本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第9章 2 姉の入院
一体、亮平はメールに何て書いてきたのだろう?ドキドキしながらスマホをタップしてメールを開き、そこにはたった一文だけが表示されていた。
『忍が明日から入院する事になった』
「え…?」
私はその文章に思わず目を見張ってしまった。お姉ちゃんが入院?まさかそこまで悪い状態だったの?私がいけなかったの?病気のお姉ちゃんを置いて家を出てしまったから?だけど…。
慌てて亮平の電話番号をタップし、電話を掛けようとして私は思いとどまった。
「そうだ。きっと今、亮平の傍にはお姉ちゃんがいるはず。きっと亮平からのメールの文章がこんなにも短いのはお姉ちゃんの目を盗んでメールを送ってきたんだ…」
テーブルの上にスマホを置いて溜息をついた。どのみち、もうすぐ昼休みは終わるから亮平に電話を掛ける事も出来ないし、今下手にメールを送ったとして、それがお姉ちゃんの目に止まれば私も亮平もお姉ちゃんに追及されるだろう。
「仕事が終わってから亮平にメールしよう」
私はすっかり生ぬるくなってしまったコーヒーを口に運んだ。
****
夜7時―
仕事が終わってマンションに帰ってきた私は早速亮平にメールを打った。
『お姉ちゃんの入院の話、詳しく聞きたいから都合がいい時、メール頂戴』
それだけ書いて送ると、私は台所に向かった。今夜の食事は亮平のお母さんが作ってくれたおかずと、朝の残りのご飯とお味噌汁。台所で準備をしていると、電話が鳴りだした。
「え?ひょっとして亮平?」
慌てて鍋に掛けていたガス台の火を止めるとテーブルの上に乗せておいたスマホを手に取った。やっぱり着信相手は亮平だった。
「もしもし?」
『あ、鈴音。今電話大丈夫か?』
「うん、大丈夫だよ。亮平は今何処なの?」
『ああ、俺はついさっきまで忍の入院の準備を手伝っていて、今家に帰ったところだ』
「そうだったの?ありがとう、本当は私が手伝わなくちゃいけないのに亮平に手伝わせてしまってごめんね。でもお姉ちゃん、よく入院する事承諾したね?」
私の予想ではお姉ちゃんは絶対に入院することを拒否すると思っていたけど…。
『実はその事なんだけど…』
妙に歯切れが悪そうな亮平の声が受話器越しから聞こえてくる。
「何?その事って?」
『忍を診察してくれた精神科医に言われたんだ。忍はお前の話になると様子がおかしくなるって…』
「そう…なんだ…」
分かり切ってはいた事だけど、改めてそんなふうに言われると胸がズキリと痛む。
『ごめん。悪かった鈴音』
突然亮平が謝ってきた。
「え?何?どうしたの?急に謝ってきて」
『いや。俺は今まで無理に鈴音を忍に会わせようとしていたよな?お前は嫌がっていたのに。先生に言われたんだよ。忍の状態が落ち着くまでは鈴音と接触させないようにって。余計忍の精神状態がおかしくなるって注意されてしまったよ。駄目だな俺って。忍の事になると周りが見えなくなって』
「亮平…」
亮平、それはお姉ちゃんがそこまで亮平に取って大切な存在だからでしょう?私はズキズキ痛む胸を押さえた。
『だからさ。お前はやっぱり当分忍に会うな。心配で会いたい気持ちがあるだろうけど先生の許可が出れば会えるようになるからさ。ただ今度の休みは悪いけど自宅に帰って忍の当面必要な私物をナースステーションに届けておいてくれないか?病棟は南棟の5階だからさ』
「う、うん。それは別に構わないけど…でもお姉ちゃん、よく入院する事了承したね?」
『ああ…。その事だけど…』
突然亮平の声のトーンが落ちた。
