本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第14章 12 中華料理店で
19時5分前に新小岩駅の駅前に着くと、すでにそこにはユニフォームを着た川口さんが立って待っていた。
「加藤さんっ!」
私を見つけた川口さんは嬉しそうに手を振っている。あんな風に笑う人なんて知らなかった。
人混みを抜けて川口さんの傍に行くと挨拶した。
「こんばんは、早かったんだね? 遅れてごめんなさい」
「いや、いいんだよ。俺もついさっき着いたばかりだから……それじゃ行こうか?」
私より少し前を歩き始めた川口さんはナップザックを背中に背負っていた。中に何が入っているのだろう? 中身は膨らんでいた。すると私の視線に気づいたのだろう。
「この中には俺の私服が入っているんだ。いつもなら職場で着替えてくるんだけど今日は直帰だったからユニフォームのままで……あ、ごめん……」
「え? 何を謝るの?」
「い、いや……作業着姿の俺と一緒に食事に行くのは嫌かな……と思って」
川口さんはばつが悪そうにしている。
「何でそんな事言うの? 私は何とも思っていないけど? だから気にしないで」
「ありがとう……。ほら、ここだよ」
「え? ここ? もう着いたの?」
見ると、そこには中華料理屋があった。しかも全国規模で展開されている激安中華のチェーン店だった。
「へ~知らなかった。いつの間にこんなところにお店が出来ていたんだろう?」
「半月ほど前に発見したんだ。それじゃ入ろうか?」
「うん、そうだね」
川口さんに促されて私たちは店内へ足を踏み入れた。
「うわあ……結構混んでるんだね?」
店内はカウンター席とテーブル席があった。どこも満席で空いている席が無いように見えたのだけども……。
「加藤さん、こっちこっち」
川口さんが手招きしている。
「?」
不思議に思って川口さんの立っている場所に行ってみるとそこには2人掛けのテーブル席があり、『予約席』と書かれた札が乗っていた。
「え……? まさかわざわざ予約したの?」
驚いて尋ねると川口さんは少し照れ臭そうにうなずいた。
「席がないからってあきらめて出るのは嫌だったから……」
「ありがとう」
私は素直に礼を言った。うん……やっぱり川口さんはいい人だ。亮平も認めていたし……この人なら……。
椅子を引いて向かい合わせに座ると、川口さんはメニューを渡してきた。
「加藤さんは何が好きなんだい?」
「そうだな~天津飯かな? 甘酢の」
「へ~やっぱりな」
「やっぱりって何が?」
「加藤さんは卵料理が好きなんだってことが分かったよ」
何処か嬉しそうに川口さんが笑う。
「あ……そういえばそうかもしれない」
「よし、それじゃ俺は酢豚定食にしよう。すみませーん!」
川口さんが手を上げるとすぐにアルバイトらしき若い男性店員がやってきた。川口さんは酢豚定食と天津飯を頼んでくれた。やがて店員さんが去ると私に尋ねてきた。
「それじゃあさ……オムライスは好き?」
「うん、大好き。特にトロトロで、デミグラスソースがかかっているの最高!」
笑みを浮かべて言うと、川口さんはぽかんとした顔で私を見て……何故か顔を赤らめた。
「どうしたの」
「い、いや……か、加藤さんが……あ、あまりにも可愛かったから……つい……」
「え……?」
今度は私が顔を赤らめる番だった――
「お待たせいたしました」
店員さんがアツアツの湯気が立つ2人分の料理を運んでくると、それぞれの前に置いてくれた。私には天津飯、川口さんには酢豚定食。
「うわ~美味しそう……」
「うん、本当だ。凄く美味しそうだね。それじゃ食べようか?」
「そうだね。いただきまーす」
「いただきます」
川口さんも言う。そして蓮華ですくって食べようとしたとき、私のスマホが鳴った。
「え……?」
相手は亮平からだった――
「加藤さんっ!」
私を見つけた川口さんは嬉しそうに手を振っている。あんな風に笑う人なんて知らなかった。
人混みを抜けて川口さんの傍に行くと挨拶した。
「こんばんは、早かったんだね? 遅れてごめんなさい」
「いや、いいんだよ。俺もついさっき着いたばかりだから……それじゃ行こうか?」
私より少し前を歩き始めた川口さんはナップザックを背中に背負っていた。中に何が入っているのだろう? 中身は膨らんでいた。すると私の視線に気づいたのだろう。
「この中には俺の私服が入っているんだ。いつもなら職場で着替えてくるんだけど今日は直帰だったからユニフォームのままで……あ、ごめん……」
「え? 何を謝るの?」
「い、いや……作業着姿の俺と一緒に食事に行くのは嫌かな……と思って」
川口さんはばつが悪そうにしている。
「何でそんな事言うの? 私は何とも思っていないけど? だから気にしないで」
「ありがとう……。ほら、ここだよ」
「え? ここ? もう着いたの?」
見ると、そこには中華料理屋があった。しかも全国規模で展開されている激安中華のチェーン店だった。
「へ~知らなかった。いつの間にこんなところにお店が出来ていたんだろう?」
「半月ほど前に発見したんだ。それじゃ入ろうか?」
「うん、そうだね」
川口さんに促されて私たちは店内へ足を踏み入れた。
「うわあ……結構混んでるんだね?」
店内はカウンター席とテーブル席があった。どこも満席で空いている席が無いように見えたのだけども……。
「加藤さん、こっちこっち」
川口さんが手招きしている。
「?」
不思議に思って川口さんの立っている場所に行ってみるとそこには2人掛けのテーブル席があり、『予約席』と書かれた札が乗っていた。
「え……? まさかわざわざ予約したの?」
驚いて尋ねると川口さんは少し照れ臭そうにうなずいた。
「席がないからってあきらめて出るのは嫌だったから……」
「ありがとう」
私は素直に礼を言った。うん……やっぱり川口さんはいい人だ。亮平も認めていたし……この人なら……。
椅子を引いて向かい合わせに座ると、川口さんはメニューを渡してきた。
「加藤さんは何が好きなんだい?」
「そうだな~天津飯かな? 甘酢の」
「へ~やっぱりな」
「やっぱりって何が?」
「加藤さんは卵料理が好きなんだってことが分かったよ」
何処か嬉しそうに川口さんが笑う。
「あ……そういえばそうかもしれない」
「よし、それじゃ俺は酢豚定食にしよう。すみませーん!」
川口さんが手を上げるとすぐにアルバイトらしき若い男性店員がやってきた。川口さんは酢豚定食と天津飯を頼んでくれた。やがて店員さんが去ると私に尋ねてきた。
「それじゃあさ……オムライスは好き?」
「うん、大好き。特にトロトロで、デミグラスソースがかかっているの最高!」
笑みを浮かべて言うと、川口さんはぽかんとした顔で私を見て……何故か顔を赤らめた。
「どうしたの」
「い、いや……か、加藤さんが……あ、あまりにも可愛かったから……つい……」
「え……?」
今度は私が顔を赤らめる番だった――
「お待たせいたしました」
店員さんがアツアツの湯気が立つ2人分の料理を運んでくると、それぞれの前に置いてくれた。私には天津飯、川口さんには酢豚定食。
「うわ~美味しそう……」
「うん、本当だ。凄く美味しそうだね。それじゃ食べようか?」
「そうだね。いただきまーす」
「いただきます」
川口さんも言う。そして蓮華ですくって食べようとしたとき、私のスマホが鳴った。
「え……?」
相手は亮平からだった――