本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第10章 5 姉の日記帳
亮平が帰った後…お姉ちゃんの部屋へ向かった。
「ごめんね、お姉ちゃん。部屋の中見せてもらうね」
部屋のドアを開けて壁のスイッチに触れて明かりをつけた。お姉ちゃんの部屋はフローリングの6畳の洋室。そして南向きの窓に面して木製のパソコンデスクに背もたれ付きの木製の椅子が置かれている。部屋の中央にはパッチワーク柄のラグマットが敷かれ、その上には白木の可愛らしい楕円家のセンターテーブル。あまり物が置かれていないので広々とした部屋に見える。
お姉ちゃんは精神が荒れるまではとても几帳面な人だった。読書が好きだったお姉ちゃんの本棚にはきちんと作者別に本が並べられ、雑誌の類もジャンル別や背の順に並べられている。
私はその本棚の中からある一角をじっと見つめた。そこの棚に並べられている本だけは一種異様な雰囲気を放っているように感じた。
「お姉ちゃん……。こんな本一体何に使っていたの…?」
私は震える手で1冊の本を抜き取った。本の表紙にはこう書かれている。
『マインドコントロール ~人の心を操る方法』
かなり読み込まれたのか、ところどころページがよれていたり、マーカーでチェックが入っていたりする。この本が置かれていた棚をチラリと見ると、他にも催眠暗示の本やマインドコントロールについての本が10冊以上並んでいた。
「この本読んでいたの? 一体誰に使おうとしていたの?」
その時、私はあることに気が付いた。1冊だけブックケースに入れらている本が入っている。しかも背表紙も何もない。
「これ何だろう…?」
不思議に思って抜き取ってみた。するとそこには『diary』と書かれている。
「え? 日記帳…?」
震える手でブックケースから日記帳を抜き出した。ハードカバーの表紙は淡いピンク色をしている。
人の日記を勝手に盗み見るなんて事…人として絶対にやってはいけないことだとは自覚している。だけどひょっとすると…この日記帳にはお姉ちゃんの心の内が書かれているかもしれない。何かお姉ちゃんの心の闇の原因が分かるかもしれない。そして…何故この日記帳が人の精神を操る方法ばかり書かれた書籍の棚に入れられていたのかそれが分かるかもしれない。そう思うとページを開かずにはいられなかった。
「お姉ちゃん…ごめんなさい…っ!」
私は思い切ってページを開いた――
****
深夜0時半―
ベッドの上で常夜灯のオレンジ色の小さな明かりをぼんやりと私は見つめていた。
お姉ちゃんの日記…あれは日記というよりもほとんどメモ書きの様に思えた。最初の日付は10年前から始まっていた。そして…進さんの衝撃的な事故についての記述…そこから先はお姉ちゃんの精神状態がおかしくなってから書いた為か…目も当てられない内容ばかりだった。
「お姉ちゃん…そんなに昔からあの本を買い集めていたの…?」
私はポツリと言った。どうしよう…私はお姉ちゃんの重大な秘密を知ってしまった。だけど…。
「駄目だ…あんな日記帳の事…絶対に亮平には話せない…」
ベッドの中で寝返りを打つと溜息をつき、考えた。
そうだ。お姉ちゃんの主治医の笠井先生に相談しよう。きっとあの先生なら秘密を守ってくれるし、相談に乗ってくれるだろう。
「お昼休みになったら病院に連絡して先生とのアポイントを取らせて貰おう…」
そう考えたら何だか心が楽になり、いつしか私は眠りについていた――
「ごめんね、お姉ちゃん。部屋の中見せてもらうね」
部屋のドアを開けて壁のスイッチに触れて明かりをつけた。お姉ちゃんの部屋はフローリングの6畳の洋室。そして南向きの窓に面して木製のパソコンデスクに背もたれ付きの木製の椅子が置かれている。部屋の中央にはパッチワーク柄のラグマットが敷かれ、その上には白木の可愛らしい楕円家のセンターテーブル。あまり物が置かれていないので広々とした部屋に見える。
お姉ちゃんは精神が荒れるまではとても几帳面な人だった。読書が好きだったお姉ちゃんの本棚にはきちんと作者別に本が並べられ、雑誌の類もジャンル別や背の順に並べられている。
私はその本棚の中からある一角をじっと見つめた。そこの棚に並べられている本だけは一種異様な雰囲気を放っているように感じた。
「お姉ちゃん……。こんな本一体何に使っていたの…?」
私は震える手で1冊の本を抜き取った。本の表紙にはこう書かれている。
『マインドコントロール ~人の心を操る方法』
かなり読み込まれたのか、ところどころページがよれていたり、マーカーでチェックが入っていたりする。この本が置かれていた棚をチラリと見ると、他にも催眠暗示の本やマインドコントロールについての本が10冊以上並んでいた。
「この本読んでいたの? 一体誰に使おうとしていたの?」
その時、私はあることに気が付いた。1冊だけブックケースに入れらている本が入っている。しかも背表紙も何もない。
「これ何だろう…?」
不思議に思って抜き取ってみた。するとそこには『diary』と書かれている。
「え? 日記帳…?」
震える手でブックケースから日記帳を抜き出した。ハードカバーの表紙は淡いピンク色をしている。
人の日記を勝手に盗み見るなんて事…人として絶対にやってはいけないことだとは自覚している。だけどひょっとすると…この日記帳にはお姉ちゃんの心の内が書かれているかもしれない。何かお姉ちゃんの心の闇の原因が分かるかもしれない。そして…何故この日記帳が人の精神を操る方法ばかり書かれた書籍の棚に入れられていたのかそれが分かるかもしれない。そう思うとページを開かずにはいられなかった。
「お姉ちゃん…ごめんなさい…っ!」
私は思い切ってページを開いた――
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深夜0時半―
ベッドの上で常夜灯のオレンジ色の小さな明かりをぼんやりと私は見つめていた。
お姉ちゃんの日記…あれは日記というよりもほとんどメモ書きの様に思えた。最初の日付は10年前から始まっていた。そして…進さんの衝撃的な事故についての記述…そこから先はお姉ちゃんの精神状態がおかしくなってから書いた為か…目も当てられない内容ばかりだった。
「お姉ちゃん…そんなに昔からあの本を買い集めていたの…?」
私はポツリと言った。どうしよう…私はお姉ちゃんの重大な秘密を知ってしまった。だけど…。
「駄目だ…あんな日記帳の事…絶対に亮平には話せない…」
ベッドの中で寝返りを打つと溜息をつき、考えた。
そうだ。お姉ちゃんの主治医の笠井先生に相談しよう。きっとあの先生なら秘密を守ってくれるし、相談に乗ってくれるだろう。
「お昼休みになったら病院に連絡して先生とのアポイントを取らせて貰おう…」
そう考えたら何だか心が楽になり、いつしか私は眠りについていた――