「どうしたの?亮平?」
『忍…新しく主治医になった医者を自分の亡くした婚約者だと思ってるんだ。この俺じゃなく…』
亮平の声は…涙声だった――
『忍が明日から入院する事になった』
「え…?」
私はその文章に思わず目を見張ってしまった。お姉ちゃんが入院?まさかそこまで悪い状態だったの?私がいけなかったの?病気のお姉ちゃんを置いて家を出てしまったから?だけど…。
慌てて亮平の電話番号をタップし、電話を掛けようとして私は思いとどまった。
「そうだ。きっと今、亮平の傍にはお姉ちゃんがいるはず。きっと亮平からのメールの文章がこんなにも短いのはお姉ちゃんの目を盗んでメールを送ってきたんだ…」
テーブルの上にスマホを置いて溜息をついた。どのみち、もうすぐ昼休みは終わるから亮平に電話を掛ける事も出来ないし、今下手にメールを送ったとして、それがお姉ちゃんの目に止まれば私も亮平もお姉ちゃんに追及されるだろう。
「仕事が終わってから亮平にメールしよう」
私はすっかり生ぬるくなってしまったコーヒーを口に運んだ。
****
夜7時―
仕事が終わってマンションに帰ってきた私は早速亮平にメールを打った。
『お姉ちゃんの入院の話、詳しく聞きたいから都合がいい時、メール頂戴』
それだけ書いて送ると、私は台所に向かった。今夜の食事は亮平のお母さんが作ってくれたおかずと、朝の残りのご飯とお味噌汁。台所で準備をしていると、電話が鳴りだした。
「え?ひょっとして亮平?」
慌てて鍋に掛けていたガス台の火を止めるとテーブルの上に乗せておいたスマホを手に取った。やっぱり着信相手は亮平だった。
「もしもし?」
『あ、鈴音。今電話大丈夫か?』
「うん、大丈夫だよ。亮平は今何処なの?」
『ああ、俺はついさっきまで忍の入院の準備を手伝っていて、今家に帰ったところだ』
「そうだったの?ありがとう、本当は私が手伝わなくちゃいけないのに亮平に手伝わせてしまってごめんね。でもお姉ちゃん、よく入院する事承諾したね?」
私の予想ではお姉ちゃんは絶対に入院することを拒否すると思っていたけど…。
『実はその事なんだけど…』
妙に歯切れが悪そうな亮平の声が受話器越しから聞こえてくる。
「何?その事って?」
『忍を診察してくれた精神科医に言われたんだ。忍はお前の話になると様子がおかしくなるって…』
「そう…なんだ…」
分かり切ってはいた事だけど、改めてそんなふうに言われると胸がズキリと痛む。
『ごめん。悪かった鈴音』
突然亮平が謝ってきた。
「え?何?どうしたの?急に謝ってきて」
『いや。俺は今まで無理に鈴音を忍に会わせようとしていたよな?お前は嫌がっていたのに。先生に言われたんだよ。忍の状態が落ち着くまでは鈴音と接触させないようにって。余計忍の精神状態がおかしくなるって注意されてしまったよ。駄目だな俺って。忍の事になると周りが見えなくなって』
「亮平…」
亮平、それはお姉ちゃんがそこまで亮平に取って大切な存在だからでしょう?私はズキズキ痛む胸を押さえた。
『だからさ。お前はやっぱり当分忍に会うな。心配で会いたい気持ちがあるだろうけど先生の許可が出れば会えるようになるからさ。ただ今度の休みは悪いけど自宅に帰って忍の当面必要な私物をナースステーションに届けておいてくれないか?病棟は南棟の5階だからさ』
「う、うん。それは別に構わないけど…でもお姉ちゃん、よく入院する事了承したね?」
『ああ…。その事だけど…』
突然亮平の声のトーンが落ちた。
「どうしたの?亮平?」
『忍…新しく主治医になった医者を自分の亡くした婚約者だと思ってるんだ。この俺じゃなく…』
亮平の声は…涙声だった――