本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第11章 1 主治医との面談
午後5時45分―
私は緊張する面持ちでナースステーションへとやって来ていた。
「加藤さんですね?笠井先生は今まだ回診中なので面談室でお待ちいただけますか?」
30代と思しき看護師さんが私を面談室まで案内してくれた。
「ありがとうございます」
頭を下げると、看護師さんは笑みを浮かべて去っていく。
ガチャリ
ドアを開けて、中へ入ると広さ6畳位の広さの部屋に窓が1つ。中央に四角いテーブルがあってパイプいすが4脚並べてある。
窓際の奥の椅子に座り、カバンからお姉ちゃんの日記帳を取り出すとテーブルの上に置いた。
カチコチカチコチ……」
しんとした部屋に壁に掛けてある時計だけが動く音が聞こえる。そして5分程待っているとノックの音が聞こえてた。
コンコン
「はい」
立ち上がって返事をすると、ガチャリとドアが開かれて白衣を着た笠井先生が中に入って来た。
「こんばんは。お待たせして申し訳ありません」
「いえ、私の方こそ突然アポを入れてしまって……」
頭を下げた。
「それで、お話と言うのは…あ、どうぞおかけください」
「はい、失礼します」
椅子に座ると、笠井先生が向かいの席に座った。そこで私は早速要件を切り出す事にした。
「あの…実はこれ…姉の日記帳…と言うかメモ書きのようなものなのですが……」
ブックケースからお姉ちゃんの日記帳を取り出すと笠井先生のテーブルの前に置いた。
「拝見してもよろしいですか?」
「はい。私も勝手に姉に内緒で見てしまったのですが……」
俯いて言うと、先生は「そうですか」と一言言って、パラパラとページをめくりだし……徐々に顔が険しくなっていく。私は先生のそんな様子をドキドキしながら見守っていた。
やがて先生はパタリと日記帳を閉じた。
「この日記帳、暫くお借りしてもよろしいですか?」
「は、はい。姉が退院するまでは大丈夫です」
「ありがとうございます」
先生は私に軽く頭を下げる。
「忍さん…思ったよりも重症だったようですね……」
笠井先生がポツリと言った。
「そうなんですか?」
「ええ…でも何とか今までの日常生活に戻れるように私も手を尽くします。そして忍さんと一緒に病院にやって来た男性に一度病院に来てもらえるよう話して頂けますか?きちんと会って話をしてみたいので。ひょっとすると…場合によっては彼にも‥」
「分りました。それで先生……私はどうなのでしょうか…?」
あの日記を読んで私は怖かった。ひょっとすると私も…?
「いえ、多分こうやって貴女と会ってお話する限り…忍さんは貴女には何もしていないと思います」
「そうですか…」
私は安堵のため息をついた。そうなるとやっぱり亮平に問題が…? そこで、私は一番重要な事を聞かなければならないことを思い出した。
「あの、先生…。も、もし…あの日記に書かれていたことが本当なら……あ、姉は…罪に問われるのでしょうか…?」
「…」
笠井先生は私をじっと見つめると、静かに口を開いた。
「加藤さん」
「は、はい」
「私は…医者です。個人情報は守ります。それに…」
「?」
「それ程気になるのでしたら…もう一度加藤さん自身が調べてみたらどうですか?」
「自分で……?」
「ええ…でも、あれはもう済んだことです。今更蒸し返す必要はないと私は思いますが…」
そして笠井先生は私をじっと見た――
私は緊張する面持ちでナースステーションへとやって来ていた。
「加藤さんですね?笠井先生は今まだ回診中なので面談室でお待ちいただけますか?」
30代と思しき看護師さんが私を面談室まで案内してくれた。
「ありがとうございます」
頭を下げると、看護師さんは笑みを浮かべて去っていく。
ガチャリ
ドアを開けて、中へ入ると広さ6畳位の広さの部屋に窓が1つ。中央に四角いテーブルがあってパイプいすが4脚並べてある。
窓際の奥の椅子に座り、カバンからお姉ちゃんの日記帳を取り出すとテーブルの上に置いた。
カチコチカチコチ……」
しんとした部屋に壁に掛けてある時計だけが動く音が聞こえる。そして5分程待っているとノックの音が聞こえてた。
コンコン
「はい」
立ち上がって返事をすると、ガチャリとドアが開かれて白衣を着た笠井先生が中に入って来た。
「こんばんは。お待たせして申し訳ありません」
「いえ、私の方こそ突然アポを入れてしまって……」
頭を下げた。
「それで、お話と言うのは…あ、どうぞおかけください」
「はい、失礼します」
椅子に座ると、笠井先生が向かいの席に座った。そこで私は早速要件を切り出す事にした。
「あの…実はこれ…姉の日記帳…と言うかメモ書きのようなものなのですが……」
ブックケースからお姉ちゃんの日記帳を取り出すと笠井先生のテーブルの前に置いた。
「拝見してもよろしいですか?」
「はい。私も勝手に姉に内緒で見てしまったのですが……」
俯いて言うと、先生は「そうですか」と一言言って、パラパラとページをめくりだし……徐々に顔が険しくなっていく。私は先生のそんな様子をドキドキしながら見守っていた。
やがて先生はパタリと日記帳を閉じた。
「この日記帳、暫くお借りしてもよろしいですか?」
「は、はい。姉が退院するまでは大丈夫です」
「ありがとうございます」
先生は私に軽く頭を下げる。
「忍さん…思ったよりも重症だったようですね……」
笠井先生がポツリと言った。
「そうなんですか?」
「ええ…でも何とか今までの日常生活に戻れるように私も手を尽くします。そして忍さんと一緒に病院にやって来た男性に一度病院に来てもらえるよう話して頂けますか?きちんと会って話をしてみたいので。ひょっとすると…場合によっては彼にも‥」
「分りました。それで先生……私はどうなのでしょうか…?」
あの日記を読んで私は怖かった。ひょっとすると私も…?
「いえ、多分こうやって貴女と会ってお話する限り…忍さんは貴女には何もしていないと思います」
「そうですか…」
私は安堵のため息をついた。そうなるとやっぱり亮平に問題が…? そこで、私は一番重要な事を聞かなければならないことを思い出した。
「あの、先生…。も、もし…あの日記に書かれていたことが本当なら……あ、姉は…罪に問われるのでしょうか…?」
「…」
笠井先生は私をじっと見つめると、静かに口を開いた。
「加藤さん」
「は、はい」
「私は…医者です。個人情報は守ります。それに…」
「?」
「それ程気になるのでしたら…もう一度加藤さん自身が調べてみたらどうですか?」
「自分で……?」
「ええ…でも、あれはもう済んだことです。今更蒸し返す必要はないと私は思いますが…」
そして笠井先生は私をじっと見た――