本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第14章 9 告白の行きつく先は
マンションに帰った私は少しの間自分のスマホを見つめていた。部屋の時計を見ると時刻はもうすぐ23時になろうとしている。多分この時間はまだ亮平は起きているだろう。私は亮平の番号を呼び出し、タップした――
トゥルルルル……
トゥルルルル……
『もしもし?』
2コール目で亮平が電話に出た。
「もしもし、亮平?」
『帰ったんだな。鈴音』
「うん。15分程前にね」
『15分…?何だよ、随分遅かったじゃないか。何かあったか?』
何かあった……。それは何かあった事が分り切っていて私に尋ねているようにも聞こえる。
「それよりどういうつもりなの? どうして川口さんを無理矢理呼び出したの?」
『無理矢理なんて呼び出していない。ただ、俺はまだ鈴音がマンションについていないんだって話をあいつにしただけだよ。そしたら勝手にあいつが電話を切って、それでお前を迎えに行ったんだろう?』
「でも、亮平がそんな電話したら、かかって来た相手は迎えに行かなくちゃって思うよね?」
『そうか? 迎えに行ったのはそれだけ鈴音の事が大事だったからじゃないのか?』
「!」
私は亮平の言葉に息を飲んだ。
『あいつに……川口に何か言われたんじゃないのか?』
「亮平には……関係無いじゃない」
どうしてそんな事亮平に尋ねられるのだろう。なのに再び亮平は尋ねてきた。
『告白でもされたか?』
「……」
黙っていると、亮平の小さな笑い声が聞こえた。
『ハハ……答えないって事はやっぱりそうか? それで何て返事したんだ?』
尚も黙っていると、何故か亮平の焦った声が聞こえてきた。
『鈴音。ひょっとして付き合う事にしたのか?』
何を今更そんな事を亮平は尋ねて来るのだろう?
「何よ! 亮平から付き合ってみてもいいんじゃないか? って言ったんじゃないのよ!」
『え……? ま、まさか本当に……?』
亮平の震える声が聞こえる。私と川口さんが付き合う……亮平が望んだことなのに、何故そんな声を出すのだろう?
「とにかく、私が言いたかったことは、もう川口さんに余計な事は言わないで。要件があれば自分で伝えるから」
『そ、それって……?』
「じゃあね」
亮平の言葉が終わる前に私は電話を切ると、シャワーを浴びる準備を始めた――
23時半―
シャワーを浴び終え、濡れた髪をタオルで拭きながら部屋に戻るとスマホの着信が光っていた。スマホを掴み、ベッドに座って画面をタップすると着信相手は川口さんからだった。
『今夜は俺の我儘を聞いてくれてありがとう。改めてこれからよろしく』
メッセージはそれだけだった。
「……」
少しの間メッセージ見ていたけれども、返信する為にメッセージを打ち込んだ。
「こちらこそ、これからよろしく。おやすみなさい」
それだけ打ち、ベッドの上にスマホをポンと置くとすぐにスマホが鳴った。着信相手はやっぱり川口さんからだった。再びスマホに手を伸ばし、タップした。
「もしもし?」
『もしもし、加藤さん?』
電話口から川口さんの嬉しそうな声が聞こえてくる。
「どうかしたの?」
『いや……声をちょっと声を聞きたくなって……迷惑だったかな?』
「そんな事無いよ」
『本当!? 良かった……。あのさ……明日も朝……電話かけてもいいかな?』
遠慮がちに尋ねてくる。
「うん、いいよ」
『そっか……そ、それじゃお休み』
「うん。おやすみなさい」
そして川口さんからの電話は切れた。
「ふう……」
私は溜息をついた。私はずるい人間だ。はっきり断ることも出来ず、かと言って完全に川口さんからの告白を受け入れる事も出来ずにいる。彼がいい人だから断り切れなかったんだ。でも、それでもいいと川口さんは笑顔で言った。
最初は友達でもいいから……と。
だから、私達は友達から始める事にした――
トゥルルルル……
トゥルルルル……
『もしもし?』
2コール目で亮平が電話に出た。
「もしもし、亮平?」
『帰ったんだな。鈴音』
「うん。15分程前にね」
『15分…?何だよ、随分遅かったじゃないか。何かあったか?』
何かあった……。それは何かあった事が分り切っていて私に尋ねているようにも聞こえる。
「それよりどういうつもりなの? どうして川口さんを無理矢理呼び出したの?」
『無理矢理なんて呼び出していない。ただ、俺はまだ鈴音がマンションについていないんだって話をあいつにしただけだよ。そしたら勝手にあいつが電話を切って、それでお前を迎えに行ったんだろう?』
「でも、亮平がそんな電話したら、かかって来た相手は迎えに行かなくちゃって思うよね?」
『そうか? 迎えに行ったのはそれだけ鈴音の事が大事だったからじゃないのか?』
「!」
私は亮平の言葉に息を飲んだ。
『あいつに……川口に何か言われたんじゃないのか?』
「亮平には……関係無いじゃない」
どうしてそんな事亮平に尋ねられるのだろう。なのに再び亮平は尋ねてきた。
『告白でもされたか?』
「……」
黙っていると、亮平の小さな笑い声が聞こえた。
『ハハ……答えないって事はやっぱりそうか? それで何て返事したんだ?』
尚も黙っていると、何故か亮平の焦った声が聞こえてきた。
『鈴音。ひょっとして付き合う事にしたのか?』
何を今更そんな事を亮平は尋ねて来るのだろう?
「何よ! 亮平から付き合ってみてもいいんじゃないか? って言ったんじゃないのよ!」
『え……? ま、まさか本当に……?』
亮平の震える声が聞こえる。私と川口さんが付き合う……亮平が望んだことなのに、何故そんな声を出すのだろう?
「とにかく、私が言いたかったことは、もう川口さんに余計な事は言わないで。要件があれば自分で伝えるから」
『そ、それって……?』
「じゃあね」
亮平の言葉が終わる前に私は電話を切ると、シャワーを浴びる準備を始めた――
23時半―
シャワーを浴び終え、濡れた髪をタオルで拭きながら部屋に戻るとスマホの着信が光っていた。スマホを掴み、ベッドに座って画面をタップすると着信相手は川口さんからだった。
『今夜は俺の我儘を聞いてくれてありがとう。改めてこれからよろしく』
メッセージはそれだけだった。
「……」
少しの間メッセージ見ていたけれども、返信する為にメッセージを打ち込んだ。
「こちらこそ、これからよろしく。おやすみなさい」
それだけ打ち、ベッドの上にスマホをポンと置くとすぐにスマホが鳴った。着信相手はやっぱり川口さんからだった。再びスマホに手を伸ばし、タップした。
「もしもし?」
『もしもし、加藤さん?』
電話口から川口さんの嬉しそうな声が聞こえてくる。
「どうかしたの?」
『いや……声をちょっと声を聞きたくなって……迷惑だったかな?』
「そんな事無いよ」
『本当!? 良かった……。あのさ……明日も朝……電話かけてもいいかな?』
遠慮がちに尋ねてくる。
「うん、いいよ」
『そっか……そ、それじゃお休み』
「うん。おやすみなさい」
そして川口さんからの電話は切れた。
「ふう……」
私は溜息をついた。私はずるい人間だ。はっきり断ることも出来ず、かと言って完全に川口さんからの告白を受け入れる事も出来ずにいる。彼がいい人だから断り切れなかったんだ。でも、それでもいいと川口さんは笑顔で言った。
最初は友達でもいいから……と。
だから、私達は友達から始める事にした――