本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第9章 6 見てはいけなかったもの
お姉ちゃんが退院するまでの間、我が家で暮らす。それはすごく魅力的な提案に思えた。そして数日前の川口さんとすみれさんとの痴話喧嘩?に巻き込まれたすぐ後の川口さんからの手紙。連絡先を書いて寄こしたって言う事は…私からの連絡を待っているのかもしれないけれど、どうしても連絡先を登録することも連絡を入れる事も出来なかった。
「…そうします」
「え?鈴音ちゃん。それじゃ…」
おばさんは嬉しそうに私を見た。
「はい。週に何回かは借りてる部屋の様子を見に行きますけど…基本、お姉ちゃんが入院中は実家で暮らすことにします」
だって、ここにいれば川口さんと顔を合わす可能性も無いだろうし、何より…亮平に会えるから…。
やがて…。
「あ、鈴音ちゃん。ほら、家が見えてきたわよ?」
おばさんが指さした先には懐かしの我が家が見えた――
****
「ただいま…」
玄関のカギを開けて、私は誰もいないドアを開けた。
しんと静まり返った家の中に懐かしい我が家の匂い。
「この匂い、懐かしいな…」
靴を脱いで玄関に上がり、家の中を見ると案外部屋の中は片付いていた。てっきりお姉ちゃんの精神状態が悪いからさぞかし散らかっていると思っていたけど…。
「亮平が片付けてくれていたのかな?」
私は二階へ続く階段を見つめるとポツリと呟いた。
「さて。準備を始めて病院へ行かなくちゃ」
トントンと階段を上って私はお姉ちゃんの部屋の前に立った。そこで一度深呼吸した。
「ごめんね、お姉ちゃん。入るね…」
そして部屋のドアを開けた。中へ入るとカーテンがぴっちり閉じられ、まだ朝なのに薄暗かった。そこでカーテンを開けて、ついでに換気の為に部屋の窓を開けるとお姉ちゃんの私物の準備を始めた。
「え~と…替えの下着に着替えのパジャマ…後はお姉ちゃんの私服…」
ボストンバックにお姉ちゃんの持ち物を詰め込みながら、他には何か必要なものは無いか考えていた時、本棚に紙のようなものが飛び出していることに気付いた。
「ん…?これ何だろう?」
本棚から引き抜いて思わず悲鳴を上げてしまった。
「キャアアッ!な、何っ?!」
それは1枚の写真だった。まだお父さんとお母さんが生きていた頃の、皆でこの家の前で取った写真だったのに…。
「う、嘘でしょう…?」
私は写真を震えながら手に取り…いつしかポタリポタリと写真の上に大粒の涙を落としていた。
その写真は…私の映っている部分だけがカッターナイフで激しく切りつけられていた。
「お…お姉ちゃん…どうして…どうして私をそこまで嫌うの?私は…そこまで憎まれるような事をしていたの…?」
分からない。どうして私はここまでお姉ちゃんに嫌われてるのか何も心当たりがなかった。
「私達…もう、昔の様には戻れないの…?お姉ちゃんの前から完全に姿を消した方がいいの…?」
私はいつまでもその場に座り続けていた――
あれからどの位の時間が経過したのだろう。
ピンポーン
ピンポーン
玄関でインターホンが鳴っている…。
「お客さんかな…?出なくちゃ…」
ノロノロと立ち上がり、階段を降りると玄関の外で声が聞こえてきた。
「鈴音ちゃん?いるんでしょう?鈴音ちゃん!」
それはおばさんの声だった。
「え?おばさん?」
慌てて玄関を開けると、そこにはおばさんが立っていた。
「ああ…良かった、鈴音ちゃん。やっぱり家にいたのね?あのね、ナポリタンを作ったのよ。2人で一緒に食べようかと思って。さ、家にいらっしゃい」
おばさんがニコニコしながら私を見る。
「…っ!」
胸に熱いものがこみあげてきて…気づけば私はおばさんにしがみついて泣きじゃくっていた――
「…そうします」
「え?鈴音ちゃん。それじゃ…」
おばさんは嬉しそうに私を見た。
「はい。週に何回かは借りてる部屋の様子を見に行きますけど…基本、お姉ちゃんが入院中は実家で暮らすことにします」
だって、ここにいれば川口さんと顔を合わす可能性も無いだろうし、何より…亮平に会えるから…。
やがて…。
「あ、鈴音ちゃん。ほら、家が見えてきたわよ?」
おばさんが指さした先には懐かしの我が家が見えた――
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「ただいま…」
玄関のカギを開けて、私は誰もいないドアを開けた。
しんと静まり返った家の中に懐かしい我が家の匂い。
「この匂い、懐かしいな…」
靴を脱いで玄関に上がり、家の中を見ると案外部屋の中は片付いていた。てっきりお姉ちゃんの精神状態が悪いからさぞかし散らかっていると思っていたけど…。
「亮平が片付けてくれていたのかな?」
私は二階へ続く階段を見つめるとポツリと呟いた。
「さて。準備を始めて病院へ行かなくちゃ」
トントンと階段を上って私はお姉ちゃんの部屋の前に立った。そこで一度深呼吸した。
「ごめんね、お姉ちゃん。入るね…」
そして部屋のドアを開けた。中へ入るとカーテンがぴっちり閉じられ、まだ朝なのに薄暗かった。そこでカーテンを開けて、ついでに換気の為に部屋の窓を開けるとお姉ちゃんの私物の準備を始めた。
「え~と…替えの下着に着替えのパジャマ…後はお姉ちゃんの私服…」
ボストンバックにお姉ちゃんの持ち物を詰め込みながら、他には何か必要なものは無いか考えていた時、本棚に紙のようなものが飛び出していることに気付いた。
「ん…?これ何だろう?」
本棚から引き抜いて思わず悲鳴を上げてしまった。
「キャアアッ!な、何っ?!」
それは1枚の写真だった。まだお父さんとお母さんが生きていた頃の、皆でこの家の前で取った写真だったのに…。
「う、嘘でしょう…?」
私は写真を震えながら手に取り…いつしかポタリポタリと写真の上に大粒の涙を落としていた。
その写真は…私の映っている部分だけがカッターナイフで激しく切りつけられていた。
「お…お姉ちゃん…どうして…どうして私をそこまで嫌うの?私は…そこまで憎まれるような事をしていたの…?」
分からない。どうして私はここまでお姉ちゃんに嫌われてるのか何も心当たりがなかった。
「私達…もう、昔の様には戻れないの…?お姉ちゃんの前から完全に姿を消した方がいいの…?」
私はいつまでもその場に座り続けていた――
あれからどの位の時間が経過したのだろう。
ピンポーン
ピンポーン
玄関でインターホンが鳴っている…。
「お客さんかな…?出なくちゃ…」
ノロノロと立ち上がり、階段を降りると玄関の外で声が聞こえてきた。
「鈴音ちゃん?いるんでしょう?鈴音ちゃん!」
それはおばさんの声だった。
「え?おばさん?」
慌てて玄関を開けると、そこにはおばさんが立っていた。
「ああ…良かった、鈴音ちゃん。やっぱり家にいたのね?あのね、ナポリタンを作ったのよ。2人で一緒に食べようかと思って。さ、家にいらっしゃい」
おばさんがニコニコしながら私を見る。
「…っ!」
胸に熱いものがこみあげてきて…気づけば私はおばさんにしがみついて泣きじゃくっていた――