本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第13章 12 着信の相手は
2人で向かい合わせで美味しい親子丼を味わっていると、不意に私のスマホに着信が入って来た。
トゥルルルルル……
トゥルルルルル……
「あ……」
着信相手は、やっぱり亮平だった。
「……」
今、私の中では亮平に対する不信感が生まれていた。お姉ちゃんが退院したと言うのに、その事を黙っていた事。
「出なくていいの?」
少し心配そうに尋ねてきた。
「うん、いいの。食べ終わってからかけるから」
「……そう?」
10回ほどコール音が鳴ってやがて着信音が止まった。多分留守電に切り替わったから諦めたのかもしれない。電話が鳴った事で、微妙な雰囲気が流れてしまったので私は咄嗟に言った。
「それにしても、本当に美味しいね。このお店の親子丼。ランチもやってればいいのにな」
「やってるよ」
「え?」
「この焼き鳥屋はね、11時から14時までと、17時~23時まで営業しているんだよ。ランチはまた別にメニューがあるんだよ」
「詳しいんだね? 常連さんになったの?」
「うん、そうだね」
そして最後まで食べ終えた私達は食後のお茶を飲んでいると再びスマホに着信が入ってきた。やっぱり相手は亮平からだった。
「出なくていいの? 大事な用事かも知れないよ?」
「うん……。それじゃ出ようかな……」
川口さんに促され、私は電話に出る事にした。スマホをタップして応答する。
「もしもし……」
『鈴音っ! 何所にいるんだよっ!』
いきなり受話器越しから亮平の大きな声が聞こえてきた。
「え……と、外にご飯食べに来てるんだけど……?」
『お前、退院してきたばかりだって言うのに1人で来てるのか?』
「え……そ、それは……」
チラリと川口さんを見ると彼は私にスマホを渡すようにジェスチャーを送って来た。いいのかな……? でも今の亮平を相手にするのは何となく嫌だった。だってお姉ちゃんの事黙っていたんだから。
「……」
私は無言でスマホを川口さんに渡した。
「もしもし。……そうだよ。彼女と一緒に食事しに来ているのは俺だよ。……え? どうしてあんたにそんな事言われなくちゃならないんだ? あんたには恋人がいるんだろう? ……は? 何訳の分からない事言ってるんだ? いや、加藤さんは今お前とは話をしたくないそうだ。……もう彼女には構うな」
プツッ
川口さんは電話を切ってしまった。
「はい。スマホ返すよ」
スッとテーブルの上にスマホを置くと川口さんは申し訳なさそうに謝ってきた。
「ごめん……余計な事してしまったよね? でもあの電話、どうにも我慢出来なくて……」
「……ねえ、川口さん。お酒飲まない?」
何となく気まずい雰囲気になってしまったので、私はお酒を誘ってみた。
「う、うん。あ、でもいいのかい? 交通事故に遭って退院したばかりなのに……」
この人はいい人だ。私の事、本気で心配してくれている。
「うん、多分大丈夫じゃないかな? 退院する時アルコールの注意は受けていないし……」
「そうか……なら少しだけ飲もうか?」
「うん、そうだね。それじゃ少しだけ飲もう?」
こうして私は普段なら飲まない日本酒を川口さんと分け合って飲んだ。そしてお酒を飲みながら川口さんが尋ねてきた。
「加藤さん、前から聞きたい事あったんだけど……」
「何?」
日本酒を飲みながら返事をした。
「あの亮平って言う幼馴染の事、好きなんだろう?」
「!」
私返事をしなかったけど、川口さんにはすぐに分ってしまったようだ。
「やっぱりな……」
「だけど亮平には恋人がいるから……」
「恋人……ね……」
「そう、私のお姉ちゃんが亮平の恋人だから……」
そして私は手にしていた日本酒をクイッと飲み干した――
トゥルルルルル……
トゥルルルルル……
「あ……」
着信相手は、やっぱり亮平だった。
「……」
今、私の中では亮平に対する不信感が生まれていた。お姉ちゃんが退院したと言うのに、その事を黙っていた事。
「出なくていいの?」
少し心配そうに尋ねてきた。
「うん、いいの。食べ終わってからかけるから」
「……そう?」
10回ほどコール音が鳴ってやがて着信音が止まった。多分留守電に切り替わったから諦めたのかもしれない。電話が鳴った事で、微妙な雰囲気が流れてしまったので私は咄嗟に言った。
「それにしても、本当に美味しいね。このお店の親子丼。ランチもやってればいいのにな」
「やってるよ」
「え?」
「この焼き鳥屋はね、11時から14時までと、17時~23時まで営業しているんだよ。ランチはまた別にメニューがあるんだよ」
「詳しいんだね? 常連さんになったの?」
「うん、そうだね」
そして最後まで食べ終えた私達は食後のお茶を飲んでいると再びスマホに着信が入ってきた。やっぱり相手は亮平からだった。
「出なくていいの? 大事な用事かも知れないよ?」
「うん……。それじゃ出ようかな……」
川口さんに促され、私は電話に出る事にした。スマホをタップして応答する。
「もしもし……」
『鈴音っ! 何所にいるんだよっ!』
いきなり受話器越しから亮平の大きな声が聞こえてきた。
「え……と、外にご飯食べに来てるんだけど……?」
『お前、退院してきたばかりだって言うのに1人で来てるのか?』
「え……そ、それは……」
チラリと川口さんを見ると彼は私にスマホを渡すようにジェスチャーを送って来た。いいのかな……? でも今の亮平を相手にするのは何となく嫌だった。だってお姉ちゃんの事黙っていたんだから。
「……」
私は無言でスマホを川口さんに渡した。
「もしもし。……そうだよ。彼女と一緒に食事しに来ているのは俺だよ。……え? どうしてあんたにそんな事言われなくちゃならないんだ? あんたには恋人がいるんだろう? ……は? 何訳の分からない事言ってるんだ? いや、加藤さんは今お前とは話をしたくないそうだ。……もう彼女には構うな」
プツッ
川口さんは電話を切ってしまった。
「はい。スマホ返すよ」
スッとテーブルの上にスマホを置くと川口さんは申し訳なさそうに謝ってきた。
「ごめん……余計な事してしまったよね? でもあの電話、どうにも我慢出来なくて……」
「……ねえ、川口さん。お酒飲まない?」
何となく気まずい雰囲気になってしまったので、私はお酒を誘ってみた。
「う、うん。あ、でもいいのかい? 交通事故に遭って退院したばかりなのに……」
この人はいい人だ。私の事、本気で心配してくれている。
「うん、多分大丈夫じゃないかな? 退院する時アルコールの注意は受けていないし……」
「そうか……なら少しだけ飲もうか?」
「うん、そうだね。それじゃ少しだけ飲もう?」
こうして私は普段なら飲まない日本酒を川口さんと分け合って飲んだ。そしてお酒を飲みながら川口さんが尋ねてきた。
「加藤さん、前から聞きたい事あったんだけど……」
「何?」
日本酒を飲みながら返事をした。
「あの亮平って言う幼馴染の事、好きなんだろう?」
「!」
私返事をしなかったけど、川口さんにはすぐに分ってしまったようだ。
「やっぱりな……」
「だけど亮平には恋人がいるから……」
「恋人……ね……」
「そう、私のお姉ちゃんが亮平の恋人だから……」
そして私は手にしていた日本酒をクイッと飲み干した――