本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第10章 9 2人で一緒に
「ふう…今日は疲れたなぁ…」
夜6時半―
千駄ヶ谷駅に着いた私は重い足を引きずるように家路についていた。午前中はチラシ配り、午後は店舗に置いてあるパンフレットの入れ替え…等々身体を動かす雑務ばかりだったので心身共に疲れ切っていた。
そこで私はあることを思いついた。
「こんな日は…アレかな?」
実は今年に入って、家から徒歩数分の場所にスーパー銭湯がオープンしたのだ。まだ私は一度も行ったことが無かったけれども、すでにおじさんやおばさんは何回か利用している。
「食事も出来るって言うし…たまにはプチ贅沢もいいよね…」
すると、自然に少しだけ元気が出てきて私は笑みを浮かべながら足早に家へ向かった。
家の前で玄関のカギを開けていると、背後から声を掛けられた。
「あれ、鈴音じゃないか? 今帰って来たのか?」
振り返るとそこにはコートを羽織った亮平がこちらを見て立っていた。
「うん、そうだよ。亮平も今だったんだね」
「ああ、そうだ。ところで鈴音、ちゃんと栄養ドリンク買って飲んだのか?」
亮平は街灯の下で白い息を吐きながら尋ねてきた。
「うん、大丈夫。ちゃんと飲んだよ。しかもコンビニで一番高い1本500円もする栄養ドリンクを買って飲んだんだから」
するとそれを聞いた亮平が笑った。
「ハハハハ…何だよ、それ。あ、そうだ」
亮平は門を開けて玄関に立つ私の傍にやってくると右手に持っていたレジ袋を差し出してきた。
「ほら、これ」
「え…? 何? これ…」
受け取るとズシリと重い。そして中を見るとそこには栄誉ドリンクが1ケース入っていた。
「え? もしかして買ってきてくれたの?」
「ああ、1800円だ」
言いながら大真面目に私の前に右手を差し出してきた。あ、ああ…お金ね…。
「ちょっと待ってて。今財布出すから…」
ショルダーバックの中に手を突っ込むと、突然亮平が指で私のおでこを小突いてきた。
「な、何?」
「ば~か、冗談だよ、冗談」
「な、何だ…冗談か…」
ああ、良かった。本当にお金を請求されるかと思っちゃった…。内心ドキドキしながら私は亮平を見て笑顔でお礼を言った。
「ありがとうね。毎日出勤する前に飲むから」
「ああ、そうしろ。ところでさっき鼻歌歌いながらドアの鍵開けていただろう? 何かいいことでもあったのか?」
「嘘!? 私鼻歌なんか歌っていたの? でも…まあう~ん…いい事って言うか…いい考えを思いついたから無意識に鼻歌を歌っていたのかも」
思わず考え込むように言うと、亮平が食いついてきた。
「良い考えって?も しかして忍の事か?」
またか…やっぱり亮平の第一優先はお姉ちゃんだ。でもあの日記帳の事は絶対に亮平には教えられない。だってあの日記の中身を読めば絶対に深く傷つくに決まっている。私は亮平の傷つく姿だけは見たくなかった。
「ううん、そうじゃなくてこれから近所に出来たスーパー銭湯に行こうかと思っていただけだよ。それじゃ、私準備があるから家に入るね。栄養ドリンクありがとう」
お礼を言って玄関を開けた時、亮平が声を掛けてきた。
「おい、鈴音」
「何?」
「俺ものスーパー銭湯に行く。何分ぐらいで準備終わる?」
「ええ? 本気で言ってるの?」
「ああ、よく考えてればまだ俺も一度もスーパー銭湯に行ったことが無いからな。一緒に行こうぜ」
「それは別に構わなけど…夜ご飯も食べて帰るつもりだったんだけど?」
「お? いいな~。それじゃついでにビールで飲むかな?」
ビールか…それもいいかもしれない。
「うん、それじゃ30分後に待ち合わせしようか?」
