本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第12章 12 亮平の涙
「あの日……お前が事故に遭った直後、血まみれになったお前を見て忍……突然悲鳴を上げて、お前にしがみついて泣き叫び始めたんだよ。もう周りは騒然となって俺は救急車を呼ぶのに必死で……ちょうど駅前だったって事もあって鈴音を轢いた車はその場で現行犯逮捕されたよ。今は交通刑務所に入っている」
「そ、そうなの……?」
何だか私は自分を轢いた車の運転手に何となく申し訳ない気がしてしまった。だって……轢かれたのはお姉ちゃんを助けようとして、へまをしてしまった自分のせいでは無いかと思っていたからだ。
「まあ……今は交通事故の加害者の話なんか聞きたくは無いだろうからこの話は後でまたしよう。それで、忍の話の続きだけど、とにかく救急車が来ても忍は狂ったように泣き叫んで鈴音から離れようとしなかったんだそれで鎮静剤を与えたら大人しくなったんだけど……」
「……」
私は亮平の次の言葉を待った。
「それで忍は鈴音と一緒に救急車に乗って俺はタクシーで急いで病院に向かったんだよ。病院に運ばれた後、鈴音はすぐに手術室に運ばれて何時間も手術を受けたんだけど、その時忍が言ったらしい。自分の中にはもう1人の自分がいて、それが鈴音を殺そうとしていたって。だからもう二度と自分の中に現れないようにして欲しいと訴えてきたらしい」
「……!」
お姉ちゃん……自分が多重人格者だって自覚あったんだ……。
「それで精神鑑定してみたら忍が解離性同一性障害だって事が分かったんだ。本来の人格の忍が、お前を憎む忍の人格に支配されていたらしい」
「そう……だったんだ……」
「鈴音……あんまり驚かないんだな?」
「うん……だってあんなに優しかったお姉ちゃんが……急におかしくなったから何か変だなって思ったし、それに……」
夢の中に現れたお父さんとお母さんがお姉ちゃんを許してやって欲しいって言ってたから……。あれって今のお姉ちゃんは本物じゃないからって事だったのかもしれない。
「それに……?」
「ううん。何でもない……。私、疲れたから少し休むね……」
また眠くなってきたので目を閉じた。私が寝れば亮平も帰るだろうし……。
「分かった。俺に構わず休め。付き添っているから」
え……? その言葉に一旦閉じかけていた目を開けた。
「ね、ねえ……ひょっとして私が寝ている間もここにいるつもりなの……?」
「勿論そのつもりだけど?」
「え……そ、そんな事しなくていいってば……。もう私に付き添うことは無いよ」
「何言ってるんだよ。お前の事が心配だから付き添うんだろう?」
亮平は真剣な顔で私を見つめる。……お願いだからそんな態度取らないで欲しい。思わず勘違いしそうになってしまうから。亮平は私の事を好きなのではないかと……。そんな事、絶対にありえっこないのに。だって、亮平の恋人はお姉ちゃんなのだから……。
「私の事は……いいから……亮平はお姉ちゃんの処に行ってあげてよ……。お姉ちゃんだって大変なんじゃないの……?」
「だけど……不安なんだよっ! お前の傍にいないと……っ!」
突然亮平が声を荒げた。
「りょ……亮平……?」
突然の声に驚いてしまった。すると亮平はすぐに我に返り、謝ってきた。
「ご、ごめん……っ! 大きな声出して……」
「う……ううん。別に大丈夫だけど……でも……一体何が不安なの?」
亮平の気持ちが分からない。
「だって……お前、昏睡状態から目覚めたって言うのに……ウトウトしている時間が多いから……また眠りに就いて……それでもし二度と目覚めなかったらって思うと……っ! お前がもし、死んでしまったら……お、俺は……」
涙交じりに言う亮平の言葉の最後は……聞きとれなかった――
「そ、そうなの……?」
何だか私は自分を轢いた車の運転手に何となく申し訳ない気がしてしまった。だって……轢かれたのはお姉ちゃんを助けようとして、へまをしてしまった自分のせいでは無いかと思っていたからだ。
「まあ……今は交通事故の加害者の話なんか聞きたくは無いだろうからこの話は後でまたしよう。それで、忍の話の続きだけど、とにかく救急車が来ても忍は狂ったように泣き叫んで鈴音から離れようとしなかったんだそれで鎮静剤を与えたら大人しくなったんだけど……」
「……」
私は亮平の次の言葉を待った。
「それで忍は鈴音と一緒に救急車に乗って俺はタクシーで急いで病院に向かったんだよ。病院に運ばれた後、鈴音はすぐに手術室に運ばれて何時間も手術を受けたんだけど、その時忍が言ったらしい。自分の中にはもう1人の自分がいて、それが鈴音を殺そうとしていたって。だからもう二度と自分の中に現れないようにして欲しいと訴えてきたらしい」
「……!」
お姉ちゃん……自分が多重人格者だって自覚あったんだ……。
「それで精神鑑定してみたら忍が解離性同一性障害だって事が分かったんだ。本来の人格の忍が、お前を憎む忍の人格に支配されていたらしい」
「そう……だったんだ……」
「鈴音……あんまり驚かないんだな?」
「うん……だってあんなに優しかったお姉ちゃんが……急におかしくなったから何か変だなって思ったし、それに……」
夢の中に現れたお父さんとお母さんがお姉ちゃんを許してやって欲しいって言ってたから……。あれって今のお姉ちゃんは本物じゃないからって事だったのかもしれない。
「それに……?」
「ううん。何でもない……。私、疲れたから少し休むね……」
また眠くなってきたので目を閉じた。私が寝れば亮平も帰るだろうし……。
「分かった。俺に構わず休め。付き添っているから」
え……? その言葉に一旦閉じかけていた目を開けた。
「ね、ねえ……ひょっとして私が寝ている間もここにいるつもりなの……?」
「勿論そのつもりだけど?」
「え……そ、そんな事しなくていいってば……。もう私に付き添うことは無いよ」
「何言ってるんだよ。お前の事が心配だから付き添うんだろう?」
亮平は真剣な顔で私を見つめる。……お願いだからそんな態度取らないで欲しい。思わず勘違いしそうになってしまうから。亮平は私の事を好きなのではないかと……。そんな事、絶対にありえっこないのに。だって、亮平の恋人はお姉ちゃんなのだから……。
「私の事は……いいから……亮平はお姉ちゃんの処に行ってあげてよ……。お姉ちゃんだって大変なんじゃないの……?」
「だけど……不安なんだよっ! お前の傍にいないと……っ!」
突然亮平が声を荒げた。
「りょ……亮平……?」
突然の声に驚いてしまった。すると亮平はすぐに我に返り、謝ってきた。
「ご、ごめん……っ! 大きな声出して……」
「う……ううん。別に大丈夫だけど……でも……一体何が不安なの?」
亮平の気持ちが分からない。
「だって……お前、昏睡状態から目覚めたって言うのに……ウトウトしている時間が多いから……また眠りに就いて……それでもし二度と目覚めなかったらって思うと……っ! お前がもし、死んでしまったら……お、俺は……」
涙交じりに言う亮平の言葉の最後は……聞きとれなかった――