本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第9章 1 仕事初め
翌朝―
職場で新年の挨拶を済ませ、事務所で新しい旅行用のパンフレットの準備をしていると、井上君が声をかけてきた。
「久しぶりだね、加藤さん。手伝うよ」
「うん、ありがとう。でも久しぶりって挨拶おかしくない?せいぜい5日ぶりなのに」
笑いながら言うと井上君はポツリと呟いた。
「俺にとっては久しぶりって言葉が一番近いんだけどな…」
「え?それどういう意味なの?」
パンフレットスタンドに古いパンフレットと新しいパンフレットを入れ替えながら尋ねると井上君が大げさに驚く。
「ええっ!も、もしかして聞こえてた?」
「うん、ばっちり。それで今のはどういう意味なの?」
「え?あ…い、いや。別に深い意味は無いんだ。何となく久しぶりに感じたからさ。ところで、加藤さんは休みの間何してたの?」
「私?う~ん…初詣に行ったり、後はプラネタリウムを観に行ったりしたかな。井上君はどうしてたの?」
「あ、俺は実家に帰って兄貴たちとスキーに行ってきたんだ」
私は作業の手を止めて井上君を改めて見た。
「へぇ~お兄さんと行ってきたんだ。兄弟の仲がいいんだね」
「え?加藤さん・・・どうかしたの?」
井上君が心配そうな顔で私を見ていた。ひょっとすると私は寂しそうな顔をしていたのかもしれない。
「ううん。別に何でも無いよ。さ、仕事頑張らなくちゃね~」
そして入れ替えたパンフレットスタンドを持って私は事務所から出て行った。
時刻は12時を回り、お昼休憩で駅前に出ていた。
「どこでランチ食べようかな…」
ぶらぶら歩き、結局ワンコインでランチが食べられるファストフード店に入ることにした。2階席の窓際のカウンター席に座り、ホットドックセットを食べながら窓の外を眺め、私はお姉ちゃんと亮平の事を考えていた。
今日は2人で病院へ行ったはず。その後、どうなったんだろう…。そんな事をぼんやり考えながら、もそもそとランチを食べた。そして食事の済んだ後、ある事に気が付いた。
「そうだ。病院の結果どうなったかメール入れておかないと後で亮平に文句言われちゃうかもしれないな」
そこでバックからスマホを取り出して、亮平のアドレスを出した時にふと思った。
「亮平に文句を言われない為にメールを入れようとするなんて。これじゃまるで亮平のご機嫌取りしてるみたいじゃない」
いくら亮平に気を使っても亮平の一番優先するのはいつだってお姉ちゃんだ。お姉ちゃんの事になると亮平は何もみえなくなってしまう。そして私はいつだってそれに振り回されて傷ついたり、嫌な気分にされているのに。以前の私はお姉ちゃんの様子がおかしくなってからはずっと元通りの優しいお姉ちゃんに戻って貰いたいと思っていたけれど、最近になって思うようになった事がある。お姉ちゃん‥本当は私の事をっていた…ううん、ひょっとすると憎んでいたんじゃないかなって思うよになってきた。
私には身に覚えがないことだけど、お姉ちゃんは自分の彼氏が私にとられたと思っている。そしてお父さんとお母さんの事も。ひょっとするとお姉ちゃんはずっと私を憎む気持ちを抑え込んで面倒を見てくれていたのかもしれない。
「今のままのお姉ちゃんでいた方がお姉ちゃんにとっては幸せなのかな…?」
思わずポツリと口に出して呟いていた。ギュッとスマホを握り締めていると突然スマホからメールの着信音が流れ出した。
「あ、メール」
メールの相手は…亮平からだった――
職場で新年の挨拶を済ませ、事務所で新しい旅行用のパンフレットの準備をしていると、井上君が声をかけてきた。
「久しぶりだね、加藤さん。手伝うよ」
「うん、ありがとう。でも久しぶりって挨拶おかしくない?せいぜい5日ぶりなのに」
笑いながら言うと井上君はポツリと呟いた。
「俺にとっては久しぶりって言葉が一番近いんだけどな…」
「え?それどういう意味なの?」
パンフレットスタンドに古いパンフレットと新しいパンフレットを入れ替えながら尋ねると井上君が大げさに驚く。
「ええっ!も、もしかして聞こえてた?」
「うん、ばっちり。それで今のはどういう意味なの?」
「え?あ…い、いや。別に深い意味は無いんだ。何となく久しぶりに感じたからさ。ところで、加藤さんは休みの間何してたの?」
「私?う~ん…初詣に行ったり、後はプラネタリウムを観に行ったりしたかな。井上君はどうしてたの?」
「あ、俺は実家に帰って兄貴たちとスキーに行ってきたんだ」
私は作業の手を止めて井上君を改めて見た。
「へぇ~お兄さんと行ってきたんだ。兄弟の仲がいいんだね」
「え?加藤さん・・・どうかしたの?」
井上君が心配そうな顔で私を見ていた。ひょっとすると私は寂しそうな顔をしていたのかもしれない。
「ううん。別に何でも無いよ。さ、仕事頑張らなくちゃね~」
そして入れ替えたパンフレットスタンドを持って私は事務所から出て行った。
時刻は12時を回り、お昼休憩で駅前に出ていた。
「どこでランチ食べようかな…」
ぶらぶら歩き、結局ワンコインでランチが食べられるファストフード店に入ることにした。2階席の窓際のカウンター席に座り、ホットドックセットを食べながら窓の外を眺め、私はお姉ちゃんと亮平の事を考えていた。
今日は2人で病院へ行ったはず。その後、どうなったんだろう…。そんな事をぼんやり考えながら、もそもそとランチを食べた。そして食事の済んだ後、ある事に気が付いた。
「そうだ。病院の結果どうなったかメール入れておかないと後で亮平に文句言われちゃうかもしれないな」
そこでバックからスマホを取り出して、亮平のアドレスを出した時にふと思った。
「亮平に文句を言われない為にメールを入れようとするなんて。これじゃまるで亮平のご機嫌取りしてるみたいじゃない」
いくら亮平に気を使っても亮平の一番優先するのはいつだってお姉ちゃんだ。お姉ちゃんの事になると亮平は何もみえなくなってしまう。そして私はいつだってそれに振り回されて傷ついたり、嫌な気分にされているのに。以前の私はお姉ちゃんの様子がおかしくなってからはずっと元通りの優しいお姉ちゃんに戻って貰いたいと思っていたけれど、最近になって思うようになった事がある。お姉ちゃん‥本当は私の事をっていた…ううん、ひょっとすると憎んでいたんじゃないかなって思うよになってきた。
私には身に覚えがないことだけど、お姉ちゃんは自分の彼氏が私にとられたと思っている。そしてお父さんとお母さんの事も。ひょっとするとお姉ちゃんはずっと私を憎む気持ちを抑え込んで面倒を見てくれていたのかもしれない。
「今のままのお姉ちゃんでいた方がお姉ちゃんにとっては幸せなのかな…?」
思わずポツリと口に出して呟いていた。ギュッとスマホを握り締めていると突然スマホからメールの着信音が流れ出した。
「あ、メール」
メールの相手は…亮平からだった――