本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第10章 4 亮平の弱音
きっと亮平は私に何か話があるんだ。おばさんの前では話せない大切な話が……。だとしたらそれはお姉ちゃんの事しかない。だから私は頷いた。
「うん……それじゃ送ってもらおうかな?」
「ああ。任せろ」
途端に亮平は笑顔になるとおばさんに声をかけた。
「それじゃ鈴音を送って行くから。ついでにコーヒー飲ませて貰ってくるわ」
え? 上がり込んで迄する話なの? 私は驚いて亮平を見たけど、視線を合わせてくれない。まあ…でもいいか…。
「うん。それじゃおばさん。失礼しますね」
「ええ、またね、鈴音ちゃん。亮平、鈴音ちゃんに変な事したら駄目よ?」
おばさんがどさくさに紛れて変な事を言った。
「しねーよ! するわけないだろ!」
亮平が不貞腐れたように言う。でも、本当にその通りだと思う。おばさんが言ったような事…亮平に限って私にするはずはないのだから。
2人で玄関を出て、家に向かう時に後ろからついてきている亮平が謝ってきた。
「ごめん。悪かったな」
「え? 何が悪いの?」
鍵を開けながら亮平の方を振り向いた。
「いや、今日は病院に行ってきたから色々疲れているんじゃないかと思って」
「そんな事無いよ。だってお姉ちゃんの着替えを持って行っただけだもの」
扉を開け、家の電気をつけた。
「え? そうなのか?」
一瞬驚いたような表情を見せる亮平。
「うん。多分私がお姉ちゃんと会えるようになるのはもっともっとお姉ちゃんの状態が回復してからの事になるから……まだまだ先の話になるんじゃないのかな? それじゃ、上がって」
「あ、ああ……。お邪魔します」
亮平が玄関から上がり込んできたので私はキッチンへ向かい、ガス台に乗っているヤカンの蓋を開けると水を注いだ。
「え? 鈴音。何してるんだ?」
「だってコーヒー飲むんでしょう?」
「あ、あれは別に母さんの手前だったから。でも折角用意してくれているんだしな。それじゃコーヒー頼むわ」
「うん、それじゃソファにでも座って待ってて。すぐにコーヒー淹れるから」
「ああ、悪いな」
亮平はリビングのソファに座った。
食器棚を開けて2人分のマグカップを取りだし、ドリップコーヒーをセットしている間にお湯が沸いたので、カップにお湯を注ぎお盆に乗せるとリビングへ持って行く。
「はい、亮平。コーヒーどうぞ」
湯気の立つカップを目の前に置くと私はエアコンのスイッチを入れて、亮平の向かい側に座った。
「それで? 私に何か大事な話があるんでしょう?」
熱々のコーヒーを一口飲むと私は亮平の顔を見た。
「そうなんだ。母さんの前では忍の話をしにくくて……」
「お姉ちゃんのどんな話なの?」
「実はこの間、忍の面会に行ったんだけど、忍が妙な事を言って来たんだ。『亮平君はまだ私の事慕ってくれているの?』って。慕うも何も俺と忍は恋人同士なのに。いつの間にか俺の事、君付けで呼ぶようになったし。以前までは亮平って呼んでくれていたのに。やっぱり忍は記憶がまだ混乱しているみたいなんだ。それどころか未だに主治医の事を『進』って呼んでるんだ」
亮平はコーヒーを飲みながらポツリポツリと言う。恋人同士…その言葉にズキリと胸が痛む。
「まだまだ時間はかかると思うけど、ここは主治医の先生の事を信じて待とうよ。きっとお姉ちゃん今に良くなるよ」
「ああ、そうだよな。悪かったな、変な話して。一番辛いのは鈴音なのに。又俺の話聞いてくれるか?」
「うん。私で良ければいつでもいいよ」
お姉ちゃんの話を聞くのは辛いけど……亮平の力になれるならそれでも構わない。
私はそう思って頷いた――
「うん……それじゃ送ってもらおうかな?」
「ああ。任せろ」
途端に亮平は笑顔になるとおばさんに声をかけた。
「それじゃ鈴音を送って行くから。ついでにコーヒー飲ませて貰ってくるわ」
え? 上がり込んで迄する話なの? 私は驚いて亮平を見たけど、視線を合わせてくれない。まあ…でもいいか…。
「うん。それじゃおばさん。失礼しますね」
「ええ、またね、鈴音ちゃん。亮平、鈴音ちゃんに変な事したら駄目よ?」
おばさんがどさくさに紛れて変な事を言った。
「しねーよ! するわけないだろ!」
亮平が不貞腐れたように言う。でも、本当にその通りだと思う。おばさんが言ったような事…亮平に限って私にするはずはないのだから。
2人で玄関を出て、家に向かう時に後ろからついてきている亮平が謝ってきた。
「ごめん。悪かったな」
「え? 何が悪いの?」
鍵を開けながら亮平の方を振り向いた。
「いや、今日は病院に行ってきたから色々疲れているんじゃないかと思って」
「そんな事無いよ。だってお姉ちゃんの着替えを持って行っただけだもの」
扉を開け、家の電気をつけた。
「え? そうなのか?」
一瞬驚いたような表情を見せる亮平。
「うん。多分私がお姉ちゃんと会えるようになるのはもっともっとお姉ちゃんの状態が回復してからの事になるから……まだまだ先の話になるんじゃないのかな? それじゃ、上がって」
「あ、ああ……。お邪魔します」
亮平が玄関から上がり込んできたので私はキッチンへ向かい、ガス台に乗っているヤカンの蓋を開けると水を注いだ。
「え? 鈴音。何してるんだ?」
「だってコーヒー飲むんでしょう?」
「あ、あれは別に母さんの手前だったから。でも折角用意してくれているんだしな。それじゃコーヒー頼むわ」
「うん、それじゃソファにでも座って待ってて。すぐにコーヒー淹れるから」
「ああ、悪いな」
亮平はリビングのソファに座った。
食器棚を開けて2人分のマグカップを取りだし、ドリップコーヒーをセットしている間にお湯が沸いたので、カップにお湯を注ぎお盆に乗せるとリビングへ持って行く。
「はい、亮平。コーヒーどうぞ」
湯気の立つカップを目の前に置くと私はエアコンのスイッチを入れて、亮平の向かい側に座った。
「それで? 私に何か大事な話があるんでしょう?」
熱々のコーヒーを一口飲むと私は亮平の顔を見た。
「そうなんだ。母さんの前では忍の話をしにくくて……」
「お姉ちゃんのどんな話なの?」
「実はこの間、忍の面会に行ったんだけど、忍が妙な事を言って来たんだ。『亮平君はまだ私の事慕ってくれているの?』って。慕うも何も俺と忍は恋人同士なのに。いつの間にか俺の事、君付けで呼ぶようになったし。以前までは亮平って呼んでくれていたのに。やっぱり忍は記憶がまだ混乱しているみたいなんだ。それどころか未だに主治医の事を『進』って呼んでるんだ」
亮平はコーヒーを飲みながらポツリポツリと言う。恋人同士…その言葉にズキリと胸が痛む。
「まだまだ時間はかかると思うけど、ここは主治医の先生の事を信じて待とうよ。きっとお姉ちゃん今に良くなるよ」
「ああ、そうだよな。悪かったな、変な話して。一番辛いのは鈴音なのに。又俺の話聞いてくれるか?」
「うん。私で良ければいつでもいいよ」
お姉ちゃんの話を聞くのは辛いけど……亮平の力になれるならそれでも構わない。
私はそう思って頷いた――