本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第14章 13 鳴り響く電話
テーブルの上に置いたスマホが着信を知らせるメロディーを鳴らしている。
「出なくていいのかい?」
川口さんが声をかけてきた。
「うん、いいのいいの。さ、食べよ」
するとその直後、電話は切れた。
「ね? 切れたでしょう?」
「あ、ああ……そうだね……」
私は早速天津飯を口に入れた。卵のふわふわな食感と甘酢のとろみのついたタレが何とも言えず美味しい。
「やっぱり美味しい~……」
にこにこしながら食べる私。
「前から思っていたけど……加藤さんは本当にいい笑顔で食べるよね」
「そう? 美味しい食べ物を口にすると、つい顔が笑っちゃうんだよね」
「そこが……すごくいいと思うよ」
川口さんは顔を赤らめながら酢豚を口に運んでいる。
「川口さんは酢豚が好きなの?」
「うん、夏場は良く食べるかな? 引っ越し会社は肉体労働だから夏場は汗かくんだよね。だから暑い季節は……あ」
途端に川口さんの顔が青ざめる。
「どうしたの?」
「い、いや……現場から直帰してきたからひょっとして汗臭いんじゃないかと思って……。今日はあまり汗かいたつもりはないんだけど……。消臭スプレーもしたしな……」
「そんな事気にしなくていいよ? 私は何も気づかなかったし」
すると、再びスマホがなった。
「亮平……」
まただ、また電話かけてきて……。でも今は亮平と話をする気にはなれなかった。だって目の前に川口さんがいるのに。
「加藤さん、その電話……」
「いいの、別に。大した要件じゃないだろうし」
すると今回はあっさり短めで電話が切れた。するとその直後に今度は川口さんのスマホに着信が入ってきたのだ。
「「え?」」
2人で同時に声を上げてしまった。
「ごめん……出るよ」
川口さんが私に断りを入れてきた。
「う、うん……」
川口さんはスマホを持ち、タップすると電話に出た。
「もしもし……。ああ。彼女なら今俺の目の前にいるよ。え? それは一緒に食事しているからだ。は? ……そんなはずないだろう?中華料理店に来ているんだよ。え……? 電話に出せって……」
川口さんは私をチラリと見る。
「電話に出してくれっていてるけど……?」
私は一度ため息をついた。
「分かった……出るよ。スマホ、貸してくれる?」
「どうぞ……」
「ありがとう」
私はスマホを受けとると電話に出た。
「もしもし?」
『鈴音っ! 何で電話に出ないんだよっ!』
耳が痛くなるほどの大きな声で怒鳴られた。
「それは川口さんと一緒に食事をしていたからだよ」
『チッ……! 全く……病み上がりの鈴音を連れまわして……』
その言い方が何となく気に入らなかった。
「ねぇ、そんな言い方やめて。大体私は明日から仕事なんだよ?」
『そう、それだよ! お前、本当に明日から出勤できるのか? どうせ今日も突然眠ってしまったんだろう?』
「今日は大丈夫だったよ」
『何? そうだったのか?』
「それよりも電話切っていい? まだ食事中……」
『それにしたって、明日から何てまだ無理だろう? せめて後1月は休むべきだ』
「そんなわけいかないよ。働かなくちゃ生きていけないんだから」
『働かなくちゃ生きていけない? だったら俺が……!』
亮平がそこで言葉を切った。
「え? 今何言いかけたの?」
『いや、何でもない……それにしたって川口の奴……勝手に鈴音を連れ出して……』
川口さんの電話にかけておいて私を電話口に出させる亮平の方がよほど身勝手だと思う。大体亮平にどこの誰と出かようと、とやかく言われる筋合いはないのに。だから私は言った。
「私が川口さんと付き合おうと勝手でしょう?」
『何!? やっぱりあいつと付き合う事になったのか!?』
言い方がまずかったのか、亮平に勘違いされてしまった。
「べ、別にそういう意味じゃ……」
