本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第12章 9 亮平のお見舞い
あの後――
ひとしきり泣いた亮平は今は落ち着いた様子で私の枕元に椅子を持ってきて座り、私をじっと見つめている。
どうしてこんなに真剣な目で私を見ているんだろう? きっと私の今の顔は痩せこけて酷い事になっているはずだから出来れば顔を見られたくないのだけど……。
「りょ……亮平……」
ベッドに横たわったままの状態で声をかけた。
「うん? 何だ?」
亮平はまだ赤い目をしていたけど、優しい声で返事をした。
「こ、ここは……どこの……病院……なの……?」
「代々木記念総合病院だよ」
「え……? それじゃお姉ちゃんと同じ……?」
「あ、ああ……。鈴音が今いるのは7階の……整形外科病棟なんだ……」
「そう……お姉ちゃんは……まだ入院してるんだよね?」
「ああ、そうだ」
「今……何時……?」
「うん。10時半だ」
「10時半……」
そんな朝早い時間から亮平はわざわざ病院にやってきたんだ……。
「ねえ……亮平……。わ、私はもう大丈夫だから……お姉ちゃんの処へ行ってあげ……て……」
何とか声を振りしぼった。すると亮平の顔色が変わった
「何言ってるんだよ。鈴音、お前はいつ死んでもおかしくない状態で主治医から3か月以内に目を覚まさなければ……もう回復しないかもしれないって言われてたんだぞ? 大丈夫なものかよ……! お前、俺がどれだけ心配していたのか分からないのか?」
亮平はまたしても泣きそうな顔で訴えて来る。その時。
――コンコン
ノックの音が響き渡った。
「はい」
亮平が返事をすると、ガラリと扉が開かれてカートを押した看護師さんが部屋の中に入って来た。そして亮平を見た。
「良かったですね。やっと彼女が目を覚ましてくれて」
「え……? あ、はい……」
亮平は照れ臭そうに私を見る。
「毎日毎日ICUに電話を掛けていましたからね」
「その節はご迷惑をおかけしました……」
「え? ま……毎日……?」
まさか亮平が毎日病院に電話を掛けていたなんて……。
「ICUは家族じゃないと面会出来ないんだ。だから代わりに毎日電話を……」
すると看護師さんは笑った。
「ふふ……病室を変わりましたって電話を入れたらすぐに駆け付けてくるんだもの。よほど大切な彼女なのだと思いましたよ」
亮平は照れ臭そうに黙っている。
まただ……。この看護師さん……私の事亮平の彼女だと思っている。私たちはそんな関係じゃないのに……。
「それじゃ、熱を測りますね」
その後、看護師さんは私のバイタルチェックをしてパソコンに打ち込んでいく。その間、亮平は部屋の隅に立ってじっとその様子を見つめていた。
「それではまた午後に伺いますね」
最後に点滴のチェックをすると、看護師さんは部屋を出て行った。
「どうだ? 疲れていないか?」
看護師さんが部屋を出て行くと、すぐに亮平が傍に来て再び椅子に座った。
「だい……じょうぶ……。だけど……」
「ん?」
「あの……看護師さん……完全に誤解しているみたいだね……」
「誤解? 何を?」
「私の事……亮平の彼女だと思っているみたいだよ……? そんなんじゃないのに……」
「鈴音……」
何故か辛そうに亮平は顔を歪める。ああ……やっぱり亮平も勘違いされているのが嫌なんだ。
「だ、大丈夫……私の方から……後で話しておくから……。私と亮平はただの幼馴染だって事……」
「べ、別にそんな事わざわざ言うまでもないだろう?」
「ううん、駄目だよ……だってお姉ちゃん……まだこの病院に入院しているんだし……」
亮平は無言で私の話を聞いている。
「亮平は……お姉ちゃんの恋人なんだから……早くお姉ちゃんの処へ行ってあげて……」
すると亮平は私をじっと見つめた。
「鈴音……お前は、俺の事……」
「?」
訳が分からず亮平を見た。すると亮平は溜息をつくと立ちあがった。
「分かった……忍の処へ行って来る……」
「うん。もう今日はここへ来なくて大丈夫だから……ね……」
亮平は一瞬悲し気な顔を見せて笑った。
「ああ、分かったよ」
と――
ひとしきり泣いた亮平は今は落ち着いた様子で私の枕元に椅子を持ってきて座り、私をじっと見つめている。
どうしてこんなに真剣な目で私を見ているんだろう? きっと私の今の顔は痩せこけて酷い事になっているはずだから出来れば顔を見られたくないのだけど……。
「りょ……亮平……」
ベッドに横たわったままの状態で声をかけた。
「うん? 何だ?」
亮平はまだ赤い目をしていたけど、優しい声で返事をした。
「こ、ここは……どこの……病院……なの……?」
「代々木記念総合病院だよ」
「え……? それじゃお姉ちゃんと同じ……?」
「あ、ああ……。鈴音が今いるのは7階の……整形外科病棟なんだ……」
「そう……お姉ちゃんは……まだ入院してるんだよね?」
「ああ、そうだ」
「今……何時……?」
「うん。10時半だ」
「10時半……」
そんな朝早い時間から亮平はわざわざ病院にやってきたんだ……。
「ねえ……亮平……。わ、私はもう大丈夫だから……お姉ちゃんの処へ行ってあげ……て……」
何とか声を振りしぼった。すると亮平の顔色が変わった
「何言ってるんだよ。鈴音、お前はいつ死んでもおかしくない状態で主治医から3か月以内に目を覚まさなければ……もう回復しないかもしれないって言われてたんだぞ? 大丈夫なものかよ……! お前、俺がどれだけ心配していたのか分からないのか?」
亮平はまたしても泣きそうな顔で訴えて来る。その時。
――コンコン
ノックの音が響き渡った。
「はい」
亮平が返事をすると、ガラリと扉が開かれてカートを押した看護師さんが部屋の中に入って来た。そして亮平を見た。
「良かったですね。やっと彼女が目を覚ましてくれて」
「え……? あ、はい……」
亮平は照れ臭そうに私を見る。
「毎日毎日ICUに電話を掛けていましたからね」
「その節はご迷惑をおかけしました……」
「え? ま……毎日……?」
まさか亮平が毎日病院に電話を掛けていたなんて……。
「ICUは家族じゃないと面会出来ないんだ。だから代わりに毎日電話を……」
すると看護師さんは笑った。
「ふふ……病室を変わりましたって電話を入れたらすぐに駆け付けてくるんだもの。よほど大切な彼女なのだと思いましたよ」
亮平は照れ臭そうに黙っている。
まただ……。この看護師さん……私の事亮平の彼女だと思っている。私たちはそんな関係じゃないのに……。
「それじゃ、熱を測りますね」
その後、看護師さんは私のバイタルチェックをしてパソコンに打ち込んでいく。その間、亮平は部屋の隅に立ってじっとその様子を見つめていた。
「それではまた午後に伺いますね」
最後に点滴のチェックをすると、看護師さんは部屋を出て行った。
「どうだ? 疲れていないか?」
看護師さんが部屋を出て行くと、すぐに亮平が傍に来て再び椅子に座った。
「だい……じょうぶ……。だけど……」
「ん?」
「あの……看護師さん……完全に誤解しているみたいだね……」
「誤解? 何を?」
「私の事……亮平の彼女だと思っているみたいだよ……? そんなんじゃないのに……」
「鈴音……」
何故か辛そうに亮平は顔を歪める。ああ……やっぱり亮平も勘違いされているのが嫌なんだ。
「だ、大丈夫……私の方から……後で話しておくから……。私と亮平はただの幼馴染だって事……」
「べ、別にそんな事わざわざ言うまでもないだろう?」
「ううん、駄目だよ……だってお姉ちゃん……まだこの病院に入院しているんだし……」
亮平は無言で私の話を聞いている。
「亮平は……お姉ちゃんの恋人なんだから……早くお姉ちゃんの処へ行ってあげて……」
すると亮平は私をじっと見つめた。
「鈴音……お前は、俺の事……」
「?」
訳が分からず亮平を見た。すると亮平は溜息をつくと立ちあがった。
「分かった……忍の処へ行って来る……」
「うん。もう今日はここへ来なくて大丈夫だから……ね……」
亮平は一瞬悲し気な顔を見せて笑った。
「ああ、分かったよ」
と――