本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第14章 4 レモネードと過去の記憶
――ガチャリ
ドアが開けられ、お姉ちゃんが目の前に立っていた。
「鈴音ちゃん! 雨凄いけど大丈夫だった? 濡れていない?」
お姉ちゃんは私を見るなり、心配そうに髪に触れてきた。
「うん、大丈夫だよ。雨が降り出してきた時にはタクシーに乗っていたし、門から玄関までだってすぐじゃない。それに大きな傘も持っていたしね」
たたんだ傘を少しだけ持ち上げてお姉ちゃんに見せた。
「そう……なら良かったけど。それじゃ上がって、鈴音ちゃん」
お姉ちゃんが部屋に招き入れてくれた。
「うん、それじゃお邪魔します」
濡れた傘を玄関脇にある傘立てに入れ、中へあがろうとしたとき。
「鈴音ちゃん、お邪魔しますじゃなくて、ただいまでしょう?」
「あ……」
「ここは私と鈴音ちゃんの家なんだから」
お姉ちゃんは私をじっと見つめている。
「う、うん。そうだったね……。ただいま」
玄関へあがるとお姉ちゃんは満足そうに笑みを浮かべた。
「お帰りさない、鈴音ちゃん」
****
「鈴音ちゃん。飲み物は何がいい? アイスコーヒーと麦茶……それにレモネードを作ったのよ」
リビングのソファに座った私に台所口に立っているお姉ちゃんが尋ねてきた。
「レモネード‥…」
レモネードと言えば子供の頃を思い出す。夏になればお母さんが必ず私たちの為に冷たいレモネードを作ってくれたことを
。
「それじゃ、レモネードにしようかな?」
「レモネードね? 待っててね。すぐ持ってくるから」
お姉ちゃんは笑みを浮かべるとすぐに台所の奥へと引っ込み、何やらガチャガチャと音が聞こえ……姿を現した。お姉ちゃんはレモネードが注がれたグラス乗っているお盆を手にしていた。
「お待たせ~鈴音ちゃん」
お姉ちゃんはにこにこしながら丸い木目のコースターの上に、氷が浮きストローがささったレモネード入りのグラスを目の前に置いてくれた。グラスの中にはシュワシュワと炭酸がはじける音がかすかに聞こえている。
「子供の頃、お母さんは水で割ってくれていたけど炭酸水で割ってみたの。昨日レモンを買ってきて作ったのよ。どう? 飲んでみて?」
「うん、それじゃいただきます」
ストローでグラスの中を混ぜるとカランと氷のぶつかる音がする。グラスの中には薄くスライスしたレモンの輪切りが浮いている。私は早速ストローで一口飲んでみた。
炭酸の清涼感の中にはちみつの甘みとレモンの酸味がとてもよく合っていた。
「どう?」
お姉ちゃんが心配そうに聞いてくる。
「おいしい……。うん、すごくおいしいよ! このレモネード」
「そう? 鈴音ちゃんにそこまで喜んでもらえるとすごく嬉しいな。今度服部さんが来たら出してみるわ」
お姉ちゃんの口ぶりは何だかまるで服部さんが特別の男性のように聞こえてしまった。亮平とは一体どうなっているのだろう?
「お姉ちゃん。服部さんはよく来るの?」
「そうね。週に3回は来てくれるわ」
「3回……」
私にはケースワーカーという人が週に何回患者さんを尋ねるかは分からなけれども、週に3回は多い気がした。
「何? どうかしたの?」
レモネードをストローで飲んでいたお姉ちゃんが顔を上げて尋ねてきた。
「ううん、何でも無いよ」
そこで私はさりげなく亮平の事を口にしてみた。お姉ちゃんは今亮平の事をどう思っているのだろう……?
「お姉ちゃん。亮平もレモネード好きなんだよ。亮平にもあげてみたら?」
「あら? そうだった? う~ん……あまりよく覚えてはいないけど……そうね。鈴音ちゃんは今夜家で夜ご飯食べていくんだから亮平君も呼んでみようか?」
亮平を呼ぶ……。
あんなことがあった後だから一瞬迷った。けれども2人きりになるよりもいいかもしれない。
だから私は頷いた――
ドアが開けられ、お姉ちゃんが目の前に立っていた。
「鈴音ちゃん! 雨凄いけど大丈夫だった? 濡れていない?」
お姉ちゃんは私を見るなり、心配そうに髪に触れてきた。
「うん、大丈夫だよ。雨が降り出してきた時にはタクシーに乗っていたし、門から玄関までだってすぐじゃない。それに大きな傘も持っていたしね」
たたんだ傘を少しだけ持ち上げてお姉ちゃんに見せた。
「そう……なら良かったけど。それじゃ上がって、鈴音ちゃん」
お姉ちゃんが部屋に招き入れてくれた。
「うん、それじゃお邪魔します」
濡れた傘を玄関脇にある傘立てに入れ、中へあがろうとしたとき。
「鈴音ちゃん、お邪魔しますじゃなくて、ただいまでしょう?」
「あ……」
「ここは私と鈴音ちゃんの家なんだから」
お姉ちゃんは私をじっと見つめている。
「う、うん。そうだったね……。ただいま」
玄関へあがるとお姉ちゃんは満足そうに笑みを浮かべた。
「お帰りさない、鈴音ちゃん」
****
「鈴音ちゃん。飲み物は何がいい? アイスコーヒーと麦茶……それにレモネードを作ったのよ」
リビングのソファに座った私に台所口に立っているお姉ちゃんが尋ねてきた。
「レモネード‥…」
レモネードと言えば子供の頃を思い出す。夏になればお母さんが必ず私たちの為に冷たいレモネードを作ってくれたことを
。
「それじゃ、レモネードにしようかな?」
「レモネードね? 待っててね。すぐ持ってくるから」
お姉ちゃんは笑みを浮かべるとすぐに台所の奥へと引っ込み、何やらガチャガチャと音が聞こえ……姿を現した。お姉ちゃんはレモネードが注がれたグラス乗っているお盆を手にしていた。
「お待たせ~鈴音ちゃん」
お姉ちゃんはにこにこしながら丸い木目のコースターの上に、氷が浮きストローがささったレモネード入りのグラスを目の前に置いてくれた。グラスの中にはシュワシュワと炭酸がはじける音がかすかに聞こえている。
「子供の頃、お母さんは水で割ってくれていたけど炭酸水で割ってみたの。昨日レモンを買ってきて作ったのよ。どう? 飲んでみて?」
「うん、それじゃいただきます」
ストローでグラスの中を混ぜるとカランと氷のぶつかる音がする。グラスの中には薄くスライスしたレモンの輪切りが浮いている。私は早速ストローで一口飲んでみた。
炭酸の清涼感の中にはちみつの甘みとレモンの酸味がとてもよく合っていた。
「どう?」
お姉ちゃんが心配そうに聞いてくる。
「おいしい……。うん、すごくおいしいよ! このレモネード」
「そう? 鈴音ちゃんにそこまで喜んでもらえるとすごく嬉しいな。今度服部さんが来たら出してみるわ」
お姉ちゃんの口ぶりは何だかまるで服部さんが特別の男性のように聞こえてしまった。亮平とは一体どうなっているのだろう?
「お姉ちゃん。服部さんはよく来るの?」
「そうね。週に3回は来てくれるわ」
「3回……」
私にはケースワーカーという人が週に何回患者さんを尋ねるかは分からなけれども、週に3回は多い気がした。
「何? どうかしたの?」
レモネードをストローで飲んでいたお姉ちゃんが顔を上げて尋ねてきた。
「ううん、何でも無いよ」
そこで私はさりげなく亮平の事を口にしてみた。お姉ちゃんは今亮平の事をどう思っているのだろう……?
「お姉ちゃん。亮平もレモネード好きなんだよ。亮平にもあげてみたら?」
「あら? そうだった? う~ん……あまりよく覚えてはいないけど……そうね。鈴音ちゃんは今夜家で夜ご飯食べていくんだから亮平君も呼んでみようか?」
亮平を呼ぶ……。
あんなことがあった後だから一瞬迷った。けれども2人きりになるよりもいいかもしれない。
だから私は頷いた――