃなくて、最初はメールか電話で会話をして、慣れてきたら対面して話をしてみたいと思っていたのに、こんないきなりなんて…心の準備だってできていなかったのに…。
もし許されるなら…今すぐこの場で帰りたかった。
私が椅子に座るとすぐにお姉ちゃんが亮平に声をかけた。
「ねぇ、進さん」
「何だい?忍」
亮平は進さんの名前を呼ばれているのに、平然と返事をする。
「私の妹なのに、呼び捨てにするのはどうかと思うわ。ちょっと馴れ馴れしいじゃないの。そんな事をされたら…」
そしてお姉ちゃんは私をチラリと見る。
「鈴音ちゃんが・・・進さんが自分に気があるんじゃないかと思って勘違いするじゃないの。いくら将来的に妹になる相手だからと言っても…。そうよね?鈴音ちゃん」
「!」
将来的に私は亮平の妹?お姉ちゃんと亮平はやっぱり将来的に結婚を考えているんだ‥!でも亮平、本当にそれでいいの?お姉ちゃんが今見ているのは亮平じゃないんだよ?進さんだと思われているのに…。
けれど、亮平はさほど気にしていないのか笑顔で頷く。
「ああ、そうだったな。鈴音さんと呼ぶべきだったよな?ごめんよ鈴音さん」
亮平は困ったような顔で私に謝ってきた。それにしても鈴音さんて…。今まで一度だって私はそんなふうに亮平から名前を呼ばれた事なんか無かったのに。だけど、亮平の目は私に訴えていた。どうか、話を合わせて欲しいと。
昔から亮平に頭の上がらない私は話を合わせる事に決めた。
「ほら、鈴音ちゃん。飲み物何を頼むのかしら?私と進さんはコーヒーを頼んだけど…鈴音ちゃんはどうする?」
「あ、あの…それじゃ、私も2人と同じコーヒーで…」
俯きながら遠慮がちに言うと、お姉ちゃんはすぐにオーダー用のリモコンに手を伸ばすと手際よく打ち込み、入力を済ませると私を見た。
「鈴音ちゃん、随分痩せてしまったわね?それじゃまるで骸骨みたいよ?無理なダイエットでもしたのかしら?」
「え…?う、ううん。ダイエットは別にしてないよ。ただ、何となく食欲が無いだけで…」
骸骨みたい…他の人たちから見ても私はそう見えてしまうのだろうか?
「おい、忍。確かに鈴音さんは痩せてしまったかもしれないけれど骸骨ってほどじゃないぞ?」
亮平が間に入って来てくれた。
「あら、そう?私は鈴音ちゃんが痩せたいと思って無理ダイエットをしているのかと思っちゃったのよ。でもダイエットじゃないのならもっと体重を増やさないと駄目よ」
お姉ちゃんは何処か鋭い目つきで私を見る。
「あ、ありがとう…心配してくれて…」
ビクビクしながらも私はお姉ちゃんにお礼を言った――
久しぶりに会ったお姉ちゃんはとても綺麗だった。髪は艶々に光っているし、メイクもばっちり決まっている。着ている紺色のニットのアンサンブルのセーターも似合っていたし、胸元にはクロスのネックレスが光輝いていた。外見からは・・とても今心を病んでいるようには見えなかった。
「鈴音ちゃん。久しぶりね。新年明けましておめでとう」
お姉ちゃんはにこりと笑みを浮かべた。
「あ…お、おめでとう…ございます…」
思わずぎこちない新年の挨拶になってしまった。
「ほら、鈴音も早く座れよ」
亮平は自分とお姉ちゃの間の席をポンポンと叩いて座るように促してくる。
「う、うん…」
私は仕方なく、言われるままに亮平の勧めた椅子に座った。座ったけれども…。酷いよ、亮平。お姉ちゃんがこの場にいる事を黙っていたなんて…知っていたら絶対に来なかったのに。お姉ちゃんと仲直りがしたいと思っていたけれども、それは今じゃない。いきなり顔を合わせて話をするんじゃなくて、最初はメールか電話で会話をして、慣れてきたら対面して話をしてみたいと思っていたのに、こんないきなりなんて…心の準備だってできていなかったのに…。
もし許されるなら…今すぐこの場で帰りたかった。
私が椅子に座るとすぐにお姉ちゃんが亮平に声をかけた。
「ねぇ、進さん」
「何だい?忍」
亮平は進さんの名前を呼ばれているのに、平然と返事をする。
「私の妹なのに、呼び捨てにするのはどうかと思うわ。ちょっと馴れ馴れしいじゃないの。そんな事をされたら…」
そしてお姉ちゃんは私をチラリと見る。
「鈴音ちゃんが・・・進さんが自分に気があるんじゃないかと思って勘違いするじゃないの。いくら将来的に妹になる相手だからと言っても…。そうよね?鈴音ちゃん」
「!」
将来的に私は亮平の妹?お姉ちゃんと亮平はやっぱり将来的に結婚を考えているんだ‥!でも亮平、本当にそれでいいの?お姉ちゃんが今見ているのは亮平じゃないんだよ?進さんだと思われているのに…。
けれど、亮平はさほど気にしていないのか笑顔で頷く。
「ああ、そうだったな。鈴音さんと呼ぶべきだったよな?ごめんよ鈴音さん」
亮平は困ったような顔で私に謝ってきた。それにしても鈴音さんて…。今まで一度だって私はそんなふうに亮平から名前を呼ばれた事なんか無かったのに。だけど、亮平の目は私に訴えていた。どうか、話を合わせて欲しいと。
昔から亮平に頭の上がらない私は話を合わせる事に決めた。
「ほら、鈴音ちゃん。飲み物何を頼むのかしら?私と進さんはコーヒーを頼んだけど…鈴音ちゃんはどうする?」
「あ、あの…それじゃ、私も2人と同じコーヒーで…」
俯きながら遠慮がちに言うと、お姉ちゃんはすぐにオーダー用のリモコンに手を伸ばすと手際よく打ち込み、入力を済ませると私を見た。
「鈴音ちゃん、随分痩せてしまったわね?それじゃまるで骸骨みたいよ?無理なダイエットでもしたのかしら?」
「え…?う、ううん。ダイエットは別にしてないよ。ただ、何となく食欲が無いだけで…」
骸骨みたい…他の人たちから見ても私はそう見えてしまうのだろうか?
「おい、忍。確かに鈴音さんは痩せてしまったかもしれないけれど骸骨ってほどじゃないぞ?」
亮平が間に入って来てくれた。
「あら、そう?私は鈴音ちゃんが痩せたいと思って無理ダイエットをしているのかと思っちゃったのよ。でもダイエットじゃないのならもっと体重を増やさないと駄目よ」
お姉ちゃんは何処か鋭い目つきで私を見る。
「あ、ありがとう…心配してくれて…」
ビクビクしながらも私はお姉ちゃんにお礼を言った――