本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第9章 16 嫉妬の涙
バンッ!
自分の家の扉を閉めると、私は力なく玄関から家に上がり込み…壁についている電気のスイッチを押した。
ピッ
ちいさな音を立て、電気がついて部屋が明るく照らし出される。
「はあ…」
小さく溜息をつき靴を脱ぐと、重い足取りで玄関から部屋の中へと上がりんだ。そしてリビングのソファに座り、カバンに触れた。
そうだ、戸籍謄本を取りに行くんだっけ。部屋の時計を見ると時間はもうすぐ22時になろうとしていた。
「今日中に確認したほうがいいかもな…」
そして再び立ち上がってコートを着込んだ時…。
ピンポーン
玄関のインターホンが鳴らされた。
「おばさんかな?」
でも、もし泊まりなさと言われても断るつもりだった。だってあんな写真を持ち歩いて落としてしまった為にもめごとが起きてしまったんだもの。
私はカバンを下げたまま玄関へ向かい、ドアを開けた。
ガチャ
「え? 亮平…?」
すると玄関に立っていたのは亮平だった。
「鈴音? お前、上着なんか着て…おまけにカバン迄持ってどこに行くつもりだったんだよ?」
「え…と、コンビニに戸籍謄本を取りに行こうかと思って…」
「そうだったな。それで今から行くのか?」
「うん」
「そっか。それじゃ一緒に行こう」
「え?」
「何だよ、聞こえなかったのか? もうこんなに遅い時間だし、いくら近所だって言っても危ないだろう? お前だって一応女なんだし」
「だけど…」
さっき、亮平に写真を自分で切り裂いたのか?と尋ねられた言葉がどうしても頭から離れてくれない。
「いいよ、すぐそこだから1人で行けるよ。亮平はもう家に戻って。おじさんとおばさんに謝っておいてくれる?」
「いいから来いよ」
亮平は私の右手首を掴むと、強引に玄関の外へ取れだした。
「鍵」
「え?」
「え? じゃない。家の鍵をよこせよ」
「う、うん…」
鍵を渡すと亮平は空いていた右手で鍵を閉めると、鍵を渡してきた。
「ほら、返す」
「うん」
左手で鍵を受け取り、ポケットに入れると亮平はそこでようやく私の手を離した。
「よし、行こう」
亮平は月夜を背に、白い息を吐いた。
「はい…」
俯きながら返事をすると、亮平は前を歩き始めるとおもむろに口を開いた。
「悪かったな。鈴音」
「え?」
亮平は振り返りもしない。
「さっきの家での話だ。俺って馬鹿だよな。父さんも母さんも忍を良く思っていないのを鈴音は知っているだろう? だから忍の評判を落とす為にわざと写真を切りつけて落として行ったのかと思って…」
「!」
思わず足を止めてしまった。
その言葉はすごくショックだった。私がそんな事するはずないのに…。
「鈴音、どうした?」
前を歩く亮平が立ち止まって振り向いた。多分私の足音が止まったからだろう。
「酷いよ…」
俯いた私の口から言葉が漏れていた。
「え?」
亮平の戸惑う声が聞こえてくる。
「わ、私がおじさんとおばさんのお姉ちゃんに対する評価を落とす為にわざとなんて…そんな事するはずない…のに…」
俯いた私の目から大粒の涙があふれ…アスファルトの地面にポタリポタリと小さなシミを作っていく。
「す、鈴音?」
「どうして私が自分自身が映り込んだ写真をカッターで切り刻めると思うの? あ、あんな怖い真似…出来るはずないでしょう?」
涙があふれて止まらない。でも泣き顔なんか見られたくない。だって…そう、今私が流している涙はお姉ちゃんに対する嫉妬の涙だから。誤解された目で見られたことがショックで泣いているわけじゃない。私を悪者にしてでもお姉ちゃんを擁護する亮平。私がいくら亮平の事が好きでも決して叶う事の無い恋。お姉ちゃんの醜い部分を沢山見てきているはずなのにどうしてお姉ちゃんを選ぶの? どうして亮平が好きな人は私じゃなくてお姉ちゃんなの…?
