本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第13章 22 車内での姉についての会話
「で、でも姉は会ってくれるでしょうか?」
うつむきながら服部さんに尋ねる声が震えてしまう。
「少なくとも私が見る限り、このメールでは忍さんは貴女に会いたいと言っているように思えますけど。それに忍さんは、よく私に貴女の事を話してくれていますよ」
「え?」
「私には5歳年下の妹がいて、とても可愛いと言ってました。男の人たちからすごくモテるのに、本人は全くそれに無自覚で、天然なところも可愛らしいと言ってましたよ」
「姉が……そんな事を?」
服部さんの言葉に胸が熱くなり、思わず目頭がうるんできた。ぐっと涙がにじみ出そうになるのを堪えていると服部さんが声をかけてきました。
「なら、こうしましょうか?」
「?」
「まず、私がいつものように忍さんのご自宅を訪問します。加藤さんは外で待っていて下さい。そして私が忍さんに、今加藤さんも一緒に来ていると伝え、会う意思はあるか尋ねます。もし忍さんが会いたいと言うなら会われたらいかがですか?」
「そうですね。是非そうさせて下さい」
私はありがたく服部さんの提案を受けた。
「それではすぐに自宅へ向かいましょうか?」
「ええ、よろしくお願いします」
そして私たちはアイスコーヒーを飲み終えると、席を立った――
「すみません。なかなか空いている駐車場が無くて歩かせてしまいましたね」
服部さんに連れられてやってきた駐車場は駅から5分程離れた場所にあるコインパーキングだった。そこに止められていたのは白い軽自動車だった。
「いえ、そんなことはありません。それでも自宅まで歩くよりは近い距離ですから」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
服部さんは車のキーを開けた。
「加藤さんもどうぞ助手席にお座り下さい」
「はい、失礼します」
服部さんに促され、私も助手席のドアを開けて車に乗り込んだ。
「では、行きましょうか?」
「お願いします」
そして加藤さんはハンドルを握るとアクセルを踏んだ――
車の中では普段姉と会ったとき、どんな会話や何をして過ごすかを色々教えて貰った。
「忍さんが病院から退院時の手続きは私がやりました。最初はまず、買い物から始めたんですよ」
「すみません。本来であれば家族である私が姉の退院手続きをしなければならなかったのに」
「何をおっしゃっているのですか? 話は伺っていますよ。加藤さんも忍さんが退院した同じ日に病院を退院されたのですよね? しかも重い交通事故で長いこと入院までしていたのですから」
「はい、そうですね」」
「何故忍さんのケースワーカーが女性ではなく、男性である私になったかお分かりになりますか?」
「い、いえ」
私は首を傾げた。そう言えば何でだろう? 買い物の付き添いにしたって、男性の前では買いにくい買い物だってあるはずだし。
「最初は年が近い女性の方が良いかと思い、入院中に一度別のケースワーカーの女性を連れて行ったところ、彼女を貴女だと勘違いしたのでしょうね。突然彼女を抱きしめて、忍さん泣きじゃくったのですよ。ごめんなさい、鈴音ちゃんと……何度も泣きながら離さなくて……」
「え!?」
「だから、女性のケースワーカーの派遣はやめて私が選ばれたのですよ」
赤信号になり、車が止まると服部さんは私を見た――
うつむきながら服部さんに尋ねる声が震えてしまう。
「少なくとも私が見る限り、このメールでは忍さんは貴女に会いたいと言っているように思えますけど。それに忍さんは、よく私に貴女の事を話してくれていますよ」
「え?」
「私には5歳年下の妹がいて、とても可愛いと言ってました。男の人たちからすごくモテるのに、本人は全くそれに無自覚で、天然なところも可愛らしいと言ってましたよ」
「姉が……そんな事を?」
服部さんの言葉に胸が熱くなり、思わず目頭がうるんできた。ぐっと涙がにじみ出そうになるのを堪えていると服部さんが声をかけてきました。
「なら、こうしましょうか?」
「?」
「まず、私がいつものように忍さんのご自宅を訪問します。加藤さんは外で待っていて下さい。そして私が忍さんに、今加藤さんも一緒に来ていると伝え、会う意思はあるか尋ねます。もし忍さんが会いたいと言うなら会われたらいかがですか?」
「そうですね。是非そうさせて下さい」
私はありがたく服部さんの提案を受けた。
「それではすぐに自宅へ向かいましょうか?」
「ええ、よろしくお願いします」
そして私たちはアイスコーヒーを飲み終えると、席を立った――
「すみません。なかなか空いている駐車場が無くて歩かせてしまいましたね」
服部さんに連れられてやってきた駐車場は駅から5分程離れた場所にあるコインパーキングだった。そこに止められていたのは白い軽自動車だった。
「いえ、そんなことはありません。それでも自宅まで歩くよりは近い距離ですから」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
服部さんは車のキーを開けた。
「加藤さんもどうぞ助手席にお座り下さい」
「はい、失礼します」
服部さんに促され、私も助手席のドアを開けて車に乗り込んだ。
「では、行きましょうか?」
「お願いします」
そして加藤さんはハンドルを握るとアクセルを踏んだ――
車の中では普段姉と会ったとき、どんな会話や何をして過ごすかを色々教えて貰った。
「忍さんが病院から退院時の手続きは私がやりました。最初はまず、買い物から始めたんですよ」
「すみません。本来であれば家族である私が姉の退院手続きをしなければならなかったのに」
「何をおっしゃっているのですか? 話は伺っていますよ。加藤さんも忍さんが退院した同じ日に病院を退院されたのですよね? しかも重い交通事故で長いこと入院までしていたのですから」
「はい、そうですね」」
「何故忍さんのケースワーカーが女性ではなく、男性である私になったかお分かりになりますか?」
「い、いえ」
私は首を傾げた。そう言えば何でだろう? 買い物の付き添いにしたって、男性の前では買いにくい買い物だってあるはずだし。
「最初は年が近い女性の方が良いかと思い、入院中に一度別のケースワーカーの女性を連れて行ったところ、彼女を貴女だと勘違いしたのでしょうね。突然彼女を抱きしめて、忍さん泣きじゃくったのですよ。ごめんなさい、鈴音ちゃんと……何度も泣きながら離さなくて……」
「え!?」
「だから、女性のケースワーカーの派遣はやめて私が選ばれたのですよ」
赤信号になり、車が止まると服部さんは私を見た――