本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第11章 3 不機嫌な亮平
ガタン
ガタン
ガタン……
揺れる車内の中、私は椅子に座って亮平の事を考えていた。最近優しいところを見せてくれるようになっていたのに、さっきの態度は今までの亮平と何ら変わりは無かった。
電話口で随分亮平はイライラしている様子だった。一体何がそれほどまでに亮平をイラつかせていたのだろう? やっぱり私が亮平に内緒で笠井先生と面談をしたことについて怒っていたのだろうか?
「亮平に会いたくないな……」
気付けばポツリと小さな声で呟いていた――
「え……? 亮平? どうしてここに?」
千駄ヶ谷駅の改札を出ると、コートを羽織った亮平が改札の前で立って待っていた。
「決まっているだろう? 鈴音が逃げないようにここでずっと待っていたんだ」
「そんな……逃げるはずないでしょう?」
「そんな事、分かるものか」
亮平は何故か不貞腐れているように見える。
「よし、それじゃまずはどこかで飯食べて行こう」
「ええっ!? どうして? 家に帰って食べればいいじゃない。おばさんが食事用意してくれているんでしょう?」
「それなら電話して言ってある。鈴音だって腹減ってるんだろう? 一緒に飯食いながら話をしよう。家じゃ、話しにくいからな」
最後の方は言葉を濁す亮平。
ああ……やっぱり話ってお姉ちゃんの事かぁ……。
「ほら、何してるんだ、早く行くぞ。こっちはもう待ちくたびれたし、いい加減寒くてたまらなかったんだからな」
「わ、分かったよ……」
自分で勝手に私の事待っていたくせに……。そう思ったけど口には出さなかった。これ以上亮平の機嫌を損ねたくは無い。
駅を出て繁華街を歩いていると、亮平がファミレスの前で足を止めた。
「よし、ここに入るか」
亮平はさっさと店内へ入ってゆく。私も慌てて亮平の後を追った。
「あの席に座ろう」
窓際の一番奥のテーブル席に目を付けた亮平はどんどん店内の奥へと進み、コートを脱ぎ、ドサリとソファに座った。
「何してるんだ、鈴音も早く座れよ」
「う、うん……」
私もコートを脱ぐとソファに座った。
「よし……俺はステーキセットにするか。ドリンクバーはつけなくていいな。鈴音は何にする?」
「え~と、それじゃ『デミグラスソースのオムライス』で」
「分かった」
亮平はすぐにテーブル上の端末で注文を取ると、溜息をつきながらネクタイを緩めた。
「あの……それで話しって?」
どうせお姉ちゃんの事だろうけど、念の為に尋ねてみた。
「鈴音、一緒に代理店で働いている井上って男とどういう関係なんだ?」
「え?」
思いがけない名前を聞いて唖然とした。
何で? どうして今ここで井上君の話が出てくるんだろう? てっきりお姉ちゃんの話だとばかり思っていたのに。でも質問には答えなくちゃ。
「井上君は同じ代理店で働く同期の人だけど?」
「あのなぁ……そんな事は聞かなくても分かってる。俺が聞きたいのはそういう事じゃないんだよ」
亮平は半ば呆れたように私を見ている。
「え……? でも私にとって井上君は同期入社で同じ代理店で働く仲間としか言えないんだけど?」
首を傾げながら答える。それでも亮平はその答えに納得しないのかさらに語気を強めてきた。
「俺が聞いているのは、お前はその井上って男と個人的に付き合ってるのかって聞いているんだよ」
「え? 私が井上君と付き合っている? あ~それは絶対に無いから」
苦笑しながら答えると、亮平は次にとんでもない事を言ってきた――
ガタン
ガタン……
揺れる車内の中、私は椅子に座って亮平の事を考えていた。最近優しいところを見せてくれるようになっていたのに、さっきの態度は今までの亮平と何ら変わりは無かった。
電話口で随分亮平はイライラしている様子だった。一体何がそれほどまでに亮平をイラつかせていたのだろう? やっぱり私が亮平に内緒で笠井先生と面談をしたことについて怒っていたのだろうか?
「亮平に会いたくないな……」
気付けばポツリと小さな声で呟いていた――
「え……? 亮平? どうしてここに?」
千駄ヶ谷駅の改札を出ると、コートを羽織った亮平が改札の前で立って待っていた。
「決まっているだろう? 鈴音が逃げないようにここでずっと待っていたんだ」
「そんな……逃げるはずないでしょう?」
「そんな事、分かるものか」
亮平は何故か不貞腐れているように見える。
「よし、それじゃまずはどこかで飯食べて行こう」
「ええっ!? どうして? 家に帰って食べればいいじゃない。おばさんが食事用意してくれているんでしょう?」
「それなら電話して言ってある。鈴音だって腹減ってるんだろう? 一緒に飯食いながら話をしよう。家じゃ、話しにくいからな」
最後の方は言葉を濁す亮平。
ああ……やっぱり話ってお姉ちゃんの事かぁ……。
「ほら、何してるんだ、早く行くぞ。こっちはもう待ちくたびれたし、いい加減寒くてたまらなかったんだからな」
「わ、分かったよ……」
自分で勝手に私の事待っていたくせに……。そう思ったけど口には出さなかった。これ以上亮平の機嫌を損ねたくは無い。
駅を出て繁華街を歩いていると、亮平がファミレスの前で足を止めた。
「よし、ここに入るか」
亮平はさっさと店内へ入ってゆく。私も慌てて亮平の後を追った。
「あの席に座ろう」
窓際の一番奥のテーブル席に目を付けた亮平はどんどん店内の奥へと進み、コートを脱ぎ、ドサリとソファに座った。
「何してるんだ、鈴音も早く座れよ」
「う、うん……」
私もコートを脱ぐとソファに座った。
「よし……俺はステーキセットにするか。ドリンクバーはつけなくていいな。鈴音は何にする?」
「え~と、それじゃ『デミグラスソースのオムライス』で」
「分かった」
亮平はすぐにテーブル上の端末で注文を取ると、溜息をつきながらネクタイを緩めた。
「あの……それで話しって?」
どうせお姉ちゃんの事だろうけど、念の為に尋ねてみた。
「鈴音、一緒に代理店で働いている井上って男とどういう関係なんだ?」
「え?」
思いがけない名前を聞いて唖然とした。
何で? どうして今ここで井上君の話が出てくるんだろう? てっきりお姉ちゃんの話だとばかり思っていたのに。でも質問には答えなくちゃ。
「井上君は同じ代理店で働く同期の人だけど?」
「あのなぁ……そんな事は聞かなくても分かってる。俺が聞きたいのはそういう事じゃないんだよ」
亮平は半ば呆れたように私を見ている。
「え……? でも私にとって井上君は同期入社で同じ代理店で働く仲間としか言えないんだけど?」
首を傾げながら答える。それでも亮平はその答えに納得しないのかさらに語気を強めてきた。
「俺が聞いているのは、お前はその井上って男と個人的に付き合ってるのかって聞いているんだよ」
「え? 私が井上君と付き合っている? あ~それは絶対に無いから」
苦笑しながら答えると、亮平は次にとんでもない事を言ってきた――