「悪かったよ、お前を一度だって疑うような真似して…。謝るから…もう泣き止んでくれよ。な?」
一方の私の気持ちに気付かない亮平は濡れ衣を着せられたショックで私が泣いていると思い込んでいる。
「あ~ほらっ! コンビニ行ったら好きなもの買ってやるから…いくぞ!」
そして亮平は私の右手をつなぐと夜の住宅街を再び歩き始めた――
自分の家の扉を閉めると、私は力なく玄関から家に上がり込み…壁についている電気のスイッチを押した。
ピッ
ちいさな音を立て、電気がついて部屋が明るく照らし出される。
「はあ…」
小さく溜息をつき靴を脱ぐと、重い足取りで玄関から部屋の中へと上がりんだ。そしてリビングのソファに座り、カバンに触れた。
そうだ、戸籍謄本を取りに行くんだっけ。部屋の時計を見ると時間はもうすぐ22時になろうとしていた。
「今日中に確認したほうがいいかもな…」
そして再び立ち上がってコートを着込んだ時…。
ピンポーン
玄関のインターホンが鳴らされた。
「おばさんかな?」
でも、もし泊まりなさと言われても断るつもりだった。だってあんな写真を持ち歩いて落としてしまった為にもめごとが起きてしまったんだもの。
私はカバンを下げたまま玄関へ向かい、ドアを開けた。
ガチャ
「え? 亮平…?」
すると玄関に立っていたのは亮平だった。
「鈴音? お前、上着なんか着て…おまけにカバン迄持ってどこに行くつもりだったんだよ?」
「え…と、コンビニに戸籍謄本を取りに行こうかと思って…」
「そうだったな。それで今から行くのか?」
「うん」
「そっか。それじゃ一緒に行こう」
「え?」
「何だよ、聞こえなかったのか? もうこんなに遅い時間だし、いくら近所だって言っても危ないだろう? お前だって一応女なんだし」
「だけど…」
さっき、亮平に写真を自分で切り裂いたのか?と尋ねられた言葉がどうしても頭から離れてくれない。
「いいよ、すぐそこだから1人で行けるよ。亮平はもう家に戻って。おじさんとおばさんに謝っておいてくれる?」
「いいから来いよ」
亮平は私の右手首を掴むと、強引に玄関の外へ取れだした。
「鍵」
「え?」
「え? じゃない。家の鍵をよこせよ」
「う、うん…」
鍵を渡すと亮平は空いていた右手で鍵を閉めると、鍵を渡してきた。
「ほら、返す」
「うん」
左手で鍵を受け取り、ポケットに入れると亮平はそこでようやく私の手を離した。
「よし、行こう」
亮平は月夜を背に、白い息を吐いた。
「はい…」
俯きながら返事をすると、亮平は前を歩き始めるとおもむろに口を開いた。
「悪かったな。鈴音」
「え?」
亮平は振り返りもしない。
「さっきの家での話だ。俺って馬鹿だよな。父さんも母さんも忍を良く思っていないのを鈴音は知っているだろう? だから忍の評判を落とす為にわざと写真を切りつけて落として行ったのかと思って…」
「!」
思わず足を止めてしまった。
その言葉はすごくショックだった。私がそんな事するはずないのに…。
「鈴音、どうした?」
前を歩く亮平が立ち止まって振り向いた。多分私の足音が止まったからだろう。
「酷いよ…」
俯いた私の口から言葉が漏れていた。
「え?」
亮平の戸惑う声が聞こえてくる。
「わ、私がおじさんとおばさんのお姉ちゃんに対する評価を落とす為にわざとなんて…そんな事するはずない…のに…」
俯いた私の目から大粒の涙があふれ…アスファルトの地面にポタリポタリと小さなシミを作っていく。
「す、鈴音?」
「どうして私が自分自身が映り込んだ写真をカッターで切り刻めると思うの? あ、あんな怖い真似…出来るはずないでしょう?」
涙があふれて止まらない。でも泣き顔なんか見られたくない。だって…そう、今私が流している涙はお姉ちゃんに対する嫉妬の涙だから。誤解された目で見られたことがショックで泣いているわけじゃない。私を悪者にしてでもお姉ちゃんを擁護する亮平。私がいくら亮平の事が好きでも決して叶う事の無い恋。お姉ちゃんの醜い部分を沢山見てきているはずなのにどうしてお姉ちゃんを選ぶの? どうして亮平が好きな人は私じゃなくてお姉ちゃんなの…?
「悪かったよ、お前を一度だって疑うような真似して…。謝るから…もう泣き止んでくれよ。な?」
一方の私の気持ちに気付かない亮平は濡れ衣を着せられたショックで私が泣いていると思い込んでいる。
「あ~ほらっ! コンビニ行ったら好きなもの買ってやるから…いくぞ!」
そして亮平は私の右手をつなぐと夜の住宅街を再び歩き始めた――