本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第9章 13 伝えられない言葉
「今日ね…お姉ちゃんの担当の先生に会って話を聞いてきたの」
「え? そうなのか? 会えたのか?」
亮平が意外そうな顔で私を見た。
「うん、それで面談室で話をしてきたんだけど…。お姉ちゃんの今の病状や今後の治療方針。それと…」
ここから先は…話すのが辛い…。
「鈴音。どうした? 何で黙るんだよ?」
亮平が身を乗り出してきた。
「あ、あのね…。先生に聞いたんだけど…私とお姉ちゃん…血が繋がっていなかったの。お姉ちゃん…私が生まれてくる前にお父さんとお母さんにもらわれてきたんだって…」
「え…っ?! な、何だよ…それ。つまり、忍は養女だったって事なのか?!」
「う、うん。そうだったの…」
亮平はとても驚いている。でもそれは当然だろう。私だってごく驚いているのだから。
「鈴音。その話本当なのか?間違いないのか?」
「お姉ちゃんが先生に話したみたいだから間違いないと思う。それに本当かどうかは戸籍謄本を取れば分るんだよね?」
私は今まで戸籍謄本は見たことが無かった。住民票なら見たことはあるけども…。大体パスポートも作った事が無いから戸籍謄本の必要も無かったし。
「そうか…」
亮平は青ざめた顔をしてコンビニをじっと見つめると、私に視線を移した。
「鈴音、ナンバーカードは作ってあるのか?」
「うん。作ったよ?」
「今持ってるか?」
「ううん。無くさないように実家の金庫にいれてあるよ」
「そうか、それならいつでも戸籍謄本は取れるな?」
そうだった。ナンバーカードがあればコンビニで取れるんだっけ。
「うん。そうだね。丁度実家に戻るし明日にでも戸籍謄本を取ることにするよ」
それにしても…。私は亮平を見た。今の話でさぞかしショックを受けるのではないかと思ったけど、意外なほど亮平は落ち着いていた。
「ねえ、亮平はショックじゃないの?」
「うん? まぁ…確かにショックではあるけど…でもそんなのは大した問題じゃないしな」
「え…? 問題じゃないの?」
「ああ、例え忍が養女だろうと何だろうと俺には関係無い。どこの誰だろうと俺にとっては唯一無二の…大切な存在だからな」
そして亮平は笑顔で答えた。
お姉ちゃんは亮平にとって…唯一無二の大切な存在…。それじゃ私は? 亮平にとっての私は一体どんな存在なの? だけどそんな事私は亮平に聞けない。聞けるはずは無かった。
「…」
思わず黙ってしまうと亮平が声を掛けてきた。
「どうした? 鈴音。何かあまり元気ない様に見えるけど?」
「う、ううん。別に…そんな事無いよ」
「そうか? ならいいけど…。よし、そろそろ行くか? あまり遅くなると母さんから電話がかかってくるかもしれないからな」
「うん、そうだね」
「よし、行くか」
亮平はエンジンをかけると、再び車を走らせた。
「…」
私は窓の外の景色を眺めながら思った。結局一番肝心な話をする事が出来なかった。お姉ちゃんがどれだけ私を憎んでいるかと言う事、そして家族写真の私が映っている部分だけカッターナイフで滅茶苦茶に切りつけられていた事を――
「え? そうなのか? 会えたのか?」
亮平が意外そうな顔で私を見た。
「うん、それで面談室で話をしてきたんだけど…。お姉ちゃんの今の病状や今後の治療方針。それと…」
ここから先は…話すのが辛い…。
「鈴音。どうした? 何で黙るんだよ?」
亮平が身を乗り出してきた。
「あ、あのね…。先生に聞いたんだけど…私とお姉ちゃん…血が繋がっていなかったの。お姉ちゃん…私が生まれてくる前にお父さんとお母さんにもらわれてきたんだって…」
「え…っ?! な、何だよ…それ。つまり、忍は養女だったって事なのか?!」
「う、うん。そうだったの…」
亮平はとても驚いている。でもそれは当然だろう。私だってごく驚いているのだから。
「鈴音。その話本当なのか?間違いないのか?」
「お姉ちゃんが先生に話したみたいだから間違いないと思う。それに本当かどうかは戸籍謄本を取れば分るんだよね?」
私は今まで戸籍謄本は見たことが無かった。住民票なら見たことはあるけども…。大体パスポートも作った事が無いから戸籍謄本の必要も無かったし。
「そうか…」
亮平は青ざめた顔をしてコンビニをじっと見つめると、私に視線を移した。
「鈴音、ナンバーカードは作ってあるのか?」
「うん。作ったよ?」
「今持ってるか?」
「ううん。無くさないように実家の金庫にいれてあるよ」
「そうか、それならいつでも戸籍謄本は取れるな?」
そうだった。ナンバーカードがあればコンビニで取れるんだっけ。
「うん。そうだね。丁度実家に戻るし明日にでも戸籍謄本を取ることにするよ」
それにしても…。私は亮平を見た。今の話でさぞかしショックを受けるのではないかと思ったけど、意外なほど亮平は落ち着いていた。
「ねえ、亮平はショックじゃないの?」
「うん? まぁ…確かにショックではあるけど…でもそんなのは大した問題じゃないしな」
「え…? 問題じゃないの?」
「ああ、例え忍が養女だろうと何だろうと俺には関係無い。どこの誰だろうと俺にとっては唯一無二の…大切な存在だからな」
そして亮平は笑顔で答えた。
お姉ちゃんは亮平にとって…唯一無二の大切な存在…。それじゃ私は? 亮平にとっての私は一体どんな存在なの? だけどそんな事私は亮平に聞けない。聞けるはずは無かった。
「…」
思わず黙ってしまうと亮平が声を掛けてきた。
「どうした? 鈴音。何かあまり元気ない様に見えるけど?」
「う、ううん。別に…そんな事無いよ」
「そうか? ならいいけど…。よし、そろそろ行くか? あまり遅くなると母さんから電話がかかってくるかもしれないからな」
「うん、そうだね」
「よし、行くか」
亮平はエンジンをかけると、再び車を走らせた。
「…」
私は窓の外の景色を眺めながら思った。結局一番肝心な話をする事が出来なかった。お姉ちゃんがどれだけ私を憎んでいるかと言う事、そして家族写真の私が映っている部分だけカッターナイフで滅茶苦茶に切りつけられていた事を――