本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第12章 11 姉の話
「……さん、加藤さん」
……誰かが呼びかけて来る声が聞こえる……。
「ん……?」
ぼんやりと目を開けると私を見下ろしている白衣の男の先生が立っていた。
「あ……先生……」
主治医の田中先生だった。
「お休みの処、すみません。回診の時間ですよ」
「あ……い、いえ。こちらこそ眠ってしまっていてすみません……」
「看護師に聞いたのですが、よくウトウトしていつの間にか眠くなってしまうそうですね?」
「はい……そうなんです……。今も眠ってしまっていて……」
おじさんとおばさんじは30分程で帰って行った。あまり長居して私を疲れさせてはいけないとの配慮からだった。その後ぼんやりしていたら、いつの間にか眠っていて……。
「恐らく事故の後遺症ですね。幸い加藤さんは事故の時頭を強打することは無かったのですが、来週MRIを撮ってみましょう。他に何か気になる事はありますか?」
その後、30分程先生の回診は続いた――
午後7時――
看護師さんがつけてくれたテレビを見ていた私はリモコンを握り締めてみた。
「あ……持てる……」
今迄自分で手を動かすことは殆ど無かったけれども、自分で持つことが出来た。これからは起きている間は少しずつ自分で出来る範囲でリハビリをしていかなくちゃ。そこであることに気が付いた。
「そう言えば私のアパート。どうなっているんだろう……?」
家賃は自動引き落としだからいいけども、家主のいない部屋でガスや水道料金が引き落とされるのは少々辛い。仕事だってどうなっているか分からないし……。
「私……社会復帰できるのかな……?」
そこまで考えていると、再び強い眠気が襲ってきて……私はまた眠りに就き、朝まで目が覚める事は無かった……。
翌朝――
「う~ん……」
目が覚めて、まだ伸びが出来ない代わりにうなると、突然声が聞こえてきた。
「鈴音っ!?起きたのかっ!?」
え……?
驚いて視線を動かすと、そこに私の足元に立って心配そうに見下ろしている亮平の姿があった。
「りょ……亮平……? な、何でここに……?」
そして視線をぐるりと動かして壁に掛けてある時計を見ると時間は10時をさしている。
「ああ。今日も日曜で仕事が休みだから、鈴音の見舞いに来たんだよ」
亮平は枕元に椅子を持ってくると座った。
「み、見舞いにって……こんな朝早くから……」
「土日は朝10時から面会できるから問題は無いぞ?」
「そ、そうじゃなくて……何も毎日面会に来る必要はないよ? 亮平だって忙しいだろうし」
そこまで言いかけて、気が付いた。
「ああ、そう言えばお姉ちゃんの面会には行ってきたの……?」
「行ってきたよ……」
私が尋ねると亮平はバツが悪そうに視線をそらせた。
「そう……。それでどうだった?」
「何が?」
「何がって……お姉ちゃんの様子だよ?」
すると亮平は戸惑ったように尋ねてきた。
「鈴音。お前、忍の事話して……平気なのか……?」
「平気って……何が?」
「ほんとは薄々気が付いているんじゃないのか……? あの交通事故の時の出来事……」
「……」
私は天井を見つめた。
「お姉ちゃん……多重人格者だったんでしょう?」
亮平の息を飲む気配を感じ……その後、重々しく口を開いた。
「ああ、そうなんだ……。あの時鈴音を事故に巻き込んだ忍は……ずっと今まで表に出ていた……鈴音を憎む忍だったんだ……」
亮平は観念したかのように話し始めた――
……誰かが呼びかけて来る声が聞こえる……。
「ん……?」
ぼんやりと目を開けると私を見下ろしている白衣の男の先生が立っていた。
「あ……先生……」
主治医の田中先生だった。
「お休みの処、すみません。回診の時間ですよ」
「あ……い、いえ。こちらこそ眠ってしまっていてすみません……」
「看護師に聞いたのですが、よくウトウトしていつの間にか眠くなってしまうそうですね?」
「はい……そうなんです……。今も眠ってしまっていて……」
おじさんとおばさんじは30分程で帰って行った。あまり長居して私を疲れさせてはいけないとの配慮からだった。その後ぼんやりしていたら、いつの間にか眠っていて……。
「恐らく事故の後遺症ですね。幸い加藤さんは事故の時頭を強打することは無かったのですが、来週MRIを撮ってみましょう。他に何か気になる事はありますか?」
その後、30分程先生の回診は続いた――
午後7時――
看護師さんがつけてくれたテレビを見ていた私はリモコンを握り締めてみた。
「あ……持てる……」
今迄自分で手を動かすことは殆ど無かったけれども、自分で持つことが出来た。これからは起きている間は少しずつ自分で出来る範囲でリハビリをしていかなくちゃ。そこであることに気が付いた。
「そう言えば私のアパート。どうなっているんだろう……?」
家賃は自動引き落としだからいいけども、家主のいない部屋でガスや水道料金が引き落とされるのは少々辛い。仕事だってどうなっているか分からないし……。
「私……社会復帰できるのかな……?」
そこまで考えていると、再び強い眠気が襲ってきて……私はまた眠りに就き、朝まで目が覚める事は無かった……。
翌朝――
「う~ん……」
目が覚めて、まだ伸びが出来ない代わりにうなると、突然声が聞こえてきた。
「鈴音っ!?起きたのかっ!?」
え……?
驚いて視線を動かすと、そこに私の足元に立って心配そうに見下ろしている亮平の姿があった。
「りょ……亮平……? な、何でここに……?」
そして視線をぐるりと動かして壁に掛けてある時計を見ると時間は10時をさしている。
「ああ。今日も日曜で仕事が休みだから、鈴音の見舞いに来たんだよ」
亮平は枕元に椅子を持ってくると座った。
「み、見舞いにって……こんな朝早くから……」
「土日は朝10時から面会できるから問題は無いぞ?」
「そ、そうじゃなくて……何も毎日面会に来る必要はないよ? 亮平だって忙しいだろうし」
そこまで言いかけて、気が付いた。
「ああ、そう言えばお姉ちゃんの面会には行ってきたの……?」
「行ってきたよ……」
私が尋ねると亮平はバツが悪そうに視線をそらせた。
「そう……。それでどうだった?」
「何が?」
「何がって……お姉ちゃんの様子だよ?」
すると亮平は戸惑ったように尋ねてきた。
「鈴音。お前、忍の事話して……平気なのか……?」
「平気って……何が?」
「ほんとは薄々気が付いているんじゃないのか……? あの交通事故の時の出来事……」
「……」
私は天井を見つめた。
「お姉ちゃん……多重人格者だったんでしょう?」
亮平の息を飲む気配を感じ……その後、重々しく口を開いた。
「ああ、そうなんだ……。あの時鈴音を事故に巻き込んだ忍は……ずっと今まで表に出ていた……鈴音を憎む忍だったんだ……」
亮平は観念したかのように話し始めた――