本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第13章 15 希望を打ち砕く言葉
「おばさん、亮平はお姉ちゃんとは会っていないってどういう事ですか?」
『さあ……? 私もお父さんもそのことについては何も亮平と話したことは無いから。でも鈴音ちゃんには悪いけど、正直言うと私たちは亮平が忍ちゃんと会わなくなってくれてほっとしているのよ』
「そうだったんですね。それでお姉ちゃんは今あの家で1人で住んでいるんですよね?」
『ええ、そうよ。掃除や洗濯、.家の事はきちんとやっているみたいね。会えばきちんと笑顔で挨拶してくるし。まるでもう以前の忍ちゃんと変わらないみたいだわ』
「そうなんですね?」
良かった。お姉ちゃん回復してきているんだ……。思わず目頭が熱くなってしまった。
『そうそう、それでこの間ケースワーカーの男性と会ったのだけど、とても気さくな感じの人だったわ。忍ちゃんと一緒にスーパーに買い物に行ったらしいのだけど、何だか全面的にその男性を頼り切っているっていう感じだったわ。あ……ひょっとしてその男性のお陰かしら? 亮平が忍ちゃんと距離を開けるようになったのは』
「え……?」
私はおばさんの言葉に一抹の不安を感じた。私が交通事故に遭うまではお姉ちゃんは笠井先生を恋人だった進むさんと勘違いしていた。だけど今のお姉ちゃんはひょっとしてケースワーカーの男性を進さんと勘違いしているのではないだろうか? 私からお姉ちゃんに尋ねることが出来ればいいけど、とてもじゃないけどそれは無理な気がする。亮平に聞けば傷つけてしまうかもしれないし。そうなるとやはりケースワーカーの男性に話を聞くのが一番なのかもしれない。けれど、どうすればその男性と連絡を取ることが出来るのだろう?
『もしもし、鈴音ちゃん? 大丈夫? 具合でも悪いの?』
受話器越しからおばさんの心配そうな声が聞こえてきた。私が突然黙ってしまったからだ。
「い、いえ。大丈夫です。それじゃまた連絡しますね」
『ええ、待ってるわ』
私は電話を切った。
「お姉ちゃん……。本当によくなってきているのかな……?」
確かめなければ。お姉ちゃんのことを。私はスマホをギュッと握りしめた。やっぱり今のお姉ちゃんの状況を確認するにはケースワーカーさんに連絡を入れてみないと。
その為には……。
「亮平……」
多分亮平ならケースワーカーさんと連絡方法を知っているはずだ。亮平に頼んでケースワーカーさんの連絡先を訪ねてみよう。そして今のお姉ちゃんの状態を確認しなければ。
私はスマホを握り締めると、亮平にメッセージを書いて送信した。
その日の午後6時半――
トゥルルルルル……
私のスマホの着信音が突然鳴り響いた。着信相手はやっぱり亮平からだった。
「もしもし……」
『良かった……』
電話に出た途端、突然安堵の声が亮平から聞こえてきて驚いた。
「え? 何が良かったの?」
『いや……昨夜、あんな強引な事して鈴音は怒って帰ってしまっただろう? だからもう連絡がこないかと思っていたんだ。良かったよ。お前から連絡入れてくれて』
「亮平……」
え……? ひょっとして私からの連絡を待っていたの……? もしかして私の事……?
それなのに、次の亮平の言葉は私の希望を打ち砕いた。
『それで鈴音。昨夜川口って男に交際申し込まれたけど、断っただろう?』
え? なぜ突然そんな話をするのだろう?
『あの時俺に気を使って、あの男からの告白断ったんだろう?』
「え……? 亮平……何言ってるの……?」
『あの後、あいつと暫く話をしたんだけど……いい奴じゃないか。本当にお前の事大事に思っているみたいだったし……あいつなら付き合ってみてもいいんじゃないか?』
私は受話器越しから聞こえてくる亮平の言葉に凍り付いてしまった――
『さあ……? 私もお父さんもそのことについては何も亮平と話したことは無いから。でも鈴音ちゃんには悪いけど、正直言うと私たちは亮平が忍ちゃんと会わなくなってくれてほっとしているのよ』
「そうだったんですね。それでお姉ちゃんは今あの家で1人で住んでいるんですよね?」
『ええ、そうよ。掃除や洗濯、.家の事はきちんとやっているみたいね。会えばきちんと笑顔で挨拶してくるし。まるでもう以前の忍ちゃんと変わらないみたいだわ』
「そうなんですね?」
良かった。お姉ちゃん回復してきているんだ……。思わず目頭が熱くなってしまった。
『そうそう、それでこの間ケースワーカーの男性と会ったのだけど、とても気さくな感じの人だったわ。忍ちゃんと一緒にスーパーに買い物に行ったらしいのだけど、何だか全面的にその男性を頼り切っているっていう感じだったわ。あ……ひょっとしてその男性のお陰かしら? 亮平が忍ちゃんと距離を開けるようになったのは』
「え……?」
私はおばさんの言葉に一抹の不安を感じた。私が交通事故に遭うまではお姉ちゃんは笠井先生を恋人だった進むさんと勘違いしていた。だけど今のお姉ちゃんはひょっとしてケースワーカーの男性を進さんと勘違いしているのではないだろうか? 私からお姉ちゃんに尋ねることが出来ればいいけど、とてもじゃないけどそれは無理な気がする。亮平に聞けば傷つけてしまうかもしれないし。そうなるとやはりケースワーカーの男性に話を聞くのが一番なのかもしれない。けれど、どうすればその男性と連絡を取ることが出来るのだろう?
『もしもし、鈴音ちゃん? 大丈夫? 具合でも悪いの?』
受話器越しからおばさんの心配そうな声が聞こえてきた。私が突然黙ってしまったからだ。
「い、いえ。大丈夫です。それじゃまた連絡しますね」
『ええ、待ってるわ』
私は電話を切った。
「お姉ちゃん……。本当によくなってきているのかな……?」
確かめなければ。お姉ちゃんのことを。私はスマホをギュッと握りしめた。やっぱり今のお姉ちゃんの状況を確認するにはケースワーカーさんに連絡を入れてみないと。
その為には……。
「亮平……」
多分亮平ならケースワーカーさんと連絡方法を知っているはずだ。亮平に頼んでケースワーカーさんの連絡先を訪ねてみよう。そして今のお姉ちゃんの状態を確認しなければ。
私はスマホを握り締めると、亮平にメッセージを書いて送信した。
その日の午後6時半――
トゥルルルルル……
私のスマホの着信音が突然鳴り響いた。着信相手はやっぱり亮平からだった。
「もしもし……」
『良かった……』
電話に出た途端、突然安堵の声が亮平から聞こえてきて驚いた。
「え? 何が良かったの?」
『いや……昨夜、あんな強引な事して鈴音は怒って帰ってしまっただろう? だからもう連絡がこないかと思っていたんだ。良かったよ。お前から連絡入れてくれて』
「亮平……」
え……? ひょっとして私からの連絡を待っていたの……? もしかして私の事……?
それなのに、次の亮平の言葉は私の希望を打ち砕いた。
『それで鈴音。昨夜川口って男に交際申し込まれたけど、断っただろう?』
え? なぜ突然そんな話をするのだろう?
『あの時俺に気を使って、あの男からの告白断ったんだろう?』
「え……? 亮平……何言ってるの……?」
『あの後、あいつと暫く話をしたんだけど……いい奴じゃないか。本当にお前の事大事に思っているみたいだったし……あいつなら付き合ってみてもいいんじゃないか?』
私は受話器越しから聞こえてくる亮平の言葉に凍り付いてしまった――