本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第9章 8 病院で
千駄ヶ谷駅からバスを乗り継いでお姉ちゃんが入院している病院に辿り着いた。今の時刻は午後4時。面会をするわけではないけれど、病棟にお見舞いに行けるのは午後6時まで。すぐにお姉ちゃんの入院している病棟に行ってナースステーションに荷物を預けたら、早々に病院を出よう。
私は足早に病院の中へ入った。
チーン
エレベーターのドアが開き、お姉ちゃんが入院している南棟の5階にやってきた。するとエレベーターホールのすぐ右わきにナースステーションが目に入った。
誰かいるかな…?覗き込んでみると4名の看護師の女性たちが打ち合わせをしていた。
「あの~すみません」
遠慮がちに声を掛けると30代と思わしき看護師が私の存在に気づいてやってきてくれた。
「面会の方ですか?ではこの受付表に名前を書いて下さい。」
名簿を挟んだバインダーを差し出してきた。
「いえ、あの…違うんです。面会に来たわけではなく、荷物を届けに伺いました」
持ってきたボストンバックをカウンターに乗せた。
「あら…でも身内の方なんですよね?面会されなくてよろしいのですか?」
看護師さんは首をかしげる。
「はい、姉が入院しています。名前は加藤忍です。面会は…しなくて大丈夫です」
「加藤…忍…ああ!あの患者さんの妹さん…?」
途端に看護師さんの顔に何とも言えない複雑な表情が浮かんだ。その表情は…まるで同情しているかのような、もしくは意外そうな表情だった。
「分かりました。それではお荷物をお預かりしておきますね。ご苦労様でした」
看護師さんは名前を聞いた途端、面会を勧めなくなった。…きっともう家の事情を知ってるんだろうな…。
「すみません。それではよろしくお願いします」
阻止して帰ろうとした時に、私は大事な事を伝えなければいけないことを思い出した。
「あ、あの…すみません。姉には誰がこの荷物を届けたかは…」
「はい、大丈夫です。お名前は伏せて渡しますので」
「ありがとうございます」
やっぱり看護師さんたちに私とお姉ちゃんの関係を知られてしまっている。私は恥ずかしい家庭の事情を知られてしまい、頬が赤くなってしまった。
「では、これで失礼しますね」
頭を下げてエレベーターホールへ向かった時、突然ナースステーショから引き留められた。
「加藤さん、待って下さいっ!」
「え?」
下行のボタンを押そうとした時、先ほどの看護師さんがバタバタとやって来た。
「あ、あの。どうかしましたか?」
「ええ。実は担当主治医から今しがた内線が入りまして、加藤さんの妹さんがいらした事を告げたら是非会いたいと言っておりますが…お時間宜しいでしょうか?」
「え?はい。大丈夫ですけど…?」
「それでは先生に伝えますね。こちらの通路に談話室がありますので、そちらの椅子でお掛けになってお待ちください」
「はい。わかりました」
看護師さんに言われた通路を進むと、広々とした空間が現れた。仕切りやドアの類が一切なく、窓際に対面するようにカウンター形式のテーブルと椅子が並べられている。さらには丸テーブルに椅子が、いくつも並べられており、奥の壁には自動販売機やレンジも置かていた。
「ひょっとして面会に来た人のためのスペースなのかな?」
そこでとりあえず私は、窓際のカウンター席に座った。
ここは5階という立地条件がら、外の景色が良く見えて夕日の色が談話室の中をオレンジ色に染めていた。
「先生ってどんな人なんだろう…」
その時―
「お待たせいたしました」
私の背後で人の気配を感じた――
私は足早に病院の中へ入った。
チーン
エレベーターのドアが開き、お姉ちゃんが入院している南棟の5階にやってきた。するとエレベーターホールのすぐ右わきにナースステーションが目に入った。
誰かいるかな…?覗き込んでみると4名の看護師の女性たちが打ち合わせをしていた。
「あの~すみません」
遠慮がちに声を掛けると30代と思わしき看護師が私の存在に気づいてやってきてくれた。
「面会の方ですか?ではこの受付表に名前を書いて下さい。」
名簿を挟んだバインダーを差し出してきた。
「いえ、あの…違うんです。面会に来たわけではなく、荷物を届けに伺いました」
持ってきたボストンバックをカウンターに乗せた。
「あら…でも身内の方なんですよね?面会されなくてよろしいのですか?」
看護師さんは首をかしげる。
「はい、姉が入院しています。名前は加藤忍です。面会は…しなくて大丈夫です」
「加藤…忍…ああ!あの患者さんの妹さん…?」
途端に看護師さんの顔に何とも言えない複雑な表情が浮かんだ。その表情は…まるで同情しているかのような、もしくは意外そうな表情だった。
「分かりました。それではお荷物をお預かりしておきますね。ご苦労様でした」
看護師さんは名前を聞いた途端、面会を勧めなくなった。…きっともう家の事情を知ってるんだろうな…。
「すみません。それではよろしくお願いします」
阻止して帰ろうとした時に、私は大事な事を伝えなければいけないことを思い出した。
「あ、あの…すみません。姉には誰がこの荷物を届けたかは…」
「はい、大丈夫です。お名前は伏せて渡しますので」
「ありがとうございます」
やっぱり看護師さんたちに私とお姉ちゃんの関係を知られてしまっている。私は恥ずかしい家庭の事情を知られてしまい、頬が赤くなってしまった。
「では、これで失礼しますね」
頭を下げてエレベーターホールへ向かった時、突然ナースステーショから引き留められた。
「加藤さん、待って下さいっ!」
「え?」
下行のボタンを押そうとした時、先ほどの看護師さんがバタバタとやって来た。
「あ、あの。どうかしましたか?」
「ええ。実は担当主治医から今しがた内線が入りまして、加藤さんの妹さんがいらした事を告げたら是非会いたいと言っておりますが…お時間宜しいでしょうか?」
「え?はい。大丈夫ですけど…?」
「それでは先生に伝えますね。こちらの通路に談話室がありますので、そちらの椅子でお掛けになってお待ちください」
「はい。わかりました」
看護師さんに言われた通路を進むと、広々とした空間が現れた。仕切りやドアの類が一切なく、窓際に対面するようにカウンター形式のテーブルと椅子が並べられている。さらには丸テーブルに椅子が、いくつも並べられており、奥の壁には自動販売機やレンジも置かていた。
「ひょっとして面会に来た人のためのスペースなのかな?」
そこでとりあえず私は、窓際のカウンター席に座った。
ここは5階という立地条件がら、外の景色が良く見えて夕日の色が談話室の中をオレンジ色に染めていた。
「先生ってどんな人なんだろう…」
その時―
「お待たせいたしました」
私の背後で人の気配を感じた――