本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第13章 3 突然の抱擁
ピンポーン
ピンポーン
「ん……?」
何だかインターホンが鳴っている気がする……。続いて……。
ドンドンドンドン……ッ!
激しくドアが叩かれる音が聞こえてきた。
「えっ!?」
そこで私は初めて意識が覚醒し、ガバッと起き上がり驚いた。いつの間に夜になっていたのだろう。部屋の中は真っ暗で、分厚いカーテンも閉めない部屋は窓が全開になっている。
「そ、そんな嘘っ!」
相変わらずドアのインターホンはなり続けていた。
「だ、誰だろう……?」
慌てて起き上がり、壁についているスイッチで明かりをつけると玄関へ向かった。ドキドキしながらドアアイを覗き込み、驚いてしまった。だってそこに立っていたのは川口さんだったから。
「え……? 川口さん……?」
すぐに鍵を開けてドアを開けると、そこには引っ越し業者のユニフォームを着た川口さんが息を切らせながら立っていた。
「あ……か、加藤さん……」
川口さんは私を穴の開きそうなほど、じっと見つめている。
「ど、どうしたんですか……? 突然……」
今迄一度も私の部屋を訪ねてきたこと等無かった川口さん。それが退院してきた日に突然現れるなんて。
「加藤……さん……」
「え……?」
川口さんの震える手が私に伸びて来た。そして次の瞬間――
「!」
私は川口さんに強く抱きしめられていた。
え? 何……? 一体今どういう状況なの?
突然の出来事に私の頭はパニック状態だった。慌てて川口さんの身体を振り払おうとした時。
「加藤……さん……」
「!」
川口さんの身体が震え、涙声だった事に気が付いた。川口さんは私の頭を強く自分の胸に押し付け、息が止まりそうなほどに強く抱きしめてくる。
「ケ……ケホ……ッ……」
思わず苦しくなって咳き込むと、ハッとしたかのように川口さんは私から離れるとすぐに謝ってきた。
「ご、ごめんっ! 加藤さんっ! つ、つい……」
咳き込んだ後、川口さんを見上げた。
「あ、あの……どうして急にこんな事を……? それに何故突然……?」
川口さんの顔を見た瞬間、驚いた。彼の目には涙が浮かび、目は赤くなっていたからだ。その顔を目にした途端、どうしてもいきなり強く抱擁された事を責める事が出来なくなってしまった。
「川口さん……泣いていたんですか……?」
「ずっと……留守だったはずの加藤さんの部屋の窓が……全開になっていて、布団まで干しっぱなしだったら驚いて……また何かあったんじゃないかと思って心配になって来てしまったんだ……。ごめん……いきなり抱きしめたりして……驚かせてしまったよね?」
川口さんは何故か酷く傷ついた顔で私をじっと見つめてきた。
「た、確かに驚きはしたけど……」
「加藤さん」
「な、何?」
「どうしても……今夜話がしたいんだ。布団とか取り入れなくちゃいけないだろう? マンションの外で待ってるから、用事が済んだら時間作って貰えないかな?」
その声はあまりにも切羽詰まって聞こえた。今にも泣きだしそうな顔の川口さんを見ると、どうしても断ることが出来なかった。
「う、うん……。10分以内には行くから……」
気付けば、つい了承の返事をしてしまっていた。
「良かった……それじゃ、外で待ってる」
川口さんはそれだけ言うと、踵を返して階段の方へ向かって降りて行った。その姿を見届けると私はすっかり冷えてしまった布団と敷布団、シーツやカバー類も取り入れると戸締りをしてカーテンを閉めた。
ショルダーバックに貴重品を淹れて、玄関を出て鍵を掛けた。
カンカンカンカン……
マンションの階段を下りて外に出ると街灯の下でマンションの壁にまるで寄り掛かるように川口さんは立っていた――
ピンポーン
「ん……?」
何だかインターホンが鳴っている気がする……。続いて……。
ドンドンドンドン……ッ!
激しくドアが叩かれる音が聞こえてきた。
「えっ!?」
そこで私は初めて意識が覚醒し、ガバッと起き上がり驚いた。いつの間に夜になっていたのだろう。部屋の中は真っ暗で、分厚いカーテンも閉めない部屋は窓が全開になっている。
「そ、そんな嘘っ!」
相変わらずドアのインターホンはなり続けていた。
「だ、誰だろう……?」
慌てて起き上がり、壁についているスイッチで明かりをつけると玄関へ向かった。ドキドキしながらドアアイを覗き込み、驚いてしまった。だってそこに立っていたのは川口さんだったから。
「え……? 川口さん……?」
すぐに鍵を開けてドアを開けると、そこには引っ越し業者のユニフォームを着た川口さんが息を切らせながら立っていた。
「あ……か、加藤さん……」
川口さんは私を穴の開きそうなほど、じっと見つめている。
「ど、どうしたんですか……? 突然……」
今迄一度も私の部屋を訪ねてきたこと等無かった川口さん。それが退院してきた日に突然現れるなんて。
「加藤……さん……」
「え……?」
川口さんの震える手が私に伸びて来た。そして次の瞬間――
「!」
私は川口さんに強く抱きしめられていた。
え? 何……? 一体今どういう状況なの?
突然の出来事に私の頭はパニック状態だった。慌てて川口さんの身体を振り払おうとした時。
「加藤……さん……」
「!」
川口さんの身体が震え、涙声だった事に気が付いた。川口さんは私の頭を強く自分の胸に押し付け、息が止まりそうなほどに強く抱きしめてくる。
「ケ……ケホ……ッ……」
思わず苦しくなって咳き込むと、ハッとしたかのように川口さんは私から離れるとすぐに謝ってきた。
「ご、ごめんっ! 加藤さんっ! つ、つい……」
咳き込んだ後、川口さんを見上げた。
「あ、あの……どうして急にこんな事を……? それに何故突然……?」
川口さんの顔を見た瞬間、驚いた。彼の目には涙が浮かび、目は赤くなっていたからだ。その顔を目にした途端、どうしてもいきなり強く抱擁された事を責める事が出来なくなってしまった。
「川口さん……泣いていたんですか……?」
「ずっと……留守だったはずの加藤さんの部屋の窓が……全開になっていて、布団まで干しっぱなしだったら驚いて……また何かあったんじゃないかと思って心配になって来てしまったんだ……。ごめん……いきなり抱きしめたりして……驚かせてしまったよね?」
川口さんは何故か酷く傷ついた顔で私をじっと見つめてきた。
「た、確かに驚きはしたけど……」
「加藤さん」
「な、何?」
「どうしても……今夜話がしたいんだ。布団とか取り入れなくちゃいけないだろう? マンションの外で待ってるから、用事が済んだら時間作って貰えないかな?」
その声はあまりにも切羽詰まって聞こえた。今にも泣きだしそうな顔の川口さんを見ると、どうしても断ることが出来なかった。
「う、うん……。10分以内には行くから……」
気付けば、つい了承の返事をしてしまっていた。
「良かった……それじゃ、外で待ってる」
川口さんはそれだけ言うと、踵を返して階段の方へ向かって降りて行った。その姿を見届けると私はすっかり冷えてしまった布団と敷布団、シーツやカバー類も取り入れると戸締りをしてカーテンを閉めた。
ショルダーバックに貴重品を淹れて、玄関を出て鍵を掛けた。
カンカンカンカン……
マンションの階段を下りて外に出ると街灯の下でマンションの壁にまるで寄り掛かるように川口さんは立っていた――