本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第11章 17 確認の電話
「ごちそうさまでした、すっごく美味しかったです。あんなに美味しいあんかけラーメン私初めてです」
お店を出て、歩き始めてすぐに太田先輩にお礼を述べた。
「そうかそうか、そんなにうまかったか?」
「はい、とっても」
あの時の味を思い出し、つい笑みがこぼれる。
「よし、そんなに気に入ったならまた2人で一緒に来よう!」
太田先輩が言うと、突然脇から井上君が現れた。
「その時は俺も! も当然行きますからねっ!」
「チッ!」
何と太田先輩が舌打ちした。
「し、舌打ち……今、舌打しましたねっ!? 可愛い後輩に向かって!」
井上君が大声で喚く。
「うるさい、俺の可愛い後輩は加藤さんだけだ」
太田先輩がうるさそうに言う。
「ひ、ひどい。差別だっ! 男女差別だっ!」
その後も井上君と太田先輩は互いに何やら言い合いをしながら代理店へと向かって歩き、私はそんな2人の様子を背後から見ていた。
ところで今何時だろう……何気なくスマホに手を伸ばし、そして電話を掛けなければいけない事を思い出した。
「あの、すみせん、私、電話を掛けたいところがあるのでお先に帰っていただいて貰えますか?」
「え? 男か?」
何故か太田先輩が素早く反応する。
「先輩!プライバシーの侵害ですっ! それで加藤さん。本当のところ、どうなの?」
「そうじゃないですよ。ちょっと予約の電話を入れるだけですから。それじゃ、失礼します」
なるべく詳しい話は避けたかったから、頭を下げると私はすぐに立ちさり、路地裏に入るとスマホをタップした――
****
19時――
「ふう……今日も疲れたな……」
トボトボと家路に着いていた私は溜息を洩らした。病院の予約は3日後、もう代理店には3日後にお休みさせて頂く事にした。
「それにしても先生の話って何だろう? お姉ちゃんの病状が良くないのかなぁ……?」
1人事を呟きながら歩いていると、マンションが見えて来た。
マンションに到着し、郵便受けをチェックすると何通かのダイレクトメールと……。
「え? 手紙?」
真っ白な封筒が入っていた。
「?」
ひっくり返しても私の名前だけで宛名がない。
「何だろう……?」
とりあえず手紙を持って部屋に戻ると、すぐにヒーターのリモコンを付けた。
「う~寒い。早く温まらないかな~」
まだ寒くてダウンコートが脱げないので、そのまま洗面所に手を洗いに行って、冷蔵庫を開けてタッパーに入った昨日の残りのおでんを出した。
その時――
トゥルルルルル……
トゥルルルルル……
スマホに着信が入って来た。多分亮平からだろうな……。スマホをタップするとやはり相手は亮平からだった。
「もしもし?」
『鈴音、病院に電話入れたか?』
開口一番亮平が口にしたのはやっぱり病院に予約の電話についてだった。
「うん、いれたよ」
『それで? いつになったんだ?』
「3日後に決まったよ」
『そうか……3日後か。あ、ところで昨日の電話の件だけど鈴音は行くのか? 剣道部の同窓会?』
「うん、行くつもり。久しぶりに皆と会うの楽しみだし」
『そっか……分かった。それじゃあな』
それだけ言うと電話はすぐに切れてしまった。全く……あっさりしてるな……。
「まあいいや。ご飯食べよう」
タッパーの中身のおでんを片手鍋に開けて、火をつけた。
「そうだ、はんぺんがまだ残っていたから加えよう」
四つ切にしたはんぺんを鍋に投入して、郵便ポストに入っていた宛先人不明の封筒を挟みで切ると、中には四つ折りに畳んである手紙が入っていた。
「誰からだろう……?」
中を広げて見た。
『チョコレートありがとう。とても美味しかった。 川口』
手紙にはそれだけが書かれていた――
お店を出て、歩き始めてすぐに太田先輩にお礼を述べた。
「そうかそうか、そんなにうまかったか?」
「はい、とっても」
あの時の味を思い出し、つい笑みがこぼれる。
「よし、そんなに気に入ったならまた2人で一緒に来よう!」
太田先輩が言うと、突然脇から井上君が現れた。
「その時は俺も! も当然行きますからねっ!」
「チッ!」
何と太田先輩が舌打ちした。
「し、舌打ち……今、舌打しましたねっ!? 可愛い後輩に向かって!」
井上君が大声で喚く。
「うるさい、俺の可愛い後輩は加藤さんだけだ」
太田先輩がうるさそうに言う。
「ひ、ひどい。差別だっ! 男女差別だっ!」
その後も井上君と太田先輩は互いに何やら言い合いをしながら代理店へと向かって歩き、私はそんな2人の様子を背後から見ていた。
ところで今何時だろう……何気なくスマホに手を伸ばし、そして電話を掛けなければいけない事を思い出した。
「あの、すみせん、私、電話を掛けたいところがあるのでお先に帰っていただいて貰えますか?」
「え? 男か?」
何故か太田先輩が素早く反応する。
「先輩!プライバシーの侵害ですっ! それで加藤さん。本当のところ、どうなの?」
「そうじゃないですよ。ちょっと予約の電話を入れるだけですから。それじゃ、失礼します」
なるべく詳しい話は避けたかったから、頭を下げると私はすぐに立ちさり、路地裏に入るとスマホをタップした――
****
19時――
「ふう……今日も疲れたな……」
トボトボと家路に着いていた私は溜息を洩らした。病院の予約は3日後、もう代理店には3日後にお休みさせて頂く事にした。
「それにしても先生の話って何だろう? お姉ちゃんの病状が良くないのかなぁ……?」
1人事を呟きながら歩いていると、マンションが見えて来た。
マンションに到着し、郵便受けをチェックすると何通かのダイレクトメールと……。
「え? 手紙?」
真っ白な封筒が入っていた。
「?」
ひっくり返しても私の名前だけで宛名がない。
「何だろう……?」
とりあえず手紙を持って部屋に戻ると、すぐにヒーターのリモコンを付けた。
「う~寒い。早く温まらないかな~」
まだ寒くてダウンコートが脱げないので、そのまま洗面所に手を洗いに行って、冷蔵庫を開けてタッパーに入った昨日の残りのおでんを出した。
その時――
トゥルルルルル……
トゥルルルルル……
スマホに着信が入って来た。多分亮平からだろうな……。スマホをタップするとやはり相手は亮平からだった。
「もしもし?」
『鈴音、病院に電話入れたか?』
開口一番亮平が口にしたのはやっぱり病院に予約の電話についてだった。
「うん、いれたよ」
『それで? いつになったんだ?』
「3日後に決まったよ」
『そうか……3日後か。あ、ところで昨日の電話の件だけど鈴音は行くのか? 剣道部の同窓会?』
「うん、行くつもり。久しぶりに皆と会うの楽しみだし」
『そっか……分かった。それじゃあな』
それだけ言うと電話はすぐに切れてしまった。全く……あっさりしてるな……。
「まあいいや。ご飯食べよう」
タッパーの中身のおでんを片手鍋に開けて、火をつけた。
「そうだ、はんぺんがまだ残っていたから加えよう」
四つ切にしたはんぺんを鍋に投入して、郵便ポストに入っていた宛先人不明の封筒を挟みで切ると、中には四つ折りに畳んである手紙が入っていた。
「誰からだろう……?」
中を広げて見た。
『チョコレートありがとう。とても美味しかった。 川口』
手紙にはそれだけが書かれていた――