「ああ、また後でな」
「うん、後で」
そして私と亮平は互いに家へ一度帰る事にした――
夜6時半―
千駄ヶ谷駅に着いた私は重い足を引きずるように家路についていた。午前中はチラシ配り、午後は店舗に置いてあるパンフレットの入れ替え…等々身体を動かす雑務ばかりだったので心身共に疲れ切っていた。
そこで私はあることを思いついた。
「こんな日は…アレかな?」
実は今年に入って、家から徒歩数分の場所にスーパー銭湯がオープンしたのだ。まだ私は一度も行ったことが無かったけれども、すでにおじさんやおばさんは何回か利用している。
「食事も出来るって言うし…たまにはプチ贅沢もいいよね…」
すると、自然に少しだけ元気が出てきて私は笑みを浮かべながら足早に家へ向かった。
家の前で玄関のカギを開けていると、背後から声を掛けられた。
「あれ、鈴音じゃないか? 今帰って来たのか?」
振り返るとそこにはコートを羽織った亮平がこちらを見て立っていた。
「うん、そうだよ。亮平も今だったんだね」
「ああ、そうだ。ところで鈴音、ちゃんと栄養ドリンク買って飲んだのか?」
亮平は街灯の下で白い息を吐きながら尋ねてきた。
「うん、大丈夫。ちゃんと飲んだよ。しかもコンビニで一番高い1本500円もする栄養ドリンクを買って飲んだんだから」
するとそれを聞いた亮平が笑った。
「ハハハハ…何だよ、それ。あ、そうだ」
亮平は門を開けて玄関に立つ私の傍にやってくると右手に持っていたレジ袋を差し出してきた。
「ほら、これ」
「え…? 何? これ…」
受け取るとズシリと重い。そして中を見るとそこには栄誉ドリンクが1ケース入っていた。
「え? もしかして買ってきてくれたの?」
「ああ、1800円だ」
言いながら大真面目に私の前に右手を差し出してきた。あ、ああ…お金ね…。
「ちょっと待ってて。今財布出すから…」
ショルダーバックの中に手を突っ込むと、突然亮平が指で私のおでこを小突いてきた。
「な、何?」
「ば~か、冗談だよ、冗談」
「な、何だ…冗談か…」
ああ、良かった。本当にお金を請求されるかと思っちゃった…。内心ドキドキしながら私は亮平を見て笑顔でお礼を言った。
「ありがとうね。毎日出勤する前に飲むから」
「ああ、そうしろ。ところでさっき鼻歌歌いながらドアの鍵開けていただろう? 何かいいことでもあったのか?」
「嘘!? 私鼻歌なんか歌っていたの? でも…まあう~ん…いい事って言うか…いい考えを思いついたから無意識に鼻歌を歌っていたのかも」
思わず考え込むように言うと、亮平が食いついてきた。
「良い考えって?も しかして忍の事か?」
またか…やっぱり亮平の第一優先はお姉ちゃんだ。でもあの日記帳の事は絶対に亮平には教えられない。だってあの日記の中身を読めば絶対に深く傷つくに決まっている。私は亮平の傷つく姿だけは見たくなかった。
「ううん、そうじゃなくてこれから近所に出来たスーパー銭湯に行こうかと思っていただけだよ。それじゃ、私準備があるから家に入るね。栄養ドリンクありがとう」
お礼を言って玄関を開けた時、亮平が声を掛けてきた。
「おい、鈴音」
「何?」
「俺ものスーパー銭湯に行く。何分ぐらいで準備終わる?」
「ええ? 本気で言ってるの?」
「ああ、よく考えてればまだ俺も一度もスーパー銭湯に行ったことが無いからな。一緒に行こうぜ」
「それは別に構わなけど…夜ご飯も食べて帰るつもりだったんだけど?」
「お? いいな~。それじゃついでにビールで飲むかな?」
ビールか…それもいいかもしれない。
「うん、それじゃ30分後に待ち合わせしようか?」
「ああ、また後でな」
「うん、後で」
そして私と亮平は互いに家へ一度帰る事にした――