本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第10章 3 今夜の料理は
「鈴音ちゃん、良かったわ~来てくれて。やっぱり亮平を迎えに行かせて正解だったわね」
玄関に入ると真っ先におばさんが迎えに出てくれた。亮平はさっさと玄関から部屋の中へ上がり込んでしまっている。
「すみません…おばさん。夜ご飯頂く事になって…」
ペコリと頭を下げるとおばさんは笑った。
「いいのよ、鈴音ちゃん。気を遣う事は無いから。それに今夜はとっても簡単な料理だったのよ。ゴマ豆乳鍋なの。鈴音ちゃんは鍋料理好き?」
「はい、大好きです。本当は食べたいんですけど1人暮らしだとなかなか鍋料理ってしなくて…」
「ああ、良かったわ~。それじゃ早くいらっしゃい。いつでも食べられるから」
おばさんに促され、私はリビングへ向かうと亮平はテーブルに向ってスマホをいじっていた。けれども、何やら難しそうな顔をすると溜息をつき、画面を切ってしまった。
「?」
どうしたんだろう? その時、亮平が私に気付いて声をかけてきた。
「うん? 何そんなところに突っ立ってるんだ? 座れよ」
「う、うん…」
亮平の向かい側に座ると、私は尋ねた。
「亮平。今夜おじさんはどうしたの?」
「ああ、父さんは今夜は出張で静岡に行ってるんだ。だから今夜は帰ってこない」
「ふ~ん…そうなんだ」
亮平のお父さんも金融会社に勤めているから出張が多いんだっけ…。
「はい、お待たせ~」
おばさんが大きな土鍋をミトンを付けた両手で運んでくると、テーブルの上に置かれた鍋敷きの上にドンと乗せた。
「さあ、蓋を開けるわよ~」
おばさんは大げさな素振りで土鍋の蓋を開けると途端にモワッと湯気が立ち上った。鍋の中はグツグツと音を立てていて、中には具材があふれんばかりにはいっている。大根、ニンジン、白菜にキノコ…そして豆腐に鶏肉。そのどれもが美味しそうに煮込まれている。
「うわっ! うまそうだな…」
亮平が突如立ち上がった。
「え? どこ行くの?」
私が尋ねると亮平が言った。
「ああ、ビールを飲もうかと思ってな」
するとおばさんが手を上げた。
「あ、じゃあ私の分も持ってきてくれる?」
「え? お、おばさん!?」
まさかおばさんがビールを飲むなんてっ! 驚いておばさんを見てしまった。
「あら、どうしたの? 鈴音ちゃんもビール飲む?」
「い、いえ…私は…」
お風呂の前にビールなんか飲んだら眠くなりそうだったので私は遠慮した。
「ふ~ん。それじゃ、鈴音はいらないんだな?」
亮平は缶ビールを2本持ってくると、自分の前とおばさんの前に置いた。
「さて、それじゃ頂きましょうか?」
おばさんがポンと手を叩いた。
「はい、頂きます」
「頂きます」
私も亮平も手を合わせると、早速みんなでお玉で鍋をすくって食べ始めた。鍋の具材は豆乳スープがしみ込んでいてとてもおいしかったし、おばさんと亮平はお酒のせいか、いつも以上に饒舌で楽し気だった。そして楽しい時間はあっという間に過ぎ…。
いつの間にか時刻は21時を過ぎていた。
「おばさん、今夜は食事をご馳走して頂き、ありがとうございました」
そして頭を下げる。
「いいのよ、鈴音ちゃん。また絶対食事に来て頂戴ね?」
「はい、ありがとうございます。それじゃ帰りますね」
するとソファでスマホをいじっていた亮平が立ち上がり、声を掛けてきた。
「鈴音。家まで送る」
「ええっ!? な、何言ってるの? 送るも何も家は隣だよ? 1人で戻れるから…」
そこまで言いかけて、ハッとなった。何故ならそこには切羽詰まった表情を浮かべた亮平が私を見つめていたからだった――
玄関に入ると真っ先におばさんが迎えに出てくれた。亮平はさっさと玄関から部屋の中へ上がり込んでしまっている。
「すみません…おばさん。夜ご飯頂く事になって…」
ペコリと頭を下げるとおばさんは笑った。
「いいのよ、鈴音ちゃん。気を遣う事は無いから。それに今夜はとっても簡単な料理だったのよ。ゴマ豆乳鍋なの。鈴音ちゃんは鍋料理好き?」
「はい、大好きです。本当は食べたいんですけど1人暮らしだとなかなか鍋料理ってしなくて…」
「ああ、良かったわ~。それじゃ早くいらっしゃい。いつでも食べられるから」
おばさんに促され、私はリビングへ向かうと亮平はテーブルに向ってスマホをいじっていた。けれども、何やら難しそうな顔をすると溜息をつき、画面を切ってしまった。
「?」
どうしたんだろう? その時、亮平が私に気付いて声をかけてきた。
「うん? 何そんなところに突っ立ってるんだ? 座れよ」
「う、うん…」
亮平の向かい側に座ると、私は尋ねた。
「亮平。今夜おじさんはどうしたの?」
「ああ、父さんは今夜は出張で静岡に行ってるんだ。だから今夜は帰ってこない」
「ふ~ん…そうなんだ」
亮平のお父さんも金融会社に勤めているから出張が多いんだっけ…。
「はい、お待たせ~」
おばさんが大きな土鍋をミトンを付けた両手で運んでくると、テーブルの上に置かれた鍋敷きの上にドンと乗せた。
「さあ、蓋を開けるわよ~」
おばさんは大げさな素振りで土鍋の蓋を開けると途端にモワッと湯気が立ち上った。鍋の中はグツグツと音を立てていて、中には具材があふれんばかりにはいっている。大根、ニンジン、白菜にキノコ…そして豆腐に鶏肉。そのどれもが美味しそうに煮込まれている。
「うわっ! うまそうだな…」
亮平が突如立ち上がった。
「え? どこ行くの?」
私が尋ねると亮平が言った。
「ああ、ビールを飲もうかと思ってな」
するとおばさんが手を上げた。
「あ、じゃあ私の分も持ってきてくれる?」
「え? お、おばさん!?」
まさかおばさんがビールを飲むなんてっ! 驚いておばさんを見てしまった。
「あら、どうしたの? 鈴音ちゃんもビール飲む?」
「い、いえ…私は…」
お風呂の前にビールなんか飲んだら眠くなりそうだったので私は遠慮した。
「ふ~ん。それじゃ、鈴音はいらないんだな?」
亮平は缶ビールを2本持ってくると、自分の前とおばさんの前に置いた。
「さて、それじゃ頂きましょうか?」
おばさんがポンと手を叩いた。
「はい、頂きます」
「頂きます」
私も亮平も手を合わせると、早速みんなでお玉で鍋をすくって食べ始めた。鍋の具材は豆乳スープがしみ込んでいてとてもおいしかったし、おばさんと亮平はお酒のせいか、いつも以上に饒舌で楽し気だった。そして楽しい時間はあっという間に過ぎ…。
いつの間にか時刻は21時を過ぎていた。
「おばさん、今夜は食事をご馳走して頂き、ありがとうございました」
そして頭を下げる。
「いいのよ、鈴音ちゃん。また絶対食事に来て頂戴ね?」
「はい、ありがとうございます。それじゃ帰りますね」
するとソファでスマホをいじっていた亮平が立ち上がり、声を掛けてきた。
「鈴音。家まで送る」
「ええっ!? な、何言ってるの? 送るも何も家は隣だよ? 1人で戻れるから…」
そこまで言いかけて、ハッとなった。何故ならそこには切羽詰まった表情を浮かべた亮平が私を見つめていたからだった――