そこで視線を感じ、顔を上げるとそこには顔を赤らめて私をじっと見つめる川口さんの姿があった――
「出なくていいのかい?」
川口さんが声をかけてきた。
「うん、いいのいいの。さ、食べよ」
するとその直後、電話は切れた。
「ね? 切れたでしょう?」
「あ、ああ……そうだね……」
私は早速天津飯を口に入れた。卵のふわふわな食感と甘酢のとろみのついたタレが何とも言えず美味しい。
「やっぱり美味しい~……」
にこにこしながら食べる私。
「前から思っていたけど……加藤さんは本当にいい笑顔で食べるよね」
「そう? 美味しい食べ物を口にすると、つい顔が笑っちゃうんだよね」
「そこが……すごくいいと思うよ」
川口さんは顔を赤らめながら酢豚を口に運んでいる。
「川口さんは酢豚が好きなの?」
「うん、夏場は良く食べるかな? 引っ越し会社は肉体労働だから夏場は汗かくんだよね。だから暑い季節は……あ」
途端に川口さんの顔が青ざめる。
「どうしたの?」
「い、いや……現場から直帰してきたからひょっとして汗臭いんじゃないかと思って……。今日はあまり汗かいたつもりはないんだけど……。消臭スプレーもしたしな……」
「そんな事気にしなくていいよ? 私は何も気づかなかったし」
すると、再びスマホがなった。
「亮平……」
まただ、また電話かけてきて……。でも今は亮平と話をする気にはなれなかった。だって目の前に川口さんがいるのに。
「加藤さん、その電話……」
「いいの、別に。大した要件じゃないだろうし」
すると今回はあっさり短めで電話が切れた。するとその直後に今度は川口さんのスマホに着信が入ってきたのだ。
「「え?」」
2人で同時に声を上げてしまった。
「ごめん……出るよ」
川口さんが私に断りを入れてきた。
「う、うん……」
川口さんはスマホを持ち、タップすると電話に出た。
「もしもし……。ああ。彼女なら今俺の目の前にいるよ。え? それは一緒に食事しているからだ。は? ……そんなはずないだろう?中華料理店に来ているんだよ。え……? 電話に出せって……」
川口さんは私をチラリと見る。
「電話に出してくれっていてるけど……?」
私は一度ため息をついた。
「分かった……出るよ。スマホ、貸してくれる?」
「どうぞ……」
「ありがとう」
私はスマホを受けとると電話に出た。
「もしもし?」
『鈴音っ! 何で電話に出ないんだよっ!』
耳が痛くなるほどの大きな声で怒鳴られた。
「それは川口さんと一緒に食事をしていたからだよ」
『チッ……! 全く……病み上がりの鈴音を連れまわして……』
その言い方が何となく気に入らなかった。
「ねぇ、そんな言い方やめて。大体私は明日から仕事なんだよ?」
『そう、それだよ! お前、本当に明日から出勤できるのか? どうせ今日も突然眠ってしまったんだろう?』
「今日は大丈夫だったよ」
『何? そうだったのか?』
「それよりも電話切っていい? まだ食事中……」
『それにしたって、明日から何てまだ無理だろう? せめて後1月は休むべきだ』
「そんなわけいかないよ。働かなくちゃ生きていけないんだから」
『働かなくちゃ生きていけない? だったら俺が……!』
亮平がそこで言葉を切った。
「え? 今何言いかけたの?」
『いや、何でもない……それにしたって川口の奴……勝手に鈴音を連れ出して……』
川口さんの電話にかけておいて私を電話口に出させる亮平の方がよほど身勝手だと思う。大体亮平にどこの誰と出かようと、とやかく言われる筋合いはないのに。だから私は言った。
「私が川口さんと付き合おうと勝手でしょう?」
『何!? やっぱりあいつと付き合う事になったのか!?』
言い方がまずかったのか、亮平に勘違いされてしまった。
「べ、別にそういう意味じゃ……」
そこで視線を感じ、顔を上げるとそこには顔を赤らめて私をじっと見つめる川口さんの姿があった――