本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第12章 4 姉との再会、そして―
同窓会当日――
マンションで出掛ける準備をしていた私のスマホに突然着信が入ってきた。
「誰だろう?」
スマホを見て驚いた。それはお姉ちゃんが入院している病院からだった。慌ててスマホをタップして電話に出た。
「はい、もしもし?」
すると受話器越しから切羽詰まった女性の声が聞こえてきた。
『あの、もしもし? 加藤鈴音さんですか?』
「はい、そうです。どうかしましたか?」
『申し訳ございませんっ! こちらが少し目を離したすきに忍さんがいなくなってしまったんですっ!』
「え?」
全身から血の気が引くのを感じた。
『今、必死で病院内を探しているのですが……忍さんの上着も靴も携帯にバックも無くなっているのでひょっとしたら外に出てしまった可能性があります。申し訳ございませんが、一緒に探すのをご協力くださいっ!」
「わ、分りました……」
声を震わせながら何とか答え、電話を切るとすぐに着信が入って来た。それは亮平からだった。
「もしもし!?」
電話に出ると亮平の声が聞こえてきた。
『鈴音、聞いたかっ!? 忍がいなくなったって話!』
「う、うん……聞いた……」
『ひょっとすると忍は家に向かったかもしれない。ずっと自分の日記帳を気にしていたから……』
「日記帳……。ど、どうしよう!」
日記帳は笠井先生が預かっている。仮にお姉ちゃんが家に帰ってきたとして…日記帳が無いことがバレたら真っ先に疑われるのは当然私だ。
「わ、私……すぐにそっちに向かうっ!」
『ああ。俺は外で忍が帰って来ないか見張っているから!』
そして私は大急ぎで出掛ける準備をすると、駅に向かって走り出した――
****
揺れる車内の中、私は唯ちゃんにメールを打った。急用で同窓会に出る事が出来なくなった事と謝罪の言葉を送信すると窓の外を見た。さっきまではとてもきれいな青空が見えていたのにいつの間にか空は灰色に曇り、今にも雨が降り出しそうな空になっていた。亮平からは未だに連絡が来ない。と言う事はお姉ちゃんは家には帰って来ていないと言う事だ。病院からもあれから音沙汰が無いし。
私は今日ほど連絡が入って来ないと言う事がどれ程恐ろしい事か、今身をもって感じていた。
お姉ちゃん……今、一体どこにいるの……?
するとその時――
メールの着信音が入って来た。それは亮平からだった。
< 忍から今千駄ヶ谷駅にいると電話が入った。すぐに駅へ向かう >
「お姉ちゃん……」
私はスマホをギュッと握りしめた。正直に言うと、今はまだお姉ちゃんに会うのは怖い。だけど、いつまでもそんな事を言ってはいられない!
「次は千駄ヶ谷~千駄ヶ谷……」
車内にアナウンスが響き渡り、やがて電車が止まった。
私は立ち上がると電車を降りて、改札を目指した――
改札を出たもののお姉ちゃんが駅の何所にいるのかさっぱり見当がつかない。キョロキョロしていると不意に遠くから呼ぶ声が聞こえた。
「鈴音っ!」
見ると亮平がタクシー乗り場の近くで手を振っている。
「亮平っ!」
駆け寄ると、亮平も走ってやって来た。
「ねぇっ!? お姉ちゃん見つかったの!?」
「いや、まだなんだ……一体何所へ行ったのか……」
亮平は余程探し回ったみたいで息を切らしている。
「とにかく手分けして探そう!」
「うんっ!」
その時、突然私のスマホが鳴った。
え? 誰? こんな時に。
スマホを手に取り、驚いた。その電話はお姉ちゃんからだった。
震える手でスマホをタップし、電話に出た。
「も……もしもし……」
『鈴音ちゃん……』
それはゾクリとするほど怖い声だった。
『そうやって貴女は何でも私から奪っていくのね……』
「え……? な、何を……?」
『折角貴女から亮平君を奪えたと思っていたのに……今もそうやって一緒にいるなんて……』
え? もしかして私の事見えてるの?
私は何気なく交差点に目を向けた時……そこにじっとこちらを見つめて立っているお姉ちゃんの姿が目に入った。
「お……お姉ちゃん!?」
私はお姉ちゃんに向かって駆けだした。
「どうした? 鈴音っ!」
後を追って来る亮平。お姉ちゃんは私を見ると笑みを浮かべる。
「お姉ちゃんっ!」
直ぐ眼前にお姉ちゃんが迫っている。すると何を思ったかお姉ちゃんは信号が赤にも関わらず横断歩道を渡り始めた。途端にそこにいた人々がざわめく。
そこへスピードを上げて走る1台の車が走って来た。
「危ないっ! お姉ちゃんっ!」
私はお姉ちゃんの手を引き、歩道へ引き寄せた時……お姉ちゃんは自分の意志で後ろに下がった。
え……?
勢いがついていた私は思わず前のめりに転倒してしまった。慌てて立ち上がると、そこへ急ブレーキの音と共に目の前に車が迫っているのが目に入り……。
ドンッ!!
身体に激しい衝撃が走り、気付けば私は道路に倒れていた。
お、お姉……ちゃ……。
体中から生暖かい血が流れていくのを感じながら私の意識は闇に落ちた――
マンションで出掛ける準備をしていた私のスマホに突然着信が入ってきた。
「誰だろう?」
スマホを見て驚いた。それはお姉ちゃんが入院している病院からだった。慌ててスマホをタップして電話に出た。
「はい、もしもし?」
すると受話器越しから切羽詰まった女性の声が聞こえてきた。
『あの、もしもし? 加藤鈴音さんですか?』
「はい、そうです。どうかしましたか?」
『申し訳ございませんっ! こちらが少し目を離したすきに忍さんがいなくなってしまったんですっ!』
「え?」
全身から血の気が引くのを感じた。
『今、必死で病院内を探しているのですが……忍さんの上着も靴も携帯にバックも無くなっているのでひょっとしたら外に出てしまった可能性があります。申し訳ございませんが、一緒に探すのをご協力くださいっ!」
「わ、分りました……」
声を震わせながら何とか答え、電話を切るとすぐに着信が入って来た。それは亮平からだった。
「もしもし!?」
電話に出ると亮平の声が聞こえてきた。
『鈴音、聞いたかっ!? 忍がいなくなったって話!』
「う、うん……聞いた……」
『ひょっとすると忍は家に向かったかもしれない。ずっと自分の日記帳を気にしていたから……』
「日記帳……。ど、どうしよう!」
日記帳は笠井先生が預かっている。仮にお姉ちゃんが家に帰ってきたとして…日記帳が無いことがバレたら真っ先に疑われるのは当然私だ。
「わ、私……すぐにそっちに向かうっ!」
『ああ。俺は外で忍が帰って来ないか見張っているから!』
そして私は大急ぎで出掛ける準備をすると、駅に向かって走り出した――
****
揺れる車内の中、私は唯ちゃんにメールを打った。急用で同窓会に出る事が出来なくなった事と謝罪の言葉を送信すると窓の外を見た。さっきまではとてもきれいな青空が見えていたのにいつの間にか空は灰色に曇り、今にも雨が降り出しそうな空になっていた。亮平からは未だに連絡が来ない。と言う事はお姉ちゃんは家には帰って来ていないと言う事だ。病院からもあれから音沙汰が無いし。
私は今日ほど連絡が入って来ないと言う事がどれ程恐ろしい事か、今身をもって感じていた。
お姉ちゃん……今、一体どこにいるの……?
するとその時――
メールの着信音が入って来た。それは亮平からだった。
< 忍から今千駄ヶ谷駅にいると電話が入った。すぐに駅へ向かう >
「お姉ちゃん……」
私はスマホをギュッと握りしめた。正直に言うと、今はまだお姉ちゃんに会うのは怖い。だけど、いつまでもそんな事を言ってはいられない!
「次は千駄ヶ谷~千駄ヶ谷……」
車内にアナウンスが響き渡り、やがて電車が止まった。
私は立ち上がると電車を降りて、改札を目指した――
改札を出たもののお姉ちゃんが駅の何所にいるのかさっぱり見当がつかない。キョロキョロしていると不意に遠くから呼ぶ声が聞こえた。
「鈴音っ!」
見ると亮平がタクシー乗り場の近くで手を振っている。
「亮平っ!」
駆け寄ると、亮平も走ってやって来た。
「ねぇっ!? お姉ちゃん見つかったの!?」
「いや、まだなんだ……一体何所へ行ったのか……」
亮平は余程探し回ったみたいで息を切らしている。
「とにかく手分けして探そう!」
「うんっ!」
その時、突然私のスマホが鳴った。
え? 誰? こんな時に。
スマホを手に取り、驚いた。その電話はお姉ちゃんからだった。
震える手でスマホをタップし、電話に出た。
「も……もしもし……」
『鈴音ちゃん……』
それはゾクリとするほど怖い声だった。
『そうやって貴女は何でも私から奪っていくのね……』
「え……? な、何を……?」
『折角貴女から亮平君を奪えたと思っていたのに……今もそうやって一緒にいるなんて……』
え? もしかして私の事見えてるの?
私は何気なく交差点に目を向けた時……そこにじっとこちらを見つめて立っているお姉ちゃんの姿が目に入った。
「お……お姉ちゃん!?」
私はお姉ちゃんに向かって駆けだした。
「どうした? 鈴音っ!」
後を追って来る亮平。お姉ちゃんは私を見ると笑みを浮かべる。
「お姉ちゃんっ!」
直ぐ眼前にお姉ちゃんが迫っている。すると何を思ったかお姉ちゃんは信号が赤にも関わらず横断歩道を渡り始めた。途端にそこにいた人々がざわめく。
そこへスピードを上げて走る1台の車が走って来た。
「危ないっ! お姉ちゃんっ!」
私はお姉ちゃんの手を引き、歩道へ引き寄せた時……お姉ちゃんは自分の意志で後ろに下がった。
え……?
勢いがついていた私は思わず前のめりに転倒してしまった。慌てて立ち上がると、そこへ急ブレーキの音と共に目の前に車が迫っているのが目に入り……。
ドンッ!!
身体に激しい衝撃が走り、気付けば私は道路に倒れていた。
お、お姉……ちゃ……。
体中から生暖かい血が流れていくのを感じながら私の意識は闇に落